うかれ女島 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.69
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本棚登録 : 125
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101205847

作品紹介・あらすじ

お前の母親は淫売や――大和が小学生の時、母親は飛田新地から売春島に渡った。以来絶縁し二十年。島で娼婦、女衒として生きた母は、溺死体となって発見された。遺されたのは、四人の女の名前が書かれたメモ。保育所経営者、主婦、一流企業の会社員、女優……皆、島で体を売った過去があった。そのうちの一人に誘われ、大和は島へ向かう。母の死と女たちの秘密とは。衝撃の売春島サスペンス。

感想・レビュー・書評

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  • 花房観音『うかれ女島』新潮文庫。

    自分の母親のルーツを辿るミステリーっぽい作品。ストーリーは面白さに欠ける。

    主人公の大和は飛田新地から売春島に渡り、20年後に謎のメモを残して溺死体となった母親のルーツを探る。母親がメモに残した4人の女性の名前。4人は自らの売春島での過去を語るが……

    本体価格670円
    ★★★

  • 伊勢志摩に実在する島で、渡鹿野島を連想する方もいるかと思います。
    現在も島に住んでおられる方々がいるので作品名はもう少しオブラートに包んだら良かったのでは? と思うのは私だけでしょうか!
    風俗嬢をネタにしたルポ小説は沢山ありますが、(フィクションですが)実際に売春を生業にしていた島の女性達を題材にしたストーリーは新鮮でした。
    風俗嬢になる理由は人それぞれだと思いますが、この島で働くに至った女性達には凄く重い何かがあるのだと感じました。

  • 側から思う恥ずかしさは、不可避な欲望だった?それは誰しもが異なる形で無意識に持っているのかもしれない。恥を知れ!と言う人にも恥ずかしい一面は必ずあるのかな。
    襟をただすべきと言い放つ政治家ほど自分の欲望を抑えられないのと同じような気がする。

  • 売春宿がある島がテーマで、そこで売春婦をやっていた女たちのお話。遣り手婆が死んで、その知らせが元売春婦たちに届き、彼女たちの物語が語られる前半は秀逸。島を訪れ、なんとか話を収束させようとする後半がいまひとつで、とても残念。

  • 売春を盛り込んでいるため性的な描写も見られる大人向けの作品。
    サスペンス要素も勿論あったけどヒューマンドラマとしても面白かった。

    体を売り生きてきた女たちと、母親の事で幼い頃同級生に虐められた大和。
    対比がよくて読んでて良かった。

    最後の方にある事実が出てくるんだけど・・・・うん、大和頑張れとだけ書いておくわ

  • 伊勢田大和の母親 幸子は、娼婦としての仕事にのめり込み大和を置いて"うかれ女島"に行ってしまい、彼は祖父たちに育てられ、会社員となって現在渡谷柚香と付き合っている.彼女に母のことは話していない.幸子は島では真理亜と名乗り女衒として多くの女を扱ってきた.真理亜が死んで4人の女の存在を知った大和は手紙を書いたが、彼女たちは前歴を隠していた.その中で忍と接触でき、島の様子が次第に分かってきた.それぞれの女たちの生き方は打算に満ちたものだが、春日まどかの同僚だった桐口瞳子と忍で島に行った大和らの行動で真理亜を含めた女たちの境遇が明らかになっていく過程が楽しめた.

  • 実在の“売春島”を舞台にしたサスペンス。生々しく女性の性を書いた作者花房さんのポリシーを強く感じる作品。東電OL殺人事件の被害者をモデルにした娼婦も出てくるが、彼女の人生の解釈が斬新。

  • 女性の欲求について、これほど真正面から描写した作品は読んだことなくて、新鮮で興味深かった。島の存在とともに、忘れることができないと思う。

  • f.2023/1/9
    p.2021/1/6

  • 2021年、1冊目。

    伊勢田大和。彼の母親が溺死した。場所は売春島と呼ばれる場所。かつては、娼婦として、その後は女衒として島に残った母。母の死を報せるよう、四人の名前が書かれたメモがあった。そして、彼は、四人に連絡をとる。

    基本フォーマットは、花房観音女史の得意とするトコロであり、女史一流の考え方、価値観で成り立っている。その流れで、前半五章までは、かなり好み。そこからどぅ展開して行くのか……、と思ったら……。

    正直、「春日まどか」の件だけちょっと宙ぶらりんなのが残念。

    前半五章までの貯金で、3.7評価、オマケ繰り上げの★★★★☆。

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著者プロフィール

兵庫県豊岡市生まれ。
京都女子大学文学部中退後、映画会社や旅行会社などの勤務を経て、2010年に『花祀り』で団鬼六賞を受賞しデビュー。男女のありようを描く筆力の高さには女性ファンも多い。
著書に『寂花の雫』『花祀り』『萌えいづる』『女坂』『楽園』『好色入道』『偽りの森』『花びらめぐり』『うかれ女島』『どうしてあんな女に私が』『紫の女』など多数。
現在も京都でバスガイドを務める。

「2020年 『京都に女王と呼ばれた作家がいた』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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