人斬り半次郎(幕末編) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101156781

感想・レビュー・書評

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  • 人斬り半次郎として恐れられた、中村半次郎。
    西郷吉之助との出会いが、半次郎の人生を変えることになる。
    剣客としての半次郎は、知っていた。
    だが、本書を通じて、人となりなど初めて知ることの方が多かった。
    ここまでは、前半生。
    後半生で、どのように成長していくのか楽しみだ。

  • 「池波正太郎」の長篇時代小説『人斬り半次郎 幕末編』を読みました。
    『英傑:西郷隆盛アンソロジー』に続き時代小説です。

    -----story-------------
    貧乏で無学な田舎侍が、男振りと剣の腕前を認められ、「西郷隆盛」の片腕に――。
    幕末を駆け抜けたヒーロー、「桐野利秋」の若き日々。

    「今に見ちょれ」。
    薩摩藩中でも「唐芋侍」と蔑まれる貧乏郷士の家に生れた「中村半次郎」は、だがその逆境に腐ることなく、いつの日かを期していた。
    秀抜な美男子で気がやさしい。
    示現流の剣は豪傑肌に強い。
    恵まれた資質のままに精力的に日を送っていた二十五歳のある日、「半次郎」は「西郷吉之助」と出遇う。
    時は幕末、惚れ込んだ男=「西郷」につき、「半次郎」は水を得た。
    京の町に〈人斬り半次郎〉の名が轟く
    -----------------------

    幕末の四大人斬りのひとりで「人斬り半次郎」と呼ばれ、後の初代陸軍少将「中村半次郎(桐野利秋)」の若き日を描いた作品です、、、

    『英傑:西郷隆盛アンソロジー』に収録されていた、「池波正太郎」の短篇『賊将』を読んで「半次郎」に興味を持ったんですよね… 「半次郎」の前半生の苦難や立身出世がユーモラスに、しかも丁寧に描かれていて、読み終える頃にはすっかり「半次郎」のことが好きになっていましたね。


    鹿児島城下の藩士に「唐芋」と蔑まれる貧乏郷士の出ながら剣は示現流の名手、精気溢れる美丈夫で、性剛直な「中村半次郎(桐野利秋)」は、ある日「佐土原英助」と決闘をすることに… しかし、「半次郎」の突拍子もない行動から二人は無二の親友になる、、、

    「佐土原英助」は、「半次郎」にこれからは身分の上下に関わらず薩摩藩士が我が国の危急存亡の時にあたり働かなければならないとと教え、「半次郎」はその言葉に大きな衝撃を受ける… 「半次郎」は、ある時、「西郷吉之助(隆盛)」と出会い剣の腕を見込まれ、「島津久光」の上洛の列に加わることになる。

    京都に上り洛中で働く「半次郎」は、ある日、六角堂で数人の男に襲われている「おたみ」を助け、それが縁で尼の「法秀尼」と出会い二人の関係は深まっていく、、、

    この頃、薩摩藩は青蓮院の「中川宮」の警護の役目を受け持ち、「半次郎」も警護の任につく… そして、ある夜、「半次郎」は賊と遭遇するが、持ち前の剣技で任務を果たし「中川宮」から深く信頼される。

    文久3年(1863年)8月18日… 京都政界を牛耳っていた長州藩を薩摩藩と会津藩が協力して追い落とすクーデターが起こり、この時も「半次郎」は手柄を立て、洛中に「人斬り半次郎」の名が広まる、、、

    男も惚れる、男ぶりのよさ… 優しく、偉ぶらない、そして、強い、それが「半次郎」の魅力ですね。

    600ページを超えるボリュームでしたが、さくさくと読めました… 中途半端な感じで終わったなぁ、と思ったら、本作品は『人斬り半次郎 賊将編』という続篇があるようです、、、

    面白かったので、続篇も読んでみたいですね。

  • 薩摩の貧乏武士である中村半次郎が得意の剣術を武器に駆け上がる出世物語。『人斬り半次郎』の渾名のとおり凄腕の刺客だが、明るい性格の努力家であり、西郷隆盛に取り立てられて京の都を奔走する。

    著者が描く激動の幕末は面白く、また常にその流れの中心にいる西郷の凄さを感じた。

    次の賊将編がいよいよ半次郎の活躍の本領かと思うので期待。端役で登場する同じ人斬りの田中新兵衛との交流や、同じく端役の土方歳三が半次郎の剣腕を見て「今後は中村に手を出すな」と新選組隊士に命令する場面も、小説ならではの好きなシーン。

  • 中村半次郎、後の桐野利秋の話である。

    西郷を道連れにして西南戦争を起こした張本人のように言われるが、半分はそうで、半分は違うのかもしれない。本気で西郷を担いで、東京の新政府に物申しに行こうとしたのだと思う。ただ、あまりにも行動が直線的で呆気なくやぶれてしまった。だか、そこが半次郎の愛された所以なのだとかんじる。

    全2巻

  • 感想は賊将編に記載

  • 池波正太郎さんの作品を初めて読んだが、読みやすく、とても面白い。幕末編は、唐芋侍中村半次郎から薩摩に中村あり!と言われる程出世した薩摩藩士中村半次郎の物語。
    人懐こいところがあり、誰とでも気安く話が出来る人だったんだなぁと思いました。剣の達人であるのは有名だか、向学心もある人というの初めて知った。西郷さんとのやりとりも面白く、後半が楽しみです。

  • 中村半次郎、幕末編。下級の武士の子として生まれ、出世を夢見る日々。西郷隆盛、大久保利通との出会いを経て一発逆転のチャンスを得て京都へ。薩長、幕府、朝廷との立場や考えが手に取るように分かりやすく解説してくれるオマケ付き。後半も楽しみ。

  • 貧乏で無学な唐芋侍の中村半次郎が剣の腕前を認められ、西郷隆盛と出会い薩摩の中で成長して行く。後の桐野利秋の若き日々。

  • 時代の雰囲気が感じられる良書。どちらかというと下巻の方がよかった。

  • 保有状況:所有&購入日:40179&購入金額:820

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著者プロフィール

大正十二(一九二三)年一月二十五日、東京市浅草区聖天町生まれ。昭和十(一九三五)年、下谷区西町小学校卒業、株式仲買店勤務。昭和十四年より三年ほど証券取引所にあった剣道場へ通い、初段を得る。旋盤機械工を経て昭和十九年、横須賀海兵団入団。敗戦の翌年、東京都職員として下谷区役所の衛生課に勤務。昭和二十三年、長谷川伸門下に入る。昭和二十五年、片岡豊子と結婚。昭和二十六年、戯曲「鈍牛」を発表し上演。新国劇の脚本と演出を担当する一方、小説も執筆。昭和三十年、転勤先の目黒税務事務所で都庁職員を辞し、作家業に専念。昭和三十五年、『錯乱』で直木三十五賞受賞。『鬼平犯科帳』『剣客商売』『仕掛人・藤枝梅安』の三大シリーズや『真田太平記』等、数々の小説で人気を博す一方、食や映画、旅に関する著作物も多く上梓した。受賞歴はほか吉川英治文学賞、大谷竹次郎賞、菊池寛賞等。平成二(一九九〇)年五月三日、入院していた東京都千代田区神田和泉町の三井記念病院で死去。小社では同じく単行本未収録のエッセイ集『一升桝の度量』(二〇一一)と初期戯曲集『銀座並木通り』(二〇一三)を刊行している。

「2022年 『人生の滋味 池波正太郎かく語りき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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