太陽の塔 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 20042
感想 : 2151
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  • Amazon.co.jp ・本 (237ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101290515

感想・レビュー・書評

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  • 森見さんのデビュー作。
    中々に森見ワールド全開で終盤あんまり理解できないところがあった。
    けども、太陽の塔に対する恐怖の描写だったり、腐れ大学生の描き方はデビューから上手だと思った。

    ただ、このキャラクターは一体なんなんだ?
    と思ったり、結局これはなんのシーンなんだ?
    と理解できないこともあった。

    面白かったところもあったけど、超絶読みにくいところもあったりした。そんな感想です。

  •  ここのところ森見登美彦の作品をかなり読んでいるが、『夜行』の次くらいに好きだ。デビュー作なのにこんなにすごいとは予想外。いや、すごいからデビューできるのか。
    最近の作風に比べると純文学寄りで少し難しいので、読む順番は間違っていなかったと思う。まだ読書歴が浅いころだったら、森見登美彦の文章に慣れていなかったら、それほど好きにはなれなかったかもしれない。

     主人公の「私」は水尾さんという彼女にふられたばかりで、その後は水尾さん研究と称してストーカーまがい、いや客観的に見れば正真正銘のストーカーをしている。その衝撃的な事実から物語が始まり、その後は水尾さん研究の日常が語られるのかと思いきや、ほとんど友人たちとの出来事が中心に語られる。その姿は『四畳半神話大系』などにも共通する森見登美彦らしいあほらしいものだが、たまに挟まれる水尾さんとのエピソードは他の作品ではあまり見ないとても瑞々しいものだ。その描写はかなり少ないのに、語り口から水尾さんがどんな人なのか、「私」が水尾さんをどう捉えていたのかが見えてくるのが面白い。「私」は一応彼女には真摯な気持ちを向けていたようだ。それがわかると、あほらしい日常を送る男の話は、実は彼女との別れを少しずつ受け入れようとする男の話であるという物語の本当の姿に気づく。
    森見登美彦でこんな切ない気持ちになれるとは思わなかった。

  • 森見登美彦さんのデビュー作品です。
    所々でクスッとさせていただきました。愛すべき馬鹿とはこんな人たちのことを言うのかな?とにかく飾磨が面白くて、ストーカーのストーカーのストーカーをしたり、慣れない痴話喧嘩の仲裁に入ってそれを達成できなかったり、「ええじゃないか騒動」を企てたりなど、本当に彼は凄いです。また、ゴキブリキューブの応酬の時は、私が思わず「水島」と書かれた文字に浮かれてしまい、遠藤に仕返しされるのは実に滑稽で、ないと分かってても期待しちゃうよなぁと共感しまくりでした。最後は恐らく復縁できたのかな?お幸せに!

  • 「生きよ、(けれども少しは)恥じよ」

    よくある大学生の失恋物語だが、作者のセンスある言い回しと奇妙奇天烈の事件も相まってここひとつにしかない失恋ファンタジーという名の世界を作り上げてる。要所要所にツッコミ満載の事件が散りばめられていて最後まで飽きさせてくれなかった。

  • まあつまり、結局、彼女と別れて悲しかったのよね。男っていうものは、本当に可愛い生き物ね。なんて、つい上から目線で言ってしまいますが。でもたぶん、女性には共感できない失恋後の心情でしょう。これならば、失恋は男の方が引き摺るというのも、なんとなく分かるような。

    文章は、森見登美彦の初期の作品ということで、やや荒削り感はありますが、やっぱり面白い。

  • やられたッという感じですね。
    文章はしっかりしていて、テンポも良くて、読みやすいです。
    何となく夏目漱石センセを彷彿とさせるような、独特の文体も好みです。

    文中に「ライ麦畑〜」や「共産党宣言」をパロった部分もあって、その遊び具合も絶妙ですね。
    肝心の内容についてですが、アホ満載男汁祭りって感じ。でも、なぜか微笑ましく、最後の方は爽やかですらあります。
    私の中で最高にオモロイ“青春小説”です!

  • 昨日京都大学北部祭にて森見登美彦さんインタビューを聞いて来たのでそれと絡めてお話しします。
    インタビューの際にこのデビュー作である「太陽の塔」をよく出されていました、それくらい森見先生にとっては特別な作品なのでしょう。
    作中に出てくる主人公は森見先生の人物像に1番近いらしく、当時はさぶざぶしい大学生だったそうです。「太陽の塔」を気にデビューが決まってから大学の研究はあまりやらなかったそうです笑
    またヒロインに関してもちゃんと女性を描くのは恥ずかしいそうであまり触れないようにしていたみたいです、なんだか本当に主人公みたいですね!
    まさに森見登美彦の原点であり、特別と言えるのではないでしょうか。星四つです笑

  • 森見登美彦の世界観は何度読んでも素晴らしい。
    主人公の京大の冴えない大学生(自分ではそうは思ってないかしれない)と、猫のように魅力的なヒロイン。何度読んでもこの組み合わせは最高。
    主人公の凝り固まったプライドと膨大な知識から紡がれる偏屈な思想と、固い文体に独特のユーモアで語られる日々が、なんともいえない。中毒になる。

  • クライマックスの急転直下。
    カオスな世界観にどっぷりと浸らせて、がちゃがちゃと読者を錯乱させ急き立てる異常なスピード感のまま、突如ふわっと放たれて終わる美しいエピローグが、森見さんの真骨頂という感じで好きです。

  • 読んでなかった森見シリーズ第1弾。
    水尾さんに振られてから、水尾さん研究と称して他人から見ればストーカー的な行為を続ける京大休学中の5回生が主人公。京都の町並みを楽しむのはさておき、本上まなみさんの解説の、「とどのつまり、ふられた男の子の真冬のさえない独白小説にすぎない」というのが分かりやすい。
    水尾さんは、主人公から見た描写だけで、客観的にはよく分からない人だが、黒髪の乙女に繋がるのかな?

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著者プロフィール

1979年、奈良県生まれ。京都大学大学院農学研究科修士課程修了。2003年『太陽の塔』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。07年『夜は短し歩けよ乙女』で山本周五郎賞を受賞。同作品は、本屋大賞2位にも選ばれる。著書に『きつねのはなし』『有頂天家族』など。

「2022年 『四畳半タイムマシンブルース』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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