ブラックライダー(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101201528

感想・レビュー・書評

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  • ポストアポカリプス西部劇。最高です。

  • 読みづらいという声も多いらしいが、サービス精神満点の大娯楽作だった。
    登場人物の多さに辟易しないためには、バード、レイン兄弟、ジョアン周りの数名だけ把握してすいすい読めばよい。
    私はモブであってもネーミングが面白くて、全員メモを取りながらゆっくり読むことを楽しんだ。

    Ⅰではレイン兄弟を追うバードを通じて、荒廃した世界観を味わう。
    「明日に向って撃て!」でブッチとキャシディが荒野を延々追われる場面があるが、その舞台を世界荒廃後の荒野に置いた。
    人肉食がまだまだ廃れていないという背景もぐっとくる。

    Ⅱは打って変わって牛腹と蔑まれたマルコが、蟲の流行から逃れつつ調査する中で、いわば救世主と見做されていく過程。
    人間ではないので人生観も異なり、よい意味で冷酷。
    蟲の流行した村は焼く。それがⅢへ。
    Ⅰでは人生観にまつわるカッコイイ台詞が頻発していたが、Ⅱではカッコイイだけでなく宗教の発生といえるような深い思索が。
    またアビアーダ村の移動とともにマジックリアリズムのテイストが入ってくる。ここも面白い。

    Ⅲはいってみれば戦争。
    ロストテクノロジーも活用して攻め込む討伐隊と、ゲリラ的に応戦する村およびインディアン。
    みながみな荒くれでどうしようもない男どもだが、こうしか生きられなかった悲哀、といったものが戦場に美しく散る。容赦なく。
    ここにおいて発生する抒情こそが、読書を通じて私が欲しているものだ。

  • 傑作。しばらく小説読む気にならないほどの。大森望の解説もまた完璧で良かった。

著者プロフィール

1968年台湾台北市生まれ。9歳の時に家族で福岡県に移住。 2003年第1回「このミステリーがすごい!」大賞銀賞・読者賞受賞の長編を改題した『逃亡作法TURD ON THE RUN』で、作家としてデビュー。 09年『路傍』で第11回大藪春彦賞を、15年『流』で第153回直木賞を、16年『罪の終わり』で中央公論文芸賞を受賞。 17年から18年にかけて『僕が殺した人と僕を殺した人』で第34回織田作之助賞、第69回読売文学賞、第3回渡辺淳一文学賞を受賞する。『Turn! Turn! Turn!』『夜汐』『越境』『小さな場所』『どの口が愛を語るんだ』『怪物』など著書多数。訳書に、『ブラック・デトロイト』(ドナルド・ゴインズ著)がある。

「2023年 『わたしはわたしで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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