ローマ人の物語 (20) 悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181707

感想・レビュー・書評

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  • 可もなく不可もなくというか、何か墜落感がないですよね、ローマは堕ちていないという主張なんでしょうが。
    あと一貫してこのお方、キリスト教には距離を取ってますね。現在のイタリアとローマが繋がっているようには個人的には正直とても思えまないのですが、その主因ととらえているようで。
    それはそれでなかなかチャレンジングな主張で傾聴に値するのかなと。

  • この巻では、後世に悪名の皇帝と言われている「ネロ」の一生の解説されています。

  • 5代目皇帝ネロの治世。
    16歳で皇帝となったネロは、就任当初はそれなりの統治を行う。一方で、母を殺し、妻を殺し、歌手業に明け暮れる姿は批判の的となる。
    ローマの大火を機に、キリスト教徒の弾圧を始めた頃から批判が火を吹き始め、最終的には軍団に離反され自死を迫られる。

    ネロというと、非常に悪人のイメージがあるが、これはキリスト教の宣伝によるもののようである。悪くない統治もあり、その点はカリグラよりマシである。

  • 新潮学芸賞

  • ローマ史だけでなく世界史の中でも有数の暴君というイメージが定着している第五代皇帝ネロであるが、本巻を読んでその印象は大きく変わった。

    16歳で皇帝に即位し、その後も自らを客観的に見る目も、それを伝えてくれる側近も持たなかったことが、ネロが安定感のある皇帝に育たなかった大きな要因なのだろう。

    キリスト教徒の迫害などを通じて、暴君という面が歴史に残っているが、外交においてはブリタニアを平定、長年にわたってローマの東方を脅かし続けたアルメニア・パルティア問題をコルブロの登用によって一定の解決をもたらすなど、彼の統治が落第点であったとは言えないように思う。

    盤石のパクス・ロマーナを単に受け継いだだけではなく、その安定を持続させるための一定の成果を挙げた皇帝として評価することも、ある一面においては可能ではないかと感じる。

    一方で、ローマ市民の支持を得るために行った都市整備やキリスト教徒の迫害、芸術の振興のための競技会の開催などがことごとく裏目に出るなど、周囲からの見られ方、見せ方を最後まで理解できないまま自滅した皇帝でもあるように思う。

    筆者の言うごとく、心の奥底に不安、自身のなさを抱えつつ皇帝の役割を担い続けることで、上手くいっているうちはよいが、少しでも綻びの兆候や民衆の支持の低下を感じると、極端な強硬策や人気取り政策に走るというのは、この皇帝の孤独な状況を物語っていると思う。

    彼の家庭教師であり当代一の哲学者であったセネカが、なぜネロにバランス感覚や長期的な視野を持たせる役割を果たせなかったのか、というのは残念なことではあるし、本巻を読んでも疑問が残る点だった。

  • かの有名な皇帝ネロの巻
    なんか、悪名高いイメージがあるが実際の統治はそうでもないみたい。
    [more]
    若い時から母親に色々と仕込まれただけあって、中々の統治を行っている。
    毎度お馴染みのアルメニア・パルティア問題も決断が遅れてしまったが、配下のうまい立ち回りで見事に解決しているし、ブリタニアの反乱もアッサリと解決している。
    ただ、読了した段階で身内殺しと芸術への傾倒の方がが記憶に残っているという事は元からあるネロにそういったイメージが強く残っているからだろうか?それとも本の書き方がそういったイメージを強くしているのだろうか。

  • ローマ人の物語〈20〉悪名高き皇帝たち(4) (新潮文庫)

  • 20180626
    カエサル、アウグストゥスから始まった「ユリウス・クラウディウス王朝」の悪名高い4人の皇帝についての巻。
    やはり、共和制から皇帝の道を切り開いたカエサル、その道を高速道路へと舗装したアウグストゥスの政治感覚は飛び抜けていたのだろう。後のメンテナンスを続ける4人は物足りなく、若く、無思慮で失政を繰り返した。
    先ず1人目はティベリウス。彼は堅実でバランス感は4人の中では抜けていたが、人嫌いが高じてカプリ島に移り住み、元老院の信頼を失った。
    続いてカリグラ。人気取りの八方美人政策ばかりで、実の無い浪費が続いた。面しか良くない皇帝と見られた。
    3人目はクラウディウス。学者上がりで人のコントロール能力が無かった。上に立つための畏敬のオーラが無かった。
    そして、悪名高きネロ。キリストの弾圧の嚆矢を放った人で、現代においても悪名轟く。快楽に走る政治中心で若さしか取り柄は無かった。

    第一人者

    ①最高司令官
    ②護民官特権
    ③拒否権
    ④最高神祇官
    ⑤国家の父

  • ローマの歴史中で最も有名、ローマ皇帝の代表者の如くに思われているネロ。私はほとんど知識なかったけど、彼の死によってアウグストゥスが始めた「ユリウスクラウディウス朝」が崩壊するのだからどんなに酷いものか。

    >ネロには問題の解決をせまられた場合極端な解決方法しか思いつかないという性癖があった。それは彼自身の性格が本質的にはナイーヴであったゆえではないかと想像する。

    この塩野女史の解説は自分を理解してくれたみたいでとても嬉しかったです。私もそうだから。でもネロにはとてもとてもかないません。十代で皇帝になってしまったから暴走してしまったのでしょうが。

    20巻目にして初めて会話の最後に!!!がついたほど逆上喋り捲る母…彼女が殺されたのはまあ仕方ないかとは思いましたがその後の罪もないキリスト教徒迫害やパルティアとの関係で大活躍のコルブロ等優秀な司令官自死強要

    >戦争は武器を使ってやる外交であり、外交は武器を使わないでやる戦争である。コルブロはこのことを知っていた武人であった

    ネロにとって師であり補佐官であったセネカにも「死を与えた」

    >政治に積極的にかかわったローマ史上唯一の知識人は死んだ

    ピソの陰謀、ベネヴェントの陰謀、ガリアのヴィンテックス反ネロで蜂起、スペイン属州からガルバ決起オトーカエキーナも支持、ネロようやく「国家の敵」宣告

  • レビューは1巻(シリーズの17巻)で。
    http://booklog.jp/users/pilvoj/archives/1/4101181675

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