- Amazon.co.jp ・本 (515ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101343129
感想・レビュー・書評
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全く違う環境だからこそわかる生きる事の切なさ。
ラストでタイトルが沁みてきました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
イスラム革命後のイランを舞台にした年代記。
主人公も勝者もいない戦いの連続。表題のとおり砂の上を風が洗い流していくような展開の連続に、中盤あたりから空しさを感じてくる。
中東の砂の中の街並みや戦闘風景がありありと目に浮かぶような描写。あっという間に登場人物が殺されて舞台から降りていく。人の命が軽く感じられる。絶え間なく抗争が続いていくが非常にドライな空気を感じて、なんだか北野武監督のヤクザ映画を見たときのような空しさと渇きを感じた一冊。 -
これは、凄い。
面白いだけじゃない凄さがある小説。
虚しさが残る読後感。 -
硬派とは、、大勢の牙城めがけて不意に直撃弾を仕掛ける攻撃者である。革命の側にも、反革命の側にも、民族解放路線にも、弾圧者の傭兵の中にも硬派はいる。
うち棄てられた野獣の如く硬派は吠えつづけ、行動は烈しさを増す。硬派は裏切られ追放される。硬派の行動至上主義はかならず共同体に邪魔になるからである。裏切りの森を抜け、淋しさの尾根を越え、空しさの谷をはいあがり、硬派がたどり着くのはどんな頂か。 -
イメージが焼き付いてて、2年たっても少し残っている。たぶんまた読む。
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再読にもかかわらず、夢中になって一気読み。勝者なき結末に無常感。
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船戸与一の一押し。単行本持っているのに文庫本も買ってしまった。
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クルド人という言葉を、イラク問題あたりで、なんとなく聞いていたけども、実際にどういったことが起きているのか、はっきりいって知らなかったわけで。クルド人に限らず国の中に複数の民族が暮らすという事の難しさは想像以上なんだろう。移民の受け入れも然りといったところだろうか。
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船戸与一氏の骨太サスペンス作品『砂のクロニクル』を読み終えた。権力を持った政権や統治者が紡いでいく正史とは別に、存在はするのだが表立って記録されていかない外史ともいうべきマイナーな人たちの行動や思いががあることあったことを忘れるな、そういわれた気がした。
この作品はイラン、イラクに住んでいていつの時代も主流となりえず苦難の道を歩んでいるクルド人達の戦いの日々が描かれるとともに、そこに武器を供給すべく暗躍するハジといわれる日本人、また中東の地において革命を信じその身を投じてかの地にとどまる事となったもう一人ハジといわれる日本人などなど他にもいるのだがサイドストーリーの主役達の熱い話が絡み合っていて、本当に読み応えのあるサスペンスとなっている。いやー、面白かった。