本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
- Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101345192
感想・レビュー・書評
-
今年はお休みの日によく雪が降る。今日も朝目覚めると一面の雪。この本の舞台の鶴岡や築別には遥かに及ばないけれど。
「おすすめ文庫王国」に北上次郎から“志水辰夫はこの五冊を読め!”とあり、今更ながらにシミタツである。
悲惨な物語で、主人公はあがけばあがくほど状況は悪くなり、話が進めば進むほど暗い出自が明らかになり、何のためにこの闘いに挑んでいるのか、救いようのないお話が展開する。
しかししかし、物語の筋立てはこの際置こう。
この本の読みどころはそれまでもそこかしこに顔を出しながら、ラスト三十章あたりからどこを引こうかと迷う程延々と続くリリカルでハードボイルでセンチメンタルでめくるめく文体。じんじん痺れる。
救いがない中で差し伸べてこられた、二本の手。『人は必ずやこういう平凡な時間の中で老いていくことに悔いを残さないはずである』と喝破しつつそうでない人生を選んだ主人公への最後の救い。詳細をみるコメント0件をすべて表示