いつも彼らはどこかに (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.51
  • (23)
  • (63)
  • (71)
  • (14)
  • (3)
本棚登録 : 952
感想 : 76
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101215273

作品紹介・あらすじ

たっぷりとたてがみをたたえ、じっとディープインパクトに寄り添う帯同馬のように。深い森の中、小さな歯で大木と格闘するビーバーのように。絶滅させられた今も、村のシンボルである兎のように。滑らかな背中を、いつまでも撫でさせてくれるブロンズ製の犬のように。――動物も、そして人も、自分の役割を全うし生きている。気がつけば傍に在る彼らの温もりに満ちた、8つの物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【うさぎまつり】の一冊。

    うさぎの表紙ということで。

    人と動物を描いた八篇。

    この作品もぴったりすんなり入り込めて好き。

    現実と架空の境界線をずっとゆらゆらどっちつかずのまま揺蕩う感じ。
    この感覚がたまらなく心地よい。

    どこか遠いようでどこか近い場所。
    そこで密やかに、でも圧倒的な存在感を放ちたった一つを慈しむ人たち。

    彼らが時折自分を動物に投影させているようで、その情景がたまらなく心をせつなくキュッと柔く掴んでくる。

    どれもいつまでも波紋が拡がり続けるかのような余韻。

    沼のほとりに残されたような寂寥感さえも含めて好き。

  • 最近、時折読んでいる小川洋子さんの文庫本は、全て、私が引っ越してきた町で見つけた古書店で購入したもので、実は少々煙草の匂いが残っていました。まあ、気にする方もいらっしゃるとは思いますが、私は問題なし(むしろ、後で見開きがよれよれになっていることに気付いた方が嫌)。

    逆に、私の前に読んでいた人はどんな人だったのだろうと、想像してしまう。リラックスしながら読んでたのかな、なんて。自分のスタイルで読書したいのは、すごく共感できる。

    前置きが長くなったが、この短篇集に登場する人たちは、皆、それぞれの行動スタイルというか、夢中になるものを持っている。しかし、その裏には、何かを失ったことが原因になっている人たちが多い。

    失ったものがあるから、それに代わるものを探しているのかな。それでも、いなくなったものを想像するのは、納得できるものを探し続けているんだ。

    その結末は様々だけど、新たな人生の糧になることもあるし、微妙に思うこともある。けれど、その人が自分で判断すればいいわけであって、時には、共感しづらいものもあったが、それだけ人生は幾通りにもなるということだと思う。私が理解できることだけが、世界の全てではない。そう思わせてくれる小川洋子さんの作品は、周囲との共感の少ない私にすごく合う。

  • 時間を忘れて一気に読破したくなるサスペンスフルな小説もいいけど、
    不思議でシュールでユーモラスな1つの短編の世界に
    1日の終わりにじっくりと浸るのも読書の醍醐味だ。

    本書はまさに寝る前に1話ずつ
    ゆっくりと読んで欲しい短編集。


    たちまち非日常にさらってゆく魔力と甘美な陶酔。
    残り香のように漂う異国情緒。
    小川作品に顕著な、
    物語の中、息を潜めた死の匂いとうっすらとした狂気。

    どの話も様々な動物たちをモチーフに、
    そこにしか居場所のない
    小さな場所に生きている人を描いている。


    スーパーマーケットで試食品のデモンストレーションガールをする女性は
    狭いモノレール沿線から抜け出せない自分の心情を、
    フランスの凱旋門賞に向かうディープインパクトの帯同馬ピカレスクコートに重ねて彼の無事を祈る
    『帯同馬』、

    交流のあった異国に住む翻訳家の死を機に
    彼の息子とその恋人に会いに行く小説家の「私」。
    ビーバーの小枝を登場人物に見立てて翻訳作業にかかるシーンが詩情に溢れ心に残った
    『ビーバーの小枝』、

