はい、こちら国立天文台: 星空の電話相談室 (新潮文庫 な 54-1)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101205212

感想・レビュー・書評

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  • プロの作家の作品ではないので、決して読みやすい本ではありません。
    逆にリアリティを強く感じるところもありますが。
    国立天文台に寄せられる電話から見える日本の科学教育への不安や希望が語られます。
    ネタは好きなのですが、ちょっととっちらかった印象です。

  • 疑問がひとつ解決すると、想像の世界は逆に広がる
    宇宙って、そんなとこ

    こんど、わからないことは電話してみよう

  • 武蔵境、三鷹の森にある国立天文台の「広報普及室」。そこにかかってくる一般の人からの様々な質問電話を受ける筆者が、それをまとめたエッセイです。

    個人的に天文ネタが好きなのと、例えばサポートセンターに掛かってくる面白電話ネタも好きなので、その両方の要素を兼ね備えた本書は、とても楽しく読むことが出来ました。

    遠隔地に住む少女との一種感動的な交流、日本の科学教育への不満と提言、マスコミの弊害、などなど、国立天文台の電話を通じて様々な社会の姿が見えます。

    けして「面白おかしく」書いているわけではなく、筆者の人となりか、非常に真面目で誠実な文章なんですが、やはり、そこで起こる良くも悪くも様々なハプニングが面白おかしいんでしょうね。

    (2006年読了)

  •  ピロピロピロピロ……
     今日も国立天文台広報普及室の電話がなる。電話の主の目的は様々だ。「月を見るにはどうすればいいですか?」「○○年の○月○日は何曜日ですか?」「初日の出は何時に見れますか?」等など。
     今回はどんな内容の電話だろう。ひと呼吸置いて受話器を取る。

     著者は理学博士で、東京大学地震研究所を退官後、東京・三鷹に所在する国立天文台広報普及室に勤務。本人曰く「国立天文台の電話番」を担当し、1993年から2002年まで務めたそうだ。この本はそんな筆者の経験をもとに、国立天文台広報普及室の仕事の内容や、天文に関する面白エピソードを紹介。それらを通して著者が科学や天文学にかける想いを語りかけてくる。
     2001年に地人書館から刊行された『天文台の電話番』の改題・文庫版である。

     天文台にかかってくる電話は相手も様々だ。宿題で星について調べている小学生、天体ショーについて情報が欲しいマスコミ、研究中の学生、ちょっとおかしな理屈をまくしたててくる人…。
     僕自身、会社で問い合わせやクレームの電話を受けることが多い。そういう部署に勤務している訳ではないのだが、間違ってかけてくるお客さんが多いのだ。もちろんかかってきた以上かけ直せという訳にもいかないから、自分でとりあえず受ける。そんな中には理不尽なものも多かったりする。
     そんなんだから、いわゆる「お客様相談室」的な部署で働く人たちは相当ストレスが溜まるだろうなあと思うのだ。

     しかしこの本の著者、元々理学博士というだけあり、また年の功もあって、対応が実に堂々としているというか、動揺しないというか、すごく落ち着いている。
     知識も豊富にあり、年齢も重ねているので、そこらの若者など恐るるに足りないのだろうか。最近の「お客様」を腫れもののように扱う企業の風潮とは一線を画しているようにも見える。
     例えば電話で「絶対間違いないですか」と聞かれた時、著者は「そんなの、要求する方が無理ですよ。天文学では昨日まで正しいと思っていたことが今日になって覆ることもありますから。同じ内容でも、解釈しだいで正しいとも正しくないともいえる場合もあります。こちらでは正しいつもりでご返事申し上げてはいますが、絶対正しいと保証することはできません」と突っぱねる。
     宇宙は不変ではない。刻一刻と変化している。その通りではあるのだが、僕のような若造にはとてもできない対応だ。
     また何かあるたびに同じ質問ばかりしてくるマスコミに対しては「バカのひとつ覚えのように『前回は』『次回は』と質問を繰り返すよりも、内容をもう少し考えて、整理してから質問してもらいたい」と語る。国立天文台は公的な施設だから、ある限りの情報を提供するのが当然でしょう、という相手の態度には内心で腹をたてる(絶対態度にも出ていると思う)。
     痛快ではあるのだが、果たして公務員でなく民間企業の広報窓口がこんな態度をとっていたらその会社はどうなってしまうかな?とも思ってしまう。

     ともあれそれくらいの図太さがなくてはやっていけない職場でもあるのだろう。公的機関であるからこそ福利厚生に潤沢な予算をとれる訳でもないだろうし、ストレスやプレッシャーに押し潰されないというのはそれはそれで適性なのだろう。

