- Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101253312
作品紹介・あらすじ
昔、英国人一家の別荘だった、今では荒れ放題の洋館。高い塀で囲まれた洋館の庭は、近所の子供たちにとって絶好の遊び場だ。その庭に、苦すぎる想い出があり、塀の穴をくぐらなくなって久しい少女、照美は、ある出来事がきっかけとなって、洋館の秘密の「裏庭」へと入りこみ、声を聞いた-教えよう、君に、と。少女の孤独な魂は、こうして冒険の旅に出た。少女自身に出会う旅に。
感想・レビュー・書評
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率直に感動した。大作だった。
己の傷と対峙することのどれほど険しく難しいことか。傷との融合の話でもあったのかと思う。印象に残る文が多くて、それぞれの箇所について感想を言い合いたくなる。
日本の家庭って、家に庭って書くんだね。その庭をどう手入れし育み作り上げていくかは庭師次第なのだと。
エピローグ後の展開も気になるけど、それはそれぞれ私たちの中でまた育てていくものなんだろう。
最後に河合隼雄氏の解説があるのもよき。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
梨木さんの本はこれで三冊目。
まるで壮大なアニメを観るような感覚で読み終えました。
作品の肩書きは「1995年第一回児童文学ファンタジー大賞受賞作」。
主人公は思春期の少女、照美。
タイトルの「裏庭」とは、照美の家の近所にある、かつて英国人一家の別荘だった洋館の遊び場のこと。
同時に彼女自身の内面をあらわします。
双子の弟「純」を亡くしてから、両親との間の溝を乗り越えられない照美。
友人の祖父から聞いた近所の屋敷の「裏庭」にある日入り込み、不思議な鏡の声を聞いて「裏庭」への長い旅に。
それは照美自身の内面への旅でもあると読者も知らされていくのです。
まるでRPGのような照美の冒険と、「裏庭」に関わる現実の人々との話は並行して進んでいきます。途中に織り込まれる幾多のメッセージが照美を目覚めさせ、読み手の心も大きく揺さぶられます。
一貫して流れるのは「家族の再生」というテーマ。
悲しみにはきちんと向き合って泣かなければならない、大切な家族には「あなたが大切だ」と態度でしめさなければいけない、そんな当たり前の事を知るための、照美の旅の辛さには思わずエールを送りたくなってきます。
家族に対して感じている遠慮や諦め、何となく埋まらない溝。
それらをうやむやにせず言葉で表現する本作品は、特に若い方にお薦め。
当たり前な家族のあり方が出来なくなっている大人にもお薦め。
導入部でワクワクさせ、途中では心のストライクゾーンに何度もヒットを打ち込まれ、最後まで読むと暖かい気持ちになる、さすが梨木さん。
展開のドラマティックさと、色彩感の豊かさとは、アニメ化しても良さそうな気がしますが、読まれた方はどう思われますか?
今日は体調がすぐれなくて寝ていたのですが、そのおかげで本作品を読み終えました。風邪に感謝。 -
一日中のんびりと本を読みました。梨木香歩「裏庭」です。児童文学ファンタジー賞を受賞した作品です。大作という感じで読み込むのにかなり力が必要でした。ファンタジーの部分が多く、この前に読んだ「西の魔女が死んだ」の方がシンプル(一つ一つの心情などはすごく深いですが)で素直に心の中に入ってきました。
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穏やかそうな装画から受ける印象に反して、とても壮大なファンタジーだった。
家族との関係性が希薄で孤独を感じている小学生の照美が、打ち捨てられた洋館の裏庭に迷い込んで、冒険しながら自分自身や様々なつながりを取り戻す話。
図書館ではティーンズ文庫のコーナーにあったけど、大人でも結構難し目の話で、読みながら現実と対比させて考えることが沢山あった。 -
こどもでも読める平易な文章で、こんなにも深い世界を描いてしまう梨木香歩さんに驚いた1冊。
双子の姉として生まれた照美に象徴されるように、表と裏、現実と異世界、傷つけられる私と傷つける私、というふうに、「ふたつの相反するもの」がモチーフになっていて、ストーリーに巻き込まれながらも、作中の「ふたつのもの探し」に夢中になってしまった。。。
この本をきっかけに、本棚に一気に梨木さん作品がふえたという、大切な1冊です。-
ふふ(*'-')♪
だってtorachanさんと私は、パラレルワールドでは隣のクラスで、同じ本を手にとってハッ!とするはずだった二人だし!
...ふふ(*'-')♪
だってtorachanさんと私は、パラレルワールドでは隣のクラスで、同じ本を手にとってハッ!とするはずだった二人だし!
私もtorachanさんのオススメ本とかが気になって、本の在庫が加速度的に増えてるから、おあいこってことで(*^_^*)2012/05/11
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著者プロフィール
梨木香歩の作品






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