東の海神(わだつみ) 西の滄海 十二国記 3 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101240558

作品紹介・あらすじ

延王尚隆と延麒六太が誓約を交わし、雁国に新王が即位して二十年。先王の圧政で荒廃した国は平穏を取り戻しつつある。そんな折、尚隆の政策に異を唱える者が、六太を拉致し謀反を起こす。望みは国家の平和か玉座の簒奪か-二人の男の理想は、はたしてどちらが民を安寧に導くのか。そして、血の穢れを忌み嫌う麒麟を巻き込んた争乱の行方は。

感想・レビュー・書評

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  • 十二国記エピソード3です。エピソード1や2では安定した国として描かれていた雁国の500年ほど前の物語です。頼れる延王と延麒として活躍していた尚隆と六太のビハインドストーリーが描かれています。十二国記シリーズで直接描かれている世界の中では最も古い時代のようです。

    流された蓬莱で戦禍に巻きこまれて、食うに困った家族に捨てられ、そのまま常世国に戻った六太は、王を見つけてから2年後、同じく常世国で家族に捨てられた少年と出会います。麒麟でもないのに妖魔を引き連れたその特別な少年と仲良くなった六太は、少年に更夜と名付け、別れ際に関弓での再会を約束します。
    その18年後、延国の一州、元州の長官となった更夜と本当に関弓で再会することになります。しかし更夜は、元州の実質的な州候、斡由の指示で、六太を拉致するためにやってきたのでした。

    ようやく王座について前途多難な国の立て直しが軌道に乗り始めたかに見えた尚隆と六太。一方で民を救うためには国の統治では不十分であると王に不満を抱き、王以上の地位を望む斡由と更夜。麒麟が天命に従って王を選び、王がその権限で国を統治する、それが正しいとされる世界で、お互いの思惑が交錯します。
    「王」という存在に寄せる民の期待の大きさが描かれますが、尚隆はその責任や重圧を全く意に介していないような振る舞い。しかし「俺はお前に豊かな国を渡すためだけにいるのだ」という台詞からは、民を思う王の覚悟がうかがえます。

  • 1日で読み終わるとは思わなった。
    途中何で何で内乱になったんだっけ?となって後半で斡由がただ官位?というか名誉みたいなのが欲しくてやってるってなってだからどこに話が進んでるのか分からなかったのか?って勝手に納得しました。
    ちょっとあまり理解でないなかも。
    尚隆だ自分の考えを喋らないせいで側近がやきもきしてる見てるの楽しかったですが、もう少し思ってること話してもいいのではと感じました。

  • 生かして帰した使者が最初に王様に気付くのがイイネ

  • 異世界ファンタジーにおける理想のリーダーのあり方みたいなビジネス書っぽい感じ!
    国民が殺されたら、それは自分の身体が抉られたのと同じってすごい覚悟だなと思った。でも賭博で負けて金品と移動手段を巻き上げられて雑用をして稼ごうとしてたのは笑った。
    3ページ分くらいしか出てこなかったけど、兵に志願してきた女の人がめちゃくちゃかっこよかった。

  • 蓬莱組。

    延王尚隆の行動は民衆へ入っていき、憎まれ口を叩き叩かれ、飄々としながら頭の中はフル回転。
    ただの家臣にも信頼関係のある近習にも真意をなかなか掴ませない。
    表に見せる激しさはないけど、その行動は私が好きな山岡荘八の織田信長のそれに近かった。
    延麒六太、慶麒、泰麒ともまた違ったテイストで、延王との関係も表面はドライ。
    根っこのところで繋がっていれば、そういうのもまたあり。

    組織の名称でやや戸惑い気味。
    それでも読む手は止まらず。

  • 面白かった!!ひとつの軍記を読んだ気分。どこの世界も政は大変だし王と民の在り方は変わらないんだなと思った。尚隆と六太のコンビはめちゃくちゃ人気がありそう。

  • 五百年後を知っているのでわりと安心して読める巻だった。
    人柄を慕ってくれていた人もたくさんいたでしょうに、そういう考えに甘えないところとかとてもすごい。