     そんな仕事を続けながら宇宙や天文の魅力について語っていく。天文学者というとロマンチックな人たちだと思われがちだが、その現場には普通の人たちが働いていて、普通に暮らしているのだ、と説く。そしてそんな人たちが築いてきた天文学という科学の楽しさや面白さ、そして科学的な立場でものを見る事の大切さを語る。
     話の内容は星座にまつわる伝説から、海外の教育事情に至るまで幅広く興味深いものだ。「午前12時/午後12時」についての考察は僕らの生活に深く関わることであるからずいぶん引き込まれてしまった。あと暦に関する話などはとても面白いが、旧暦なんか無くしてしまえばいいのにという少々乱暴な持論にはちょっと辟易した。僕が住んでいる沖縄など、日常生活に旧暦が深く関わっている地域はまだあるのである。
     沖縄といえば、石垣島の女の子から彗星の写真がどうしても欲しいという内容の電話がかかってきた時のエピソードが微笑ましい。著者はこの子に特別に写真を送ってあげるのだが、そのお礼にとサーターアンダギーが送られてきたという。東京から遠く離れた島との小さな交流だが、この女の子がこれをきっかけにますます宇宙に興味を持ってくれていたらいいな、と思う。

     一本の電話から始まる小さな物語。J-WAVEのラジオ番組「docomo東京REMIX族」では、2010年1月の放送でしょこたんこと中川翔子がこの本を紹介していた(公式blogにその時の画像が掲載されている)。さすがしょこたんだなあと思った。

  • ・?/? 読了.

  • 天文に関する蘊蓄は興味深いが、相談者に対して少々突き放して接しているように感じる。まぁ、困惑する問い合わせもあるのだろうが、なんだか冷たいよな。

  • 特に新しい話はなく、地味なエッセイという雰囲気。

  • 11/13読了

  • 国立天文台の広報普及室、質問受付専用の電話にはいろいろな質問が全国から寄せられるとのこと。その回答者をしていた方のエッセイです。

    ひとつのエピソードとして、石垣島から電話をかけてきた中学生のお話がありました。
    ヘール・ボップ彗星の写真を送ってほしいとかけてきたその女子中学生に、天文雑誌などに載っていますよとアドバイスするも、「なかなか本は買えないんです」と言われてしまう。聞くと石垣島からかけているという。
    都会のように容易に雑誌が手に入るところではないから、一枚の彗星の写真を送ってあげたのだそうです。もちろん、本来はこのような問い合わせにいちいち送ったりはしないけれど、このときばかりは希望を叶えてあげたくなったのだとか。
    その後、その子からサーターアンダギーが送られてきたそうです。


    私が沖縄にいた3年の間にスペースシャトル初飛行(1981)、ハレー彗星の発見(1982)という大きな出来事があり、おそらく世間的にもそうだったでしょうが小学1年生の私もひとり天文ブームに沸いていました。天体望遠鏡を買ってもらい、皆既月食を観測したのを覚えています。

    図鑑や星座早見盤を手元に見ていたとはいっても、こどもだから正確に図が読めていたわけではありません。地表近くに見えていた大きな赤い星が月なのか火星なのかわからなくて日記に書いたこともあります。

    この本を読んではじめて国立天文台に質問用の電話窓口があるということを知り、またそれがマスコミやそれ以外に業務上必要な人が問い合わせてくるところではなくて、普通の小・中学生や大人の素朴な疑問にも親切に応えてくれるところなのだということを知りました。
    もし、小学生の私がこの電話番号を知っていたらかけていたかもしれません。

    いまはわざわざ電話をかけなくても、多くの情報はインターネットで手に入れることができます。国立天文台のホームページにもよくある質問のページがあり、天文や暦に関する一般的な疑問はここで解決できます。

    この本にも天文学の豆知識がたくさん出てきて面白いです。
    それから強調されているのは、科学的思考を身につけることの大切さ。
    UFOのようなオカルト的なことをすぐに信じ、科学的説明を否定したがる人の多さを危惧することが書かれています。
    星空をバーチャル世界でしか知らない人は、そこにUFOを描いてみてもなんの違和感もないかもしれません。実際に見て触って考えるという機会は確かに少ないような気がします。

    あとがきの解説は松本零士が書いています。
    楽しく読めてためになる本でした。

  • 天文台に寄せられる年間一万件を越える問い合わせ。<br>
    その様々なエピソードが、人間模様+天文学のウンチク満載で語られています。<br>
    問い合わせの電話をしてくる人には変わった人も多いわけで、大変だとは思うけれど、やっぱり人と関わる仕事が面白いなぁ。なんて思ったりもしました。<br>

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