流転の海 第8部 長流の畔 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101307572

作品紹介・あらすじ

昭和38年、松坂熊吾は会社の金を横領され金策に奔走していた。大阪中古車センターのオープンにこぎ着けるのだが、別れたはずの女との関係を復活させてしまう。それは房江の知るところとなり、彼女は烈しく憤り、深く傷つく。伸仁は熊吾と距離を置き、老犬ムクは車にはねられて死ぬ。房江はある決意を胸に秘め城崎へと向かった……。宿運の軸は茫洋たる暗闇へと大きく急速に傾斜していく。

感想・レビュー・書評

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  • 著者、宮本輝さんの作品、ブクログ登録は9冊目になります。

    宮本輝さん、どのような方か、ウィキペディアで再確認しておきます。

    宮本 輝(みやもと てる、1947年(昭和22年)3月6日 - )は、日本の小説家。本名は宮本正仁。兵庫県神戸市に生まれる。後、愛媛県、大阪府、富山県に転居。関西大倉中学校・高等学校、追手門学院大学文学部卒業。

    1947年(昭和22年)、自動車部品を扱う事業を手掛けていた宮本熊市の長男として生まれる。

    今回手にしたのは、著者の実父を主人公にした、自伝的な小説になります。
    全9巻という、著者のライフワーク的な作品と言われています。
    で、第一部が刊行されたのが1984年、今回読んだ第八部が刊行されたのが2016年。そして、まだ読んでいない最終第九部が刊行されたのが2018年。不幸にも?第一部を刊行時に手にした方は、全巻を読み終えるまでに、最短でも34年位かかってしまいます。(-_-;)

    私の場合は、2018年6月に第一部を読み終え、おそらく、2022年9月には全巻を読み終えることができそうです。4年位になりますか。


    で、本作(流転の海 第八部)の内容は、次のとおり。(コピペです)

    昭和38年、松坂熊吾は会社の金を横領され金策に奔走していた。大阪中古車センターのオープンにこぎ着けるのだが、別れたはずの女との関係を復活させてしまう。それは房江の知るところとなり、彼女は烈しく憤り、深く傷つく。伸仁は熊吾と距離を置き、老犬ムクは車にはねられて死ぬ。房江はある決意を胸に秘め城崎へと向かった……。宿運の軸は茫洋たる暗闇へと大きく急速に傾斜していく。

  • 松坂の大将、遂に浮気がバレるの巻。
    というか、日曜日なのにちょっと医者へ寄って来るなんて、松坂の大将!それは無いですってw日曜日とは気付かなかったらしいのですが、そんなウソはバレバレでしょーよ。房江(妻)さんも気付くってw
    第8部まで読んできて一番納得のいかないシーンです。もーバカバカ。
    結果これでこの夫婦は壊れてしまい、房江さんは自殺(未遂)するわで大混乱。

    この物語でよく出てくるのが『運』。私も運のみで何とか現在息が出来ている人間ですので、非常に刺さるのがこの『運』『運命』について。松坂の大将は今まで運が良かった。それが7部あたりからこの強運に陰りが出来て、遂にこの8部で浮気バレ。そしてご子息から無視される始末。お疲れ様でした、大将。

    そしてラスト9部ではどういう結末を迎えるのでしょうか。これが37年掛けて書かれた作品なんですよね・・・37年って。
    とは言え終わって欲しくないんですよ。松坂熊吾の人生を神様の目線で見てきた私にとっては寂しいの一言。納得の行く最後であってほしいですね。

    さあ、第9部へ!!!

  • 何とも言えぬ。何をしてるのやら。
    時代のせいにして、運のせいにして。
    偶然のせいにして。

    何に出会うか、何が起こるかは、時代や偶然、周りの環境、出会う人々、自分の特質により大きく変わるが、最終的に何を選ぶのかは自分の意思。
    腋の甘さ。

    房江回復と自分の本質の出現。落ちていく熊吾。
    未だ許してもらえると思っていた熊吾のアホさ加減。
    最後のシーンで骨身に沁みたようだが、果たして次の最終巻ではどうなるのか。。

    伸仁はどうこの事態を捉えたのか。その内面の動きは読み取れず。

    どこに向かうのか、どこに辿り着くのか。今また、混沌に放り出された感覚。

  • とうとう自分が房江と同じ年齢に!
    房江は生まれ変わり、強く生きる力を得た。
    熊吾と房江が生かされている奇跡に感謝しているのと同様に自分もこのタイミングにこの本に出会えたことに感謝!

  • ここにきて夫婦それぞれの運命、生き方がガラッと変わってしまった。
    やましいことは隠し通せない。うん、うん、そうだよね。

    最終巻、家族の絆は修復されるのか?熊吾が最期をむかえるのか?

  • とうとうここまで来たか、という感覚。第七部までは文庫でそのつど何度か再読を重ねてきたけれど、第八部は未読だった、そして一気に読んでしまった。年月の経つ中でのそれぞれの変化、心情の描き方、生と死の不思議。改めてじんわりと沁み込む小説…あぁ、やはり好きなのだ、流転の海が、熊吾が、どうしようもなく動き続ける人々や物語が。

  • 松坂熊吾の人生には、引き込まれます。

  • しんどいことが続いて起こるが、それを泰然と受け止めている感じが心地よい。

  • 松坂熊吾は転落の人生だ。
    またしても部下の裏切りで借金の危機を迎え、愛人の存在が妻にバレてしまう。
    子供の伸仁にも遠慮をしてしまうほど。
    方や妻の房江は夫の裏切りから自殺未遂をするが、僥倖が重なって生き延びる。
    そこからの見事な転身。
    対照的な夫婦の人生。
    さあ、いよいよ次巻は最終巻だ。

  • 関西中古車事業連合会を再興し板金塗装会社を東尾に売り渡して大阪中古車センターの商売に専念しようとしたが、東尾の商売の失敗による失踪でまたもや窮地に立たされる熊吾。
    さらに森井博美との愛人関係を断ち切れぬまま房子にばれてしまい、自暴自棄になった房子は自殺未遂を図る。
    これまで幾多の幸不幸、喜び悲しみが繰り広げられてきたが第八巻にして最悪の展開に。しかしそんな中でも伸仁はしっかり自我を確立したくましく成長し、房江は本来の自分を取り戻す。熊吾は反省しながらも相変わらず自分の生き方を貫く。
    いよいよ最終巻を迎える物語。明るい結末を願いたい。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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