  • 十二国記のシリーズ3作目。
    同シリーズは順番に読んでいますが、2作目を読んでから1年以上経っていました。
    それでも基本的な世界観は覚えていました。
    本作は、延王と延麒の話ですが、延王ってシリーズ1作目の陽子の話にも少し出ていたような気がしましたが、どのように書かれていたかまでは覚えていませんでした。
    本作のテーマは、国の王とはどうあるべきかということでしたが、リーダーの在り方的なビジネス書の代わりにもなりそうなお話でした。
    単なる異世界ファンタジーにとどまらない、十二国記シリーズの懐の深さを感じました。

  • 十二国記の第3巻は、雁国の物語。麒麟と王の物語。
    大変読み応えのあるお話でした。王たる所以、麒麟の矜持に打ち震える感動作。
    次巻が手元にある喜びに打ち震え、旅を続けよう!笑

  • かつて国と民を失った尚隆の倭国でのエピソードが回想として小出しされながら話が進むので、最後の「百万の民と百万と一の民なら、後者を選ぶ」という更夜への台詞に重みが出る。

    「台輔、お忘れくださいますな。国の荒廃は万民の苦難、新王の登極は雁国民の悲願でございました。」登場シーンは少ないこそ、シリーズ通して驪媚は忘れられないキャラクター。

  • 雁国が再興し始めたあたりの話。
    尚隆の王とか一国の主に対する認識がすごい。豊かな国にして民に返すとか、国民が殺されたらそれは自分の身体がえぐられたのと同じだとか、覚悟すごいし器大きいや
    そんくらい国民思ってるから半獣とか海客とかも受け入れるようになったんだろうなっておもった
    独立してる話だけど、シリーズでこの巻がはじめて蓬莱から来たばかりの人いなくて十二国記!って話とか用語がどしどし出てくるからこの巻から読み始めるのはちょっととっつきづらいかも。漢文とか中国人名ちょい苦手なせいもあるけど
    それはそれとして、更夜とろくた雁で暮らせるようになってるといいな…

  • 驪媚格好良すぎる

  • 231029*読了
    展開が予想できても、それでも引き込まれる、ハラハラドキドキさせられるのは圧倒的な文章力のなせる技だと思う。

    今回は延王と延麒のストーリー。
    州侯の謀反があり、それをどう乗り越えるか…が主題なのだけれど、誰かを信じ抜くこととは?誰かに信じてもらっている人の側の強さとは?を考えさせられた。
    信じていた人が変わっていく様を目にするのは辛い。

    前巻で登場した尚隆が最初は頼りないちゃらんぽらんに見えて、おや?と思ったけれど、やっぱりかっこいい人だった。こういう王がいてもいいよね。

  • 面白いところもあれば、うーん?と思うところもあり、な巻という印象。

    王を見つけられないまま寿命が尽きてしまう麒麟もいるのがつらい。
    その麒麟自体も可哀想だけど、蓬山でその麒麟を大切にお世話して送り出した女仙たちのことを思うとなおつらい。
    日本まで王を探しに行った結果見つけることができた景麒や、何年と待たずあんこうじつの一回で王を見つけられた泰麒は良い巡り合わせを得たということか。
    三十余年の天寿尽きてということだったけど、王が見つからない麒麟はそのくらいの寿命ってことなんだろうか。

    延王、まさに「おもしれー男」。
    妓楼で賭博して負けて金巻き上げられて移動手段持っていかれて下働きで稼ごうとする王、面白い。
    朱衡も帷湍もいいキャラしてる。王にぐいぐい行く系の家臣たち好き。

    麒麟、やっぱり王に惹かれる性質ありそう。
    スタンド使いは惹かれあうみたいなもんだな、やっぱり。

    十二国はこんな謎の形状をしておいて、他国侵略は重罪なのが不思議な感じがする。

    延王に対する「お前、王より詐欺師のほうが向いてないか?」
    これ好き。

    兵を志願してきた女がイケメンすぎた。かっこいい。
    「あたしは戦うために来た。あたしたちに富を恵んでくださる王を守る。あたしはこの子を死なせたくない。殺すことを仕方ないと言って諦めてしまうような、そんな世に二度と来てほしくないの。そのためには玉座に天命ある王がいなきゃならない。王が将来、この子を豊かに暮らせるようにしてくれるなら、いまあたしが王のために死んであげてもいい」
    泣きそう。

