聖,栖 (新潮文庫 ふ 8-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (424ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101185033

感想・レビュー・書評

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  • 一応連作。
    『栖』は『杳子』と同様神経疾患を一つの軸としているが、少ししつこ過ぎる気がした。そして当人に
    病んでいる自覚が無い分、情が移りづらい。
    『聖』は単体で通じる程の完成度で、こちらの方が好みだった。

  • 『聖』のみ読了。

  • 要読書体力!
    (この人の小説は文体に慣れるまでに少し時間がかかるかも・・)
    死者を村の川向うに送り土葬する「ヒジリ」
    なる風習が残る村落に偶然たどり着いた若者と、
    村の女との奇妙な出会いを描いた「聖」。
    その続編で、
    東京で同棲をはじめた二人が
    女の病の世界の中に、
    じりじりと閉じ込められていく様を
    非常に粘度の高い独特な筆致で描出した「栖」。
    精神疾患を発症したパートナーの妄想を、
    まずは意識的に黙殺し、
    次にいったんは向き合い(正論で否定し精神科受診を促す)、
    やがて抗わずにそれを受けいれ、
    妄想世界を実証する協同者となっていく男性の、
    心理の変遷があまりにも生々しくて、
    息苦しくなる。
    同棲・妊娠・出産を経てもなお、
    あいまいで不安定であった二人の関係が、
    皮肉にも女の発病とそれに対する男の無様な看護をきっかけに、
    歪ながらも明確な輪郭を持ち始めていく。
    つまり、病は二人にとって対立、不信の火種そのものであるが、
    同時に、
    相手が自分に影響を与える存在であると認知するための
    たった一つの方法であった、とも言いえる。
    村上春樹「ノルウェーの森」とか
    島尾敏雄「死の棘」なんかと
    読み比べてみるとおもしろいかも。

  • 読みながら、佐枝の狂気に引きずり込まれそうで怖かった。自分も紙一重なんじゃないかと。変だし、人にも認められないし、見下される側の人間として。

  • 学生のころ大学の図書館で借りて読んだ。
    特に「栖」に出てくる女性の姿に戦慄を覚えたような記憶がある。
    手元にないので文庫化しないかなあとずっと思っている一冊。

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著者プロフィール

作家

「2017年 『現代作家アーカイヴ1』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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