日本語の作法 (新潮文庫)

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  • / ISBN・EAN: 9784101328317

感想・レビュー・書評

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  • 「日本語の作法」。読後、「作法」なのだと納得しました。10年以上前に読み終えて、この度は再読です。初読のときには頷くばかりで気持ちよく読み終えました。当時、違和感を覚えていた言い回しを、その違和感の理由を分かり易く解説してもらったように思いました。
    あれから10年が過ぎ、言葉遣いについての違和感の内容が変わってきたようです。おそらく、定着してしまった、あまりにも頻繁に耳にするようになり耳が慣れてしまった言葉が多いのでしょう。それに気づきました。
    そして、10年前には思わなかったことが、書かれている内容が細かい、そこまで細かくなくてもよいのではないか、ということです。これもまた、10年間の時代の動き、言葉の変化が心のうちに溜まってしまったためだと思います。
    だから、ああ、作法なんだな、と強く思ったのです。きっと作法とはこういうものなのでしょう。
    作法を形成する、その奥にある心づかいの大切さを重視したい。心づかいを大切にしても変わる作法があるのかもしれません。心づかいなくして作法が変わるとすると、それこそが無作法なのでしょう。
    書かれている一つ一つの作法を大切にしたいと思いました。
    最も印象に残っているのは喪中欠礼の例として挙げられている2行です。

  • 面白いエッセイ集。手紙の書き方は勉強になりました。

  • 間違った日本語の使い方を気づかずに使っていたことに気づかせられる。日本語は単一民族のみの国語であり、大切にしていきたいものである。2018.7.13

  • 言葉って難しい。
    変化していくし。
    おもしろかった。

  • 日々、まったく無頓着に話したり聞いたり読んだりしている日本語。 たまには、ちょっと立ち止まって考えてみる。
    言葉の使い方は本当に難しい。 使い方次第で、他人を不快にさせたり、心地よくさせたりする。
    それにもまして大きいのは、自分自身をも表してしまう事。
    文字を連ねて言葉になって、言葉を連ねて文章になって。
    そうして編まれた書物を扱う仕事をしているから尚更、言葉の作法を弁えたい。

  • 日本語論の分野で活躍されている外山 滋比古(とやましげひこ)先生のエッセイ。
    「日経ビジネス アソシエ」に連載されたものから32編を選んで刊行されたもの。

    日本語の作法を、社会で仕事をしている人を念頭におて記されたもの。

    大正十二年生まれのおじいちゃんからの喝あり、指導ありで、
    時に感心しながら、時に反省しながら日本語(の作法)について楽しめる本。

    日本語の奥深さよりも、身近な例から思わず感心することが多かった。

    時代とともに変化していく日本語について、「本来、これが正しいのだ」と押し付けるのではなく、寛容に日本語の使用を紹介されているので楽しみながら読むことができた。

    ----------------
    【内容(「BOOK」データベースより)】
    「KY」「トリセツ」等々、意味を当てはめたり簡略化したりと、ことばが多種多様化する昨今、正しいことば遣いが忘れ去られているのではないだろうか。教養ある日本語を身に付けてこそ、成熟した大人と言えるはず。あいさつから手紙の書き方に至るまで、外山先生が日本語を読み解く──「たかが、あいさつ、だが、ときに人間の価値にかかわる」と、苦言を呈する痛快日本語エッセイ。
    ----------------
    【目次】
    第一章 ことばは身の丈
    ・他言無用
    ・間をもって話す
    ・巧言令色(ビジネス・レトリック)
    ・意外、美しくないくり返し
    ・何と申しましょうか
    ・語尾のイントネーション
    ・うるさい大声
    ・スモール・トーク

    第二章 遠慮・思いやりのことば
    ・“ください”は充分にていねいか?
    ・さまざまな“様”
    ・ことばはやさしくわかりやすく
    ・電話は相手本位
    ・会話の中の漢語
    ・目は口ほどに……
    ・遠慮会釈のあることば
    ・親しき仲の遠慮

    第三章 あいさつの難しさ
    ・ナシのつぶて
    ・あいさつの心
    ・サインできますか
    ・人にやさしいことば
    ・スピーチって、なに?
    ・ことばの過ち
    ・たかが、あいさつ、されど……
    ・寒々しいあいさつ

    第四章 変わりゆく日本語
    ・タテ ヨコ
    ・現代アフォリズム
    ・わかっていないこと
    ・命名のファッション
    ・ボディ・ランゲージ
    ・借用・引用・盗用
    ・辞書を読む?
    ・ユーモアのセンス