    ドールハウスを作ることに没頭する引きこもりの妹と
    それを支え手助けする兄と祖父。
    まるでラッセ・ハルストレム監督の「ギルバート・グレイプ」や
    クレイグ・ギレスピー監督の「ラースと、その彼女」、
    若きジョニー・デップとメアリー・スチュアート・マスターソンの「妹の恋人」などを彷彿とさせる
    微笑ましく暖かな世界観がかなりツボだった
    『愛犬ベネディクト』、

    何かしらの理由で旅ができない人のため、身代わりとなる品をガラス瓶に入れ、依頼主に成り代わって指定のルートを巡る仕事をしている女性。
    幼くして亡くなった弟への美しい思い出を胸に旅をする彼女がどこか哀しい
    『竜の子幼稚園』

    などが特に印象的だった。


    それにしても小川洋子の物語る腕力、恐るべし!

    試食品を食べに毎日スーパーマーケットに現れる嘘つきな小母さんや
    仕事の帰り道にアイスクリームを買って食べることを唯一の楽しみにしている売店のおばさんの孤独に胸を打たれ、

    「ハモニカ兎」で野球というスポーツを初めて見た人たちの反応に笑い、

    落丁本だけを扱う「落丁図書室」に心ときめき、

    自分の誕生日と同じ日付の賞味期限が記された食品を宝箱にコレクションする男の子にシンパシーを感じ、

    寄生虫に侵された蝸牛が床中を這い回るシーンのホラー的展開に戦慄を覚え、

    旅ができない依頼人の身代わりをガラス壜に詰め、各地を旅する仕事には
    果てしない浪漫を感じて、
    しばし僕自身、この物語の奇妙な登場人物たちと
    一緒に旅をした気分に浸ってしまった。


    そして、なんと巧みな想像力なのだろう!
    ページをめくるたびに
    異国の御伽噺を読んでいるかのような錯覚に陥ること必至の極上の心地良さ。


    メールや電話なんか無視してベッドに潜り込み、
    1日の終わりに本書を慈しむようにめくる幸せは
    何ものにも代え難い至福の時を約束してくれる。

    • 円軌道の外さん
      kwosaさん、あったかいコメント(ラブレター笑)ありがとうございます!
      一か八かで、
      ちょっとキツい言い方かな~っと思いながらも、
      ...
      kwosaさん、あったかいコメント(ラブレター笑)ありがとうございます!
      一か八かで、
      ちょっとキツい言い方かな~っと思いながらも、
      コメントに強いメッセージを込めたんですが、
      ちゃんと胸に届いたなら
      ホンマに良かったです。

      僕も取り敢えず声が聞けたことに、ホッとしています。
      (僕は僕で、僕からのコメントを読んだことによって、逆にkwosaさんから返事をくれなくなるんじゃないかって、内心ドキドキでした汗)


      ん~、やはり、そうですか…。
      僕と同じくkwosaさんもある日突然、書けなくなってたんですね。
      まろんさんの離脱は僕も正直ショックでしたね…。
      いなくなってからも何度もコメント書いたし、
      マメにポチしに行ったり、
      僕なりに努力はしてみたんですが、
      今のところ、成果は出ていません。

      まろんさんがここを去っていった気持ちは、なんとなくですが分かってるんです。
      それだけになんだかな~って、ツラい気持ちになります。

      以前kwosaさんに
      レビューを書くに際して
      気をつけてることをお互い話したことを覚えてますか?

      ネットで繋がるって、
      顔や姿が見えないから、
      普通の出会いよりも簡単に
      知らない人とお近づきになれるんです。

      そして話をして、言葉を何度も交わすことによって、
      信頼が生れる。

      そこは現実のリアルな世界と同じ流れなんだけど、
      難しいところは、
      ネットだから、
      『繋がることをいつ止めてもいいという点』。

      それは、ネット社会の利点であり欠点でもあって、
      簡単に繋がれる分、
      やはり簡単に切れちゃうんですよね。

      だからまず、ネットの中で誰かと繋がることを望むなら、
      ここを理解した上で、
      (離れていくのは仕方がないということ)