    別のモブ女性の無口な夫もかっこよかった。
    「ほかの誰のためでも行かんよ、おれは。だが、お前たちのためだからな」
    って兵役を志願して。

    部下の白沢にキレてるあつゆ、あまりも他責。
    こんな本性を隠したまま民に尊敬されていたのはすごいと思う。

    乗騎の妖獣に「たま」と名付けるの好き。名付けは延王かな。

    そういえば、胎果の要・陽子・六太は、蓬莱で暮らしている時はなんとなく周りから浮いているような感じがしていたようだけど、尚隆もそうだったのかな。
    蓬莱でも十二国でもうまくやっているように見えたけど。

    【若干微妙だなと思った点など】
    王について
    最初からちゃんと仕事していれば少なくとも今回の事件は起こらなかった。えきしん・りび・子供は死ななかった。
    王好きだしかっこいいところもあるのはそうなんだけど、さすがにもうちょっとちゃんとしてくれと思うところがあったな…。

    麒麟について
    顔見知りだからと言ってほいほい着いて行った結果人質に取られてて笑った。
    麒麟が血に弱すぎ、犠牲を避けたい性格すぎて人質戦法が効きすぎでいろいろと不安になる。反逆しよう王暗殺しようってなったときに真っ先に狙われる弱点にしか見えない。
    そうならないためにいろいろ護衛がついたりしてるんだろうけど。
    他の国の麒麟はしっかりしてるのかな。
    あつゆが国滅ぼしたい奴だったら、普通に麒麟殺して王も死んで雁国ゲームオーバーだった。
    今回はたまたまそうならなかっただけ。
    子供の時に成獣になると見た目に引っ張られて言動が子供っぽくなるなら、子供の時点で成獣になる利点なさそう。

  • 延王が王にしては破天荒すぎるのになんだかんだ上手くいってしまう天才で、麒麟である六太のツッコミが俊逸なので、この二人の絡みが十二国記の中で一番好き

  • 延麒と延王が王となり国を作り始めてまだ始まりの頃の話。
    蓬莱で2人がどのような境遇だったかが明らかになる。
    尚隆は蓬莱で国を治める家のものであり、自分の国が滅亡するのを目撃している。
    その過去があったからこそ「国」というものに対する思いが強い。

    延麒の古い知り合い・更夜と「大きいの」の関係、斡由の屈折した人格、
    与えられた環境が彼らの人格を形成し、同じような例を生まないためにも
    王の存在がどのように働いていくかが重要であることがわかる。

  • 延王と延麒の結びつき。

  • 一巻からちょいちょい出ていて気になっていた延王延麒コンビがついに主役になって、お話の面白さとキャラの魅力で一気に読んでしまいました。
    王という存在はなんのためにあるか、尚隆みたいな考えの人がたくさんいたら現実世界ももっと栄えるんじゃないかな…と、思った。
    陽子が王となる一巻より随分前の話なので、今後更夜が出てきたりするのかな、と楽しみです。

  • 国とは何か?王とは何か?をテーマにした編。中学生の頃に読んでたら間違いなく尚隆に惚れていたと思うけど、今だと「狙いすぎ感」をめちゃくちゃ感じてしまって、最後までモヤモヤしてしまった。
    設定ばかり厚みがあって、キャラクターが薄味め、というか、アニメキャラクターのような感じが。読後感はハリポタに似ている…

  • 十二国記3作目
    延王尚隆と延麒六太の物語。
    1作目で登場した尚隆。その時も蓬莱で生まれたとあったので気になっていた。国とは何なのか?王の勤めとは?
    六太はもっと飄々としていたのかと思っていたけどそうでもなかった。王は民を苦しめる存在でそんな王を選ぶことは国を滅ぼすことになると思い悩む。小さい頃に親に捨てられてしまえばそう思ってしまうよね。
    王が民を苦しめ国を滅ぼすとはまさに現代の日本にも通じる。いや権力とは怖いものだ。あつゆの本音はどこにあったのだろうか?
    国とはそこに住まう民のことであり、民こそ自分の守るべきものであると考えていた尚隆と国を実態のない権力機関とみなし民を自分の駒としてみていたあつゆの差が最後の六太と更夜の行動の違いに現れたのかな。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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