ヨーロッパ退屈日記 (新潮文庫)

  • 新潮社 (2005年3月2日発売)
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感想 : 197
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  • 本 ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101167312

感想・レビュー・書評

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  • 私としては、映画俳優というより、奥様の宮本さんとの映画監督のイメージが強い。映画面白かったですよね。こちらは、1960年代初め、単独渡航していた国際俳優時代のエッセイ。
    生き方も考え方も、昭和のカッコ良さ。死語になりつつある自然体のキザでお洒落。多少、悪態気味の文章は、かの、メロン・ド・ヒマワリの様でもある。挿絵もご本人のもので、さすが、元商業デザイナー。
    当時、すでに英語が堪能。小学校を特別化学教育学級で戦時中英語を勉強していたらしく、最後の方に発音のテキスト風もある。出てくるカタカナ語がやたらオシャレ。ジャギュア(当然ジャガー)なんかもうこれに統一しましょうぐらいの響。
    深夜特急の時代より、こちらの方が古いみたいですね。やっぱり時代を感じるエッセイもありますが、俳優、監督、芸術と多彩な才能の方でありました。

    • 1Q84O1さん
      おびのりさん

      おはようございます!
      日本勝っちゃいました!
      スゲーっ!
      新潮文庫からワールドカップ2022の本出ませんかね?w
      おびのりさん

      おはようございます!
      日本勝っちゃいました!
      スゲーっ!
      新潮文庫からワールドカップ2022の本出ませんかね?w
      2022/12/02
    • おびのりさん
      勝っちゃいましたね。

      狭い日本、書籍もコンパクトがよろし。
      あ、それだと電子書籍の方が、上位になっちゃう。

      本は、匂いも大事。
      勝っちゃいましたね。

      狭い日本、書籍もコンパクトがよろし。
      あ、それだと電子書籍の方が、上位になっちゃう。

      本は、匂いも大事。
      2022/12/02
    • 1Q84O1さん
      そして手触りも大事

      アナログ人間なので電子書籍より紙の方がいいです♪
      そして手触りも大事

      アナログ人間なので電子書籍より紙の方がいいです♪
      2022/12/02
  • 新潮文庫の100冊(2024)に入っていたので、読んでみました。
    立ち読みしたら、文体が好みだったのです。

    読み進めていくうちに、自分の無知さ加減を知ることに。

    「あぁ、わたしは本物を知らなかったのだな」

    カクテルにしてもファッションにしても。
    いわゆる文化というものに対して、知っていると思っていたものは「上っ面の部分」であって、基本となるものは全く知らなかった。
    お恥ずかしい。

    生きていると自分の経験が土台となり、それが軸となっていくと思うのです。そうすると、いかに本質に近い経験をするかで、軸の部分が変わってくるんですよね。

    そんなことを考えながら読んでいたら、思いの外時間がかかりました。

    伊丹十三の本物志向は今の時代でも通じるものがある。
    本物だからこそ時代に左右されない、そんな気がしました。

    こちらのエッセイで気になるフレーズがありましたので、ご紹介します。

    ”要するに、お洒落、なんて力んでみても、所詮、人の作ったものを組み合わせて身につけてるにすぎない。
    ならば、いっそまやかしの組み合わせはよしたほうがいい、正調を心懸けようではありませんか。”

    お洒落な人ほど正調で個性を出している気がします。

    因みに、正調の反対も本では説いています。

    ”正調の逆は何か。正調の逆は場違いです。”

    様々な人を見ていて思うのは、目立つ人というのは正調であっても目立つ。その人の存在自体が目を引くのです。
    何も自ら場違いな恰好、事をして目立とうとする必要はないのです。
    悪目立ちはしたくないものですね。

  • 時代を感じるし、それ故の女性蔑視も若干あるが、俳優として英語を嗜む者としてハイカラな雰囲気。特に英語関係の話は面白かった。
    嫌いなものをはっきり公言されていて、車の運転でもこれはいけないという話など、ごもっとも笑

    〜アメリカの暖房というのは凄じいものであるらしい。暑ければ暑い程よい、というのだろうか、つまり半袖シャツ1枚で仕事ができる、という風でないと気が済まないらしい。
    〜それが英国へ来ると、暖房というのが、何ともうすら寒い。確かに外よりは暖いのだが、どこからともなく、隙間風が忍び込んでくる感じ、これが本格なのだという。p82