      ロボットや2次元の世界のキャラとではなく、
      今繋がっている相手は、
      自分と同じように血が通った生身の人間だということを常に意識して、頭に置いて、
      コミュニケーションをとることが大事だと思うんです。

      まぁ、当たり前のことを言ってるんだけど(笑)、
      じつはみな、分かってないんです。

      人と繋がることや信頼を築くことは
      本来大変で困難なことなんやけど、
      そこだって忘れてるんです。
      ネットではすべてが簡単に済んじゃうから。

      誰もがどこかで、ネットだから気楽にやればいいとか、
      ネットだから人に気を使わなくても許されるとか(笑)、
      相手が生身の人間だということをやっぱ
      忘れがちになるんです。

      人間関係を築くのに、
      ネットもリアルもないし、
      ちゃんと心と心のやりとりを僕はしていきたい。

      心で返してくれた人には
      礼を尽くして、真摯な対応したいですもん(笑)

      去っていく人たちがいるのは仕方がないことだけど、
      繋がる以上は相手が生身の人間だということを
      常に頭に置いて、
      不義理なことはしたくないし、
      ちゃんと心通わせていきたいですよね。


      つか、めっちゃ長くなってしまったッス!(^_^;)

      2018/01/22
    • 円軌道の外さん
      ということで、2つに返事分けて書きますね(笑)
      (つか、相も変わらず、言いたいことを簡潔に書けなくてすいません!)

      あと、基本的な本...
      ということで、2つに返事分けて書きますね(笑)
      (つか、相も変わらず、言いたいことを簡潔に書けなくてすいません!)

      あと、基本的な本が読めない問題とか、
      精神的なストレスや仕事や環境の問題とか
      ブクログを離れる要因はいろいろあるだろうけど、

      僕が自分のことは棚に上げて(笑)、
      師匠であり、ライバルだと勝手に思ってる(笑)kwosaさんに言いたいことは、
      簡潔に要約すると、



      それだけいい文章が書ける人が
      何を言ってんですか!



      です(笑)。もうそれに尽きます。

      望むにせよ、望んでないにせよ、
      kwosaさんは人を惹き付ける言葉や文章を書ける人なんです。
      それって誰もができることじゃないんです。

      それは、生まれもった才能かもしれないし、育ってきた環境によって自然に身に付いたモノかもしれない。
      僕がkwosaさんのレビューからいつも感じるのは、
      小川洋子や川上弘美や皆川博子なんかと同じく、
      人間としての品の良さです。

      それがあるから、淫らなことや汚い言葉や(笑)、厳しいことをたとえ書いたとしても
      品性を失わない育ちの良さ、人間としての懐の深さを感じるんです。
      だから読んだ人を嫌な気持ちにさせない。
      それってある意味、特殊な才能ですよ!(笑)


      それってkwosaさんの生きてきた人生が投影された
      kwosaさんだけの文体なわけです。
      真似したくても、どうあがいても、
      僕にはできないし、そんな風には書けない。

      kwosaさんに憧れてきた僕からしたら、
      本当に悔しいことですけどね(笑)

      だから、書くことや、
      誰かに何かを伝えることを
      簡単に放棄することだけはしないでください。

      書くことを止めるということは
      誰かに何かを伝えることを諦めることと同じだし、
      声を出すことを止めるに等しいんです。

      僕らはプロの物書きじゃないし(笑)、
      たかが趣味の場で、
      熱くなり過ぎって思われるかもしれないけど、
      人間って弱いから
      声を出すことを止めると
      その先、ずっと諦めて、
      いざ、声をあげたくても出し方が分からなくなる。

      書くことを止めると
      今度は書きたくても二度と書けなくなっちゃう。

      要は生き方の問題です。
      誰かと繋りたけりゃ、声を出し続けなきゃいけないし、
      諦めの人生を歩みたくなけりゃ、
      今諦めたら、そこでおしまいなんだと思うんです。