    あとがき
    ----------------

  • 軽いけどなかなか鋭くてピリッと効きく。文法的な解説をほとんど使わないで読ませるこの本の文章自体が日本語のいいテキストになっている。

  • パラパラと立ち読みして面白かったので、購入。
    外山さんの論文は高校時代によく読んだし、大学入試でもおなじみ。

    「とても」という語は、実は否定の言葉を伴うものである。
    「あなた」を目上の人に対して使ってはいけない。
    「ください」は命令形であり、「お乗り換えください」ではなく「お乗り換えです」「お乗り換えになります」のほうが適切。

    めっちゃ勉強になったー、やはり日本語は面白い。
    一番学んだのは、お礼状をきちんと書ける大人になろうということ。
    キレイな便箋と封筒揃えとこう。

  • 口の堅いは七難かくすのは真実
    話すスピードにもブレーキをかけるのが一人前の話し方である。

    美しないのは、聞いた人が深いに感じることばである。
    ちょっとした、ことば遣いを改めるだけで、その人のイメージが一変したりする。

    同じ言葉を立て続けに使わないことだ。
    例えば、はいはい。

    口癖ぬい期をつける、
    同じ言葉を繰り返さないこと。同じ言葉が出てくると、文章が後戻りしたり、停止したようになるから。
    言葉は保守的なのが無難
    人が話しているときに、口をはさんではいけないのは常識である。
    途中でさえぎるようなことを口走ったりするのはたいへんな無礼である。

    弱い犬ほどよく吠える。人間も実力のある人強い人は声を張り上げたりはしない。
    劣等感をもっていると、人は早口になる傾向がある。
    自分の言葉に自信がないから、間がもてないのであろう。

    いいサインのできる社長の会社はイメージがよくなる。
    社長になるには、立派なサインができるように心がけるのはたしなみであろう。
    一般のビジネスマンも、サインをおろそかにしては困る。
    その人の人柄、イメージにかかわるかもしれないからだ。
    自分の名前は美しく書けるようにしたい。

    心のこもったあいさつは聴く人をたのしませる。笑わせれば最高だ。
    あいさつの心は、相手をたて、たたえ、喜んでもらうことにある。
    相手の心をほぐすのにユーモアが有効であることは、
    日本人も古くから心得ていたらしい。たかが、あいさつ、だが、
    ときに人間の価値にかかわる。

    人と人が接近、接触すれば必ず心理的摩擦が生ずる。挨拶はそれを抑える潤滑油のような働きをするから、どこの会社でも古くから半ば常識になっているのである。
    あいさつの乱れが人心の乱れを反映させることもある。
    ことば遣いは相手を考え、遠慮会釈のあるのが一人前である。
    遠慮会釈もなしにしゃべるのは自分の顔に泥を塗るようなもの。
    ことばをつつしまなくては損だ。
    →人間関係の潤滑油 世間に見せている自分の顔を恥ずかしくないようにするための
     たしなみである。

    親しき仲にも礼儀あり。遠慮
    遠慮は礼儀の表れ無遠慮は失礼である。


    目は口ほどに…
    人の気持ちはことばにあらわれるのは普通だが、ときとして顔つきの方が、正直なことがある。→これに関しては親父とさしで飲んだ際に直接言われた。
    俺もまじで真剣に気をつけないとな。

    口で心にもないことをしゃべっていても顔にはちゃんと本当のことがあらわれる。
    顔に出る。顔に書いてある。顔色をうかがう、といったことばがあるわけだ
    その顔のうちでも、格別によくものを言うのが目だから目は心の窓、などといわれる。

    ストレスに感じる景色を自分の目にいれない。
    でも、よほど修行のできた人でも人目を無視して超然としているのは難しい。
    目のことばは声にはならないけれども、心の奥まで届く。
    そういうことを心得ていてこそ、一人前の社会人である。


    電話は相手本位
    電話はとっさにものを言ってしぐじりやすい。
    天子のいったん口にしたことばは、出たら汗のようなもので引っ込めることは
    できない。→綸言の重みがある
    そう思えばいい加減な電話はかけられない。

    「さっそくですが…」などと風向きを切り出しては無粋な人だと思われる。
    いかにも自己中心的な人間だという印象を与えかねない。
    はじめに世間話をしたり、相手の喜びそうなことを、前置きにするのでなければ、
    借りられるものも借りられない。


    モンテーニュ「よく笑わない医者は、よく治さない」

    いちばんいけにのは、人から聞いた話をそのまま該当者に伝えてしまうことだ。
    そのままに伝えればみんなが傷つく。
    それで壊れる人間関係がどれくらいあるかしれない。

    噂のような話は聞いても胸にしまっておくのが心ある大人であって、
    間違っても当人に伝えてはいけない。他言は無用である。

    ここだけの話と念を押されるとよけいに話したくなるのが人情だが、
    ぐっと抑えて他言しない。
    そうすれば口の堅い人間だと信用されて、大事なことを打ち明けられたり、
    難しいことを話されたりするようになる。
    →たいへんな自利 それはいずれ社会的にも評価されるだろう。
     人を傷つけない。人にやさしいことばは、美しい言葉以上に大切である。