  • ヨーロッパを旅した伊丹氏の小話が詰まった作品。
    イギリス、しかも上流階級の贔屓がすごい。
    それ以外ははっきりいってバカにしている。
    時代を感じた。
    ためになりました。

  • 映画をあまり見ないせいか、著者のことは俳優で映画監督もしていた方、というくらいしか知りません。
    読み始めてすぐは、なんだか気障だ…という印象が強く、遠巻きに様子をうかがうような感じで読んでいたのですが、だんだんその気障さがかっこよくなってきました。

    着るものや食べるもの、言葉の使い方やふるまい方。
    著者の中には、よいものとよくないものがはっきり分かれていて、その点に一切妥協はありません。
    著者の哲学や感性の鋭さを感じさせるエッセイにしびれます。

    表紙や本文中の挿絵は著者の手によるものなのだそう。
    独特の味がある線で描かれる、身の周りの品や人の表情の数々に、つい見入っていたのでした。

  • これを読んでニヤッとしたら、あなたは本格派で、しかも少し変な人です。――文庫表紙より

    まずこの、『ヨーロッパ退屈日記』というタイトルがいいではないか。タイトルで思わず借りてしまったではないか。
    内容のほうも、題名に反して(笑)退屈することなく楽しめた。今よりずっと海外に行くのが大変であっただろう時代に、「退屈」というタイトルをつけるだけあって、なかなか挑戦的で、それでいてキザな内容である。
    しかしその「キザさ」には、覚悟と信念があった。いいものはいい。格好悪いものは、格好悪い。どうせやるなら、おいしいものを食べて、高いもので洒落込み、贅沢をして何が悪い。ああ、こんな台詞、一度でいいから言ってみたいものです。

    自分の目で「本物」を見極めることは、自意識を満足させてくれると同時に、自分にも他人にもモノにも妥協しない、行動力と気力が必要なのだろうな。

    著者のことはよく知らないけれど(『お葬式』という映画は聞いたことがあるようなないような・・・その程度)、なんだか気になる人だと思った。生き方が物語になりそうな人、というかんじ。
    溢れ出しそうな教養を持った人、というのに憧れます。

  • 映画監督として有名な著者が、若い頃俳優としてヨーロッパに滞在した際のエッセイ

    著者の独特の感性というか美学が伺えて興味深い。また、当時の西欧の様子も感じれて楽しい。
    そして何より外国語のカタカナ表記の発音的な近さに驚いた。

  • 間に浮気しまくって読み終えた。
    開高健が同時代の人だと思うと、当時の若者たちから同じように憧れられる大人でも、その生い立ちや過ごし方が全然違うのが面白い。
    伊丹十三は、映画が大好きで本についてはまだ自分は入り口に立ったばかり。
    読むと大人の嗜みとして色々やっておきたいことがあるものだなぁと思う。でも、ただやるだけぎゃなくて、それを体験し、その体験を生きたものとして自分の中でも育て続けるには、物事ひとつひとつへの向き合う姿勢のようなものが問われるのだなと思った。

  • 映画監督、俳優、デザイナー、エッセイストと多くの肩書を持つ著者による1960年代のヨーロッパ滞在経験をもとにしたユーモアエッセイ。
    語学、車、ファッション、料理、音楽などのさまざまなジャンルにたいしての「こだわり」がメインで、正直、キザで鼻につかなくはないが、不快感はいっさいない。
    本書が書かれた時代を考えると、その粋でオシャレで洗練された感覚には驚きを禁じえない。

  • 映画俳優、デザイナ-、映画監督として多彩ぶりを発揮した伊丹十三氏(1933-1997)の若き日のエッセイ集。いち映画ファンとして注目したのが『北京の55日』で共演したチャック(チャ-ルトン・ヘストン)やデヴィッド・ニーヴン、エヴァ・ガードナ-、ニコラス・レイ監督の回顧場面であり、『ロード・ジム』では主演のピータ-・オトゥ-ルの律儀な役者魂を誉めちぎっているところ。語学堪能で若さほとばしる、軽快にして豪胆なエッセイの数々がギュウギュウ詰めにされている。いまは亡き伊丹さんの非凡な才能を偲びながら読む。

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著者プロフィール

1933年生まれ。映画監督、俳優、エッセイスト、テレビマン、CM作家、商業デザイナーなど、興味のおもむくままに様々な分野の職業に分け入り、多彩な才能を発揮。翻訳も多数手がけた。1997年没。

「2020年 『ちょこっと、つまみ おいしい文藝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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