      はからずも、なんかどっかの漫画で聞いたことのある台詞になっちゃったけど(笑)、

      kwosaと僕がライバルだと勝手に仮定するなら(笑)、


      僕がハックルベリー・フィンなら、
      kwosaさんはトム・ソーヤだし、

      僕が和也なら、kwosaさんは達也だし、

      僕が行天なら、kwosaさんは多田だし、

      僕が力石なら、kwosaさんは矢吹ジョーだし、

      僕が助六なら、kwosaさんは八雲師匠だし、

      僕が小次郎なら、kwosaさんは武蔵だし、

      僕がドクター・キリコなら、
      kwosaさんはブラック・ジャックだし、

      僕があたるなら、kwosaさんはラムちゃんなわけですよ(笑)


      最後はちょっと違うか(笑)


      つまり、ヒーローは何度だって、
      立ち上がるんです。
      立ち上がらなきゃならないんです。


      kwosaさんには、望むにせよ、望まないにせよ、
      待っててくれる人がいて、
      kwosaさんのレビューを読んで
      本に興味を持って、
      そこから読書に目覚めていくきっかけになった人もいるわけですよ。

      だからヒーローでいてください。
      僕の師匠であり、ライバルでいてください。


      今は雌伏の時です。
      バネは最も縮められたときに最大の反発力を発揮します。
      だからこれからが逆襲のときです。

      kwosaさんの生きてきた人生を見たいし、
      見せてください。
      (音楽レビューももっと書いて欲しいな)


      やっぱりバカ長い文章になったけど、
      (そしてやはりラブレターですね、これは笑)


      届いてるかな。

      届いて欲しいです。



      2018/01/22
    • 円軌道の外さん
      hotaruさん、遅くなりましたが、
      たくさんのいいねポチとコメントありがとうございました!

      あっ、お気遣いも恐縮です!
      今週は東...
      hotaruさん、遅くなりましたが、
      たくさんのいいねポチとコメントありがとうございました!

      あっ、お気遣いも恐縮です!
      今週は東京は久びさに大雪が降ってうちの町でも
      25センチほど積りました。
      僕は昼間は便利屋の仕事をやっているのですが、今週は雪かきの依頼や夜逃げの引っ越し仕事や遺体の出た部屋の掃除など、かなりバタバタと忙しくしてました。

      そうですね。小川さんの作品に纏う、独特の雰囲気や空気感が僕は好きなので、
      実はストーリーは二の次なんです(笑)
      よしもとばななさんや吉田篤弘さんもそうなんですが、
      文体や世界観に惚れている作家は、
      もう読んでいる間は幸福感に包まれているので(笑)、
      それだけで充分満足しちゃうんですよね。

      あと、小川さんは映像喚起力に優れた作品を書くので、
      イメージの世界に浸りやすいってのもあるのかな。
      妄想しやすいから現実逃避にはもってこいの作家だと思います(笑)

      いやいや、ふだんから誉められ慣れてないので
      ホンマ恐縮です!(汗)

      まぁ、そんなこんなでボチボチやっていくので
      今年もよろしくお願いします!

      2018/01/28
  • 動物に纏わる短編集
    動物といってもビーバーの頭蓋骨やブロンズ製の犬など生きてないものに対しても想いを寄せる。
    「ビーバーの小枝」亡翻訳家を偲ぶ。印象的。
    「愛犬ベネディクト」ブロンズ製の犬を愛する妹が入院。彼女が作るドールハウスに圧倒される。
    「チーター準備中」冒頭から切ない

  • 今まで読んだ中で1番静かな作品だった。いつもより重く深く静か。ページをめくる音すらたてたくない。深夜ひとりでただただ読んでいた。風の音や鳥の羽ばたく音、そしていつもどこかにいるであろう彼らを感じながら。

    3話目まで正直きつかった。面白くないわけではなくきつかった。なかなか浮上出来なくてもがいている感じ。特にハモニカ兎は…。4話目から話に入り込めて楽しめるようになった。
    「目隠しされた小鷺」と「愛犬ベネディクト」がとても好き。

