そして粛清の扉を (新潮文庫 く 28-1)

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  • 新潮社
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感想 : 87
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  • Amazon.co.jp ・本 (385ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101165615

感想・レビュー・書評

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  • 粛清という緊急措置。「卒業出来なくて、お目出度う」。
    この計画は一体どの時点からなのか…娘さんを亡くしてから翌年の卒業式までなら、そんな短期間でこの戦闘力を身に付ける亜矢子先生の絶望は深いです。でも共犯含め組織的なので体系化されてるのかな。あと4件あるみたいなので。
    3年D組の不良度合、暴走族が多いのがちょっと時代錯誤な気はします。でもこの時点では絶妙に罪には問えないものもあるし未成年だしでこれは野放しになるだろうな。だから被害者側から粛清するって訳で。
    未成年だからと更生に期待して罰を受けさせないのは反対です。なので爽快感を覚えたことは間違いない。でも、いくら被害者だからといって私刑を加えてると法治国家とは…となるので賛成は出来ません。亜矢子先生は生徒に私刑加えた責任は取ってたけれども、被害者だから何やっても良いみたいなのは違う。亜矢子先生に情状酌量の余地があるのも娘さんを殺した暴走族への復讐だけであって、亜矢子先生はD組の生徒たちの殺人や傷害や恐喝とかの被害者ではないですし。でもあの人数を爆殺で情状酌量は無理か。。
    D組の生徒たちの保護者が、息子や娘が死亡したのか…ってちょっとほっとしてるのがなんだかリアルでした。持て余してたんだろうな。

    解説と宮部みゆきさんの選評と作者のスタンスが真っ当で良かったです。フィクションでこの類の作品を楽しんでいても、現実の殺人事件を面白がりはしない。フィクションと現実の線引は、この類の作品に接してる人々の方がちゃんと付いていると思います。
    こういうのに接してなくて免疫無い人の方が、現実でやったりやり過ぎると思うわぁ。

    文体は好きです。現代小説でここまで開いてなくて漢字多用なの良かった。

  • 「そして粛清の扉を」黒武洋

    物凄い衝撃の作品でした‼️
    また、1日で読んでしまった!
    すごい勢いでページをめくり、止まりませんでした。(仕事行ってるんだけど・笑)

    卒業式を翌日に控えた高校で、中年女性教諭が、生徒たちを人質にとり、立てこもる。彼女の周到に練られた計画とは…⁉︎

    ホラーサスペンス大賞を受賞してるんですね。初読み作家さんでした。読んで良かった!

    学校の中、ということで、貴志祐介の「悪の教典」をちょっと思い出しましたが、実は内容としては全然質が違うものです。
    もちろん、小説なので、いくらなんでも…というくらい、酷い高校生が集団で固まっていたり…そういう部分はありますが、犯罪者、犯罪被害者、復讐の是非…etc. 様々な要素があり、苦しい気持ちも持ちつつ、色々考えさせられます。

    小説としてのエンタメ性もすごくて、本当にビックリしながら読みました。
    解説にあった、選考委員だった宮部みゆきさんと作者の言葉も胸に刺さります。

    また他の作品も読んでみたいなぁと思いました。最近では1番衝撃の作品でした‼️

  • 実写化不可能!
    最後の最後までドキドキわくわくしながら一気に読みました!

  • どなたかのレビューで面白そうだったので図書館へ。
    いやあ・・・
    ものすごい陳腐。
    いくらフィクションとは言え、あり得ないほど陳腐。
    なにこの設定。
    コレで小説になるの?
    というくらい陳腐。
    なのだが・・・
    そう、信じられないくらい陳腐なのだが・・・
    メッチャ面白いのである。
    ページをめくる手が止まらないのである。
    読みながらこの作品をバカにしている自分がいるのであるが止まらない。
    電車を乗り過ごすくらい止まらない。
    こんなことある?
    ちょっと衝撃的である。
    だけどやっぱり読み終わっても陳腐。
    なにコレ-?

  • ★3.4
    intro
    中年女性教諭による、学校ジャック事件。
    人質にとられた生徒は、一人また一人と犠牲になっていく。恐るべき戦闘能力、練られた計画、彼女の原動力とは。


    問題児ばかり、というか問題児しかいないクラスを粛正していく担任教師。陰湿で悪質な行為、まさしく犯罪行為を行う生徒たちを容赦なく殺していく。
    粛正が、始まる、のだが…少々設定がガバ気味か。そこは目を瞑っても、薄い人物設定が読むのを邪魔する。死んで当然、という生徒たちがバッタバッタと倒れていくのはスカッとなのか…?
    種明かしも釈然としない点があったが、ただ勧善懲悪ではなく、「ゲーム」を絡め読み手を飽きさせない展開があったのは確か。

    宮部みゆきは本書の選評にて、「この作品の底に流れる"無垢の被害者側からの報復は、どんな形をとったとしても許されるのではないか"という問いかけにはうなずけない」という。
    犯罪を犯せば裁かれる。反則したら皆ごろし。何をもって正義なのか、考えてみてもいいのかもしれない。

  • ブクログで、湊かなえさんの「告白」に似た本はないかと質問して教えてもらって読みました。
    クソガキの悪を滅多切るのはよかったけどあまりに清々しくてスッキリ感が逆に少なかった。勧善懲悪ものなのに。「告白」のようにじわじわとクソガキを苦しめるものではないからかな。最後は驚いた。
    そして…誰かヘリウム24の意味を教えて!

