勝負: 剣客商売 (新潮文庫 い 16-69)

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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156699

感想・レビュー・書評

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  • 秘蔵のDVD『剣客商売』を見終わって、
    やおら原作本を読みたくなり、アマゾンで中古本全21巻を買いもとめました。
    これで4回目か5回目になるはずです。
    でも、中身は昔のことでよく覚えていません。
    娘が「父は3冊の本があればよい、すぐに忘れるから」
    と言われましたが、まさにその通り(^_^;)
    でも、この本はいいですね、明るく、テンポがあり、なにより粋です。
    ジャンルは違いますが、古今亭志ん朝の落語を聴いているような爽快感がります。

    そこへゆくと、この度買ったブローデルの『地中海』はまわりくどくて、
    細かい叙述が多く、スパッと結論を探し出せない。
    いらいらさせられます。
    レヴィ=ストロースの『悲しき熱帯』もそうですが、
    細部のディテールが長すぎます。
    まあ、学術書だからそうなのかもしれませんが…

    大変乱暴な意見ですが、西洋の書物って何か似たような感じがございます。
    ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』なんて、
    一人の人が何頁のもわたって喋り続けている、これってどうなんでしょう?!

    さて、池波正太郎『剣客商売~その日の三冬』の一節です。
    『このとき、三冬は茶店の老婆に酒を注文した。
    三冬は、のめる。
    剣友たちの酒宴などに出て、酒をおぼえた。
    なにも、うまくてのむのではない。
    何事にも、男に負けまいとしてのむのである。
    にんまりとして盃を口にふくむ三冬を見て、岩田勘助は瞠目した。』

    どうです、古今亭志ん朝の口調にぴったりだとおもいませんか?
    やはり私は小難しい学術書より、粋な本、粋な芸の方が合うようです(^_^)

  • 秋山小兵衛シリーズ第十一作。初孫、小太郎誕生。三冬は初産だったが、安産だった。その後の三冬の話があるが、母としてではなく、女剣士としての悲しい話。単純な勧善懲悪では終われない、物悲しい話が多かった。

  • 孫が誕生。小兵衛の老境にこれから彩りがでてくるのだろうか。

  • ひさしぶりに読む池波正太郎。
    秋山小兵衛に 待望の 孫が生まれた。
    好々爺らしい雰囲気でありながら、
    昔の弟子、同じ門下のもの、そして 知り合いたちが
    それぞれの人生を歩み。
    小兵衛が その極地を知らしめる。

    人が落ちぶれるということは、
    わずかな踏み外しによるものだが、
    そのきっかけが 何ともいとおしい。
    小兵衛は そのことに想いを寄せる。

    それにしても おはる はなんと器量よし なんだろう。

  • 秋山父子の必殺の剣を存分に躍動させて事を解決していくお話ではなく、この巻に集められているような秋山父子の人としての物事の捉え方や対処の仕方を描くお話達の方が、剣客商売というシリーズを代表するという気がしてならない。我々読者は秋山父子の超人的でかつ天才的な剣の冴えも見たいが、彼らの人としての行いをこそ見たい。そして、その行いを見て、これこそが人の道だと感銘を受けたいのだと思う。

  • ひたすら面白い

  • とうとう子供が生まれます!!その名も小太郎。
    顔立ちは三冬・大治郎の両方に似て整っているけれど、小柄なのが気に入らないと小兵衛。しかし生まれてからはすっかり爺馬鹿となっている小兵衛がなんだか可愛い。
    本編のメインは立会いを挑まれた大治郎の章から始まって、変わらず興味深い短編が続いていきます。
    他の時代物を見ると、改めて味わい深さや描写の細やかさを感じずにはいられない。

  • 前回の作品のスケールが大きかった反動がきたのか、
    第十一作目は地味な印象があり。

    それでも剣客親子の強さ、剣の冴えは相変わらずだし、
    小兵衛の40歳年下でおっとりとした可愛らしい性格の妻、
    おはるの料理上手の包丁の冴えも相変わらずだ。

    この巻で大治郎に子息が誕生。
    名前は、祖父である小兵衛が、旧友の
    松崎助右衛門に相談した結果、「小太郎」と決まった。
    鯉太郎とか鯛之助じゃなくて良かった。

  • 95年6刷本

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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