    「帯同馬」
    帯同馬と言うのがあるという事を初めて知った。その立場、その役割、重要だけど切ない。そして帯同馬としてなら遠くに行けるかもしれないと考える彼女の事も切なく思う。
    「ビーバーの小枝」
    ビーバーの頭蓋骨が送られてきたらびっくりするだろうな…小説家のように大切に使っていけたらいいなぁ。
    「ハモニカ兎」
    寂しそうなハモニカ兎。うさぎの話は楽しい話がいいと思う私はわがまま。この村にくるオリンピック競技については笑えた。盗み…確かに。
    「目隠しされた小鷺」
    美術館の受付女性と移動修理屋アルルの老人、画家Sと魚屋の女主人、移動修理屋アルルの老人と『裸婦習作』の関係が好き。
    どの関係にもはっきりとした決着はなく色んな事を想像してはため息をつく。
    「愛犬ベネディクト」
    『ええ、いいのです。いつまででもいいのです。私の背中はそのためにあるのですから』ベネディクトの背中を私もいつまででもなでたい。
    ベネディクトは生きていてこの話は全部本当の話、そう思わせる力が小川洋子さんにはある。
    「チーター準備中」
    hを亡くした女性がhを求め探している姿が切ない。いないものを誰よりも大切に思える人。
    「断食蝸牛」
    この話は苦手。想像したら鳥肌が立ちそうだから。ひゃー。
    「竜の子幼稚園」
    身代わり旅人、何らかの理由で旅ができない人の代わりに旅をする仕事。素敵な職業だ。身代わりガラスの中に依頼人から預かった物を入れて旅をする。
    代わりに旅をしているのではなく、その人に付き添って旅をしているのだと思う優しい彼女の今回の旅は何処へ…妄想に耽ったまま読了。

  • どこかの国でひっそりと静かに暮らす誰かの側にはいつも彼ら(何か)が寄り添っている。それは生きた動物だったり、物であったり…。 大きな出来事はおこらない、物語の結末もよくわからない。けれどその世界観にじわっ〜と浸れるような短編集。
    特別なことがなくても平凡に暮らす私たちでも小川洋子さんの手にかかれば素敵な物語になるのかもしれない。自分の心にそっと寄り添ってくれているものって何だろう…

  • 再読。

    小川洋子さんは好きすぎて、
    図書館で借りて読み、購入しても読む!

    動物を絡めた短編。
    少し悲しかったり、ほっこりしたり、
    この人の描く物語と独特な文章の世界観が
    どれもステキな一冊です。

  • 小川洋子さんの世界観が爆発しています。『断食蝸牛』は『薬指の標本』のにおいがして「この感じ!」となる作品でした。

  • 心温まりたい時に読みたい一冊。

  • 小川洋子の小説は、喪失感からくる寂しさと、薄っすらとした気味悪さやグロテスクさの塩梅がきれいで好きだなあと、この作品を読んで、また実感しました。

    実在はしない、もしくは私自身は見たことがないものや景色なのに、ハモニカ兎が広場に佇んでいる様子や、ミニチュアハウスと愛犬ベネディクト、蝸牛であふれる風車小屋が目に浮かび、チーター準備中は物語に漂う寂しさからか冬の空気感を感じるような気がして、ゆっくり1編ずつ読みたくなる1冊でした。

    個人的には最後の「竜の子幼稚園」が好きでした。
    いつかふとした瞬間に、脳裏にひっそりと蘇りそうなシーンがたくさんある1冊でした。

全76件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1962年、岡山市生まれ。88年、「揚羽蝶が壊れる時」により海燕新人文学賞、91年、「妊娠カレンダー」により芥川賞を受賞。『博士の愛した数式』で読売文学賞及び本屋大賞、『ブラフマンの埋葬』で泉鏡花文学賞、『ミーナの行進』で谷崎潤一郎賞、『ことり』で芸術選奨文部科学大臣賞受賞。その他の小説作品に『猫を抱いて象と泳ぐ』『琥珀のまたたき』『約束された移動』などがある。

「2023年 『川端康成の話をしようじゃないか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小川洋子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
瀬尾まいこ
小川 洋子
スティーヴン・ミ...
今日 マチ子
宮下奈都
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×