  • 告白より前に読んでおくべきでした。隠された真相は良かったけど、いつの時代の生徒や先生?という感じでリアリティにかけてしまった。

  • 1

  • 再読、読みづらい漢字が邪魔だなぁ…

    映像化アリの賞だったのに…
    この作品じゃあ無理よの

  • 読みにくいんだけど引き込まれて最後までダレず、面白かった!!ツッコミどころはあったけどお見事!で、かなりスッキリしたー。

  • かなり以前に「勧善懲悪もので爽快感のある小説」を検索したところ、ヒットしたのが第1回ホラーサスペンス大賞受賞作の本書。
    図書館で借りて読んでみた。

    ツッコミ所も有るけど、まぁ、楽しめたかな。
    ただ、文章が読みにくい。なんて言うか、リズム感が無いというか、流れに乗って読み進めない文章。普段、馴染みのない漢字がちょくちょく出てくるのが原因かな。

    内容的にも「?」の部分が・・・。
    主人公が復讐に至る過程をもう少し描いてくれてると、もっと感情移入しやすかったと思うけど。プロローグの後、いきなり復讐劇が始まる感じで、唐突感が否めないんだよなぁ。
    物語の大半を占める復讐部分、「バトル・ロワイアル」や「悪の教典」に似てるな、って思った。もっともメッセージ性があるぶん、「バトル~」のバカバカしさより上質。主人公の生活部分の描写や生徒との係わりが描かれている分、「悪の教典」の方が緻密。

    ラスト近く、ちょっとしたサプライズがあるんだが、この辺は好感。

    ☆3個


    「BOOK」データベース~

    卒業式を翌日に控えた高校で、突如として発生した学校ジャック事件。武器を手に、生徒を人質にとったのは、普段は目立たない中年女性教諭だった。彼女の周到に練られた計画と驚くべき戦闘力は、対峙した警視庁捜査第1課の精鋭「特警班」さえをも翻弄する。焦燥し、混乱する警察、保護者を前に、一人また一人と犠牲者が…。第一回ホラーサスペンス大賞を受賞した衝撃の問題作。


    しかし、まぁ、なんていうか、よくもこれだけワルの集まった高校があるもんだな。フィクションの世界とはいえ、ちょっと違和感なんだよな。この辺も、様々なタイプの生徒を描いてる「悪の~」の方が現実的、

  • 文章が読みづらい!

    ながらが乍らて!

  • 実際にあった事件の記事とか本を読んでいると、その犯人のやったことに対して、あまりにも刑罰が甘すぎる、と思うことが多々あります。きっと表に出ていない事件もあるから、野放しにされている加害者もいる。罰を与えればいいということではないけれど、それじゃああまりにも被害者が報われない。この本はそうした人間たちを殺すような話で、手放しでよくやった!とかは言えないけれど、やっぱりどこか主人公を応援してしまうようなものがありました。読みやすく、引き込まれました。

  • 忙しくて進まなかったが、
    「告白」と同じくらい冒頭から夢中なのは確かです。
    エンタメとして非常に秀逸。
    そして、皆さんにお薦めできます。

    また、現代社会が直面している現実の問題も考えさせられた。
    「被害者の報復」については、解説にも書かれていたが考えさせられる。

    また報復とは、社会生活の中でもあると思う。
    人が共に生きるということの本質的な難しさを考えさせられた。

    この本を、薦めていただいていた方に感謝!!

  • 卒業式の前日
    担任の女教師が突然宣言する
    「あなたたちは人質です」

    そして始まる恐ろしい粛清の嵐

    ナイフ、拳銃、地雷に爆発
    なんでもアリの展開はすさまじく
    容赦ない復讐劇は、ある種爽快でもある

    「??」な部分は、ラストで綺麗に納得

  • 大筋は、近年映画化された悪の教典や告白と似ています。途中でいくつかひっかかる部分がうまれますが、ラストのどんでん返しですべて回収されました。

  • 第1回ホラーサスペンス大賞受賞作。

    大量殺人・デスゲーム的な物語というのは
    今ではちょくちょく見る設定ではあるものの、
    振り切った面白さと綿密な作り込みが
    凡百のデスゲーム小説とは一線を画していた。

    犯人の動機としての弱さは若干感じるものの、
    犯行から決着までのディテールの細かさと
    練りこまれた計画からの実行力は
    一級品のクライム・サスペンスだった。

    本作とは関係ないけど、
    ホラーサスペンス大賞の歴代受賞者を見てびっくりした。

    わずか6回のみ行われたホラーサスペンス大賞には
    誉田哲也、道尾秀介、沼田まほかる、五十嵐貴久という
    現在大活躍している人気作家が名を連ねている。
    どういう経緯で終了したのかわからないけど、
    もっと続いていれば・・・と思ってしまった。

  • 2014.1

  • 本編に入ってすぐはバトル・ロワイヤルを思わせますし、どうやって調べた?短期間にこれだけパーフェクトに様々な技を習得するのは無理じゃない?などといったツッコミどころはあるのですが、それでも夢中になって読み進みました。
    今の世に復讐はタブーなのでしょうが、女教師の言葉「大人の本気を、知りなさい」に共感するオトナは少なからずいると思います。
    確かに内容は、突如戦闘力マックスになった平凡な女教師による周到に練られた殺戮に次ぐ殺戮なのですが、そこはそれ、エンタメ作品なのですから。ましてやターゲットになった生徒達が、彼女に「生きるに値しない」と評されてしまうような者たちなのです。
    だったら何をされてもいいのか、というのはまた別のお話。
    これは女教師によるスピーディで凄まじい展開の復讐劇を、エンタメとして楽しむ作品だと思います。

  • 不良学校の卒業式の前日に,中年の女教師が教室ジャック。
    山田某的な正統派中二病作品で,設定的には嫌いではないが,どうにも読みにくい文章で残念。

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