裏庭 (新潮文庫)

著者 : 梨木香歩

• 新潮社 (2000年12月26日発売)

感想・レビュー・書評

[yuma884さんの感想 · 2022年8月12日]

双子の弟、純を幼い頃に無くした少女照美が鏡の中にある裏庭の世界に旅立ち、成長して戻ってくる物語。
裏庭を旅する中で少女は数多くの傷をその身に負う。しかし、その傷こそが自分を自分たらしめるものであり、傷を負いながら人は成長していくということを、少女は身をもって実感する。

[片心さんの感想 · 2022年5月7日]

ファンタジー/ミステリー。ある洋館に別世界への入り口があり、主人公の照美が「テルミィ」として旅をし、戻ってくるまでが書かれる。個人的には欠けたものを継ぎなおす話と受け取った。

現在と別世界の話が並行して進み、交差しながら展開していく。登場人物も多く、関係も複雑で、さらには別世界の人物が実は○○だったなどの展開もあり、個人的には理解する難度が高めだった。

現在の文章は分かり易く、別世界はファンタジー感のある抽象的な文章。それぞれでフォントまで違うなど、作品、本としての仕掛けもあまり見ないもので印象に残った。

[衣通姫さんの感想 · 2022年2月1日]

一度読んだだけで全て理解するのは難しいけれど、何度か読み返すと気づきがある。

[yuriri さんの感想 · 2022年1月21日]

ファンタジーとしては少し難しかった。それに残忍なシーンもあり、思っていたのと違うと感じながら読み進めた。
心理療法家の解説を読んで腑に落ちたことが多くあった。自身のことと重ね合わせて考えることができ、これほど解説が大事(必要)と思った本は今までなかった。

[anisonshikaさんの感想 · 2021年11月13日]

思春期の少女が異世界に迷いこみ、自分を見つけ出すファンタジー。
というとありきたりな小説のようにも思えるかもしれない。
ところが、現実世界での場面と異世界での場面があり、現実世界とそれを反映していると思われる異世界との相関関係は複雑であり、一読しただけでは分からない。
異世界の在り方は、現実世界の延長ではなく、全くの別世界でありイメージすることが少々難しかった。
読んでいて理解しにくいところもあり、子ども向けとは言いがたい作品である。
それでも、自分に価値を見いだせなかった主人公が、私は私になりないと思うところには、胸が熱くなった。

[りさんの感想 · 2021年4月4日]

子供の時にすごく印象に残って何度か読んだ1冊を20年近くぶりに読み返した。伏線も多いし登場人物も複雑でいまだに分かりきったわけではない。でも当時不気味だ怖いと思いつつ惹かれてやまなかったのは、この物語のファンタジー要素と一人一人の発言の裏の繊細で複雑な心理描写な気がする。思えば家族に対してわだかまりというか傷が私にもある。小さなものだけれどやっぱり向き合って自分の中で答えを出して時間をかけて丸ごと慈しんでいっている途中な気がするから何かわかる気がする。切れない縁だからこそ幼い時から心に刻まれるものだからこそ

[たこいかさんの感想 · 2021年3月28日]

異界での冒険を通した、少女の成長と喪失の物語。
子どもたちから「おばけ屋敷」と呼ばれている荒れ放題の洋館と、そこにある「秘密の裏庭」という舞台設定がなんとも魅力的。
ラスト近く、現実世界に帰還した我が子の変化におびえた母と、その様子から自分と母親が別個の人間と理解する娘の姿が印象的だった。
親という呪縛から解き放たれた照美が、これからどのように新しい家族の関係性を築いていくのか、たどたどしくも力強いラストが、この先の少し明るい未来を想像させてくれる。

[Timmyさんの感想 · 2021年3月13日]

現代文学講義にて。

[みきてぃーさんの感想 · 2020年12月1日]

全体的にキャラが好き！成長の過程が面白いと思う。

[kenzさんの感想 · 2020年6月24日]

2010-04-22読了
再読

著者プロフィール

1959年生まれ。小説作品に『西の魔女が死んだ　梨木香歩作品集』『丹生都比売　梨木香歩作品集』『裏庭』『沼地のある森を抜けて』『家守綺譚』『冬虫夏草』『ピスタチオ』『海うそ』『ｆ植物園の巣穴』『椿宿の辺りに』など。エッセイに『春になったら莓を摘みに』『水辺にて』『エストニア紀行』『鳥と雲と薬草袋』『やがて満ちてくる光の』など。他に『岸辺のヤービ』『ヤービの深い秋』がある。

「2020年 『風と双眼鏡、膝掛け毛布』 で使われていた紹介文から引用しています。」