    スピーチはあいさつの一種で、社交的なものだから、
    人に不快の念を与えるのは禁物である。たのしいのが最高。

    ことばの過ちはなかなか改まらないから厄介だ。
    セールス電話
    →うまい言い方を考えるのもビジネスのうちだろう。


    手書きのあたたかさ
    サインだけ、というのもさみしい。余白に一言、相手にふさわしいことばを
    書き添えるゆとりがほしい。
    工夫をすれば、寒々しいあいさつにも心が通うようになる。


    まず相手を信じないと、自分を信じてもらえない。





    子を思う親心はいい名前にあらわれる。

    目配せ、ウインク、もボディランゲージである。

    歩き方でもその人の心内を察することができる。


    ものを言うのは口だけではない。
    五体のすべてものを言う。自分ではそれを自覚しないことが多くて、
    厄介である。

    たいていのブランド名は商標登録されていて、
    みだりに他の使用を許さないからだ。
    無断で引用すれば盗用になる。


    ことばを大切にするのは文化のはじまりでことばへの関心が
    高いのは豊かに成熟した社会である。
    ただ働くのに忙しいというのでは、ことばを顧みるゆとりがない。
    ことばを文化の媒体であると認める人たちこはとばによって、
    人間を判断、評価するようになる。
    この点では。「文は人なり」ということばを生したフランスが世界に先んじたとしてよかろう。イギリスも負けてはいけない。上品で丁寧なことばを違う人が紳士であり女性であるとしたら、社会で仕事をしている人
    仕事もうまくいき、人間の評価も高まる。

  • 日本人としていろいろと知っておきたい日本語のアレコレ。
    読みやすく、とても勉強になります。

  • あいさつの大事さを確認しつつ、なかなか口に出せていない自身を考える。作法や人情、最低限のあいさつから血のかよったあいさつを心がけたい。

  • 表紙が好き。

    仕事がら、なのに、日本語全然できてないなあ、と思い知らされる。
    作法以前の問題。
    祖母がよく同じようなこと言っていたなあ。
    メールや電話はそれとして、手紙の文化は残したい。

  • 「KY」「トリセツ」等々、意味を当てはめり簡略化したりと、ことばが多種多様化する昨今、正しいことば遣いが忘れ去られているのではないだろうか。教養ある日本語を身に付けてこそ、成熟した大人と言えるはず、あいさつから手紙の書き方に至るまで、外山先生が日本語を読み解く――「たかが、あいさつ、だが、ときに人間の価値にかわる」と、苦言を呈する痛快日本語エッセイ。


    ちょうどいい。読みやすいし、分かりやすい。きっかけ。

  • 「椅子に座る」は適切でない等、知らないことが多々あり、勉強になりました。
    また、言葉の問題以外にも、「不必要な発言は慎むのが吉」であることがよく解りました。
    言葉を吟味し、大切に使うことで、自分の発言に責任を持たねばな、と思わせてくれる一冊です。

  • こういう人は必要でしょう。タイトル通りの作法を簡潔に教えてくれています。文字・本好きな僕も知らないことがいくつもあり、外山さんの博識とブレなさを感じました。なんでもないようで、全ての核となること、これぞ「基本」。文字が大きく一瞬で読めるので、是非。

  • 会社の推薦図書w

    日本語は難しい!と思う瞬間はこれまでに何度もあったけど、
    あらためて自分の日本語力の欠如を思い知らされた。

    敬語は特に正しいと思っていることが正しくなかったり、
    知らなかったことがたくさんあった!!

    日本人なんだからもっと日本語の勉強をしないとですね。。。

  • 言葉って大事だ、作者のいう「言葉は礼節の一つ」であるということが、改めて考えさせられる。納得の一冊。

  • 外山先生の世間話を、側で聞いている気分になれます。
    老先生のマイペース過ぎるお話ぶりや、前も聞いた話のくり返しに、少しだけうんざりしつつ、たまにハッとさせられる言葉がある。評価低いけど、こういう本があってもいいんじゃないかな。

著者プロフィール

外山 滋比古(とやま・しげひこ):1923年、愛知県生まれ。英文学者、文学博士、評論家、エッセイスト。東京文理科大学卒業。「英語青年」編集長を経て、東京教育大学助教授、お茶の水女子大学教授、昭和女子大学教授などを歴任。専門の英文学をはじめ、日本語、教育、意味論などに関する評論を多数執筆している。2020年7月逝去。30年以上にわたり学生、ビジネスマンなど多くの読者の支持を得る『思考の整理学』をはじめ、『忘却の整理学』『知的創造のヒント』(以上、筑摩書房)、『乱読のセレンディピティ』(扶桑社)など著作は多数。

「2024年 『新版 「読み」の整理学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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