背いて故郷 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 166
感想 : 10
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  • Amazon.co.jp ・本 (518ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345192

感想・レビュー・書評

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  • 今年はお休みの日によく雪が降る。今日も朝目覚めると一面の雪。この本の舞台の鶴岡や築別には遥かに及ばないけれど。
    「おすすめ文庫王国」に北上次郎から“志水辰夫はこの五冊を読め!”とあり、今更ながらにシミタツである。
    悲惨な物語で、主人公はあがけばあがくほど状況は悪くなり、話が進めば進むほど暗い出自が明らかになり、何のためにこの闘いに挑んでいるのか、救いようのないお話が展開する。
    しかししかし、物語の筋立てはこの際置こう。
    この本の読みどころはそれまでもそこかしこに顔を出しながら、ラスト三十章あたりからどこを引こうかと迷う程延々と続くリリカルでハードボイルでセンチメンタルでめくるめく文体。じんじん痺れる。
    救いがない中で差し伸べてこられた、二本の手。『人は必ずやこういう平凡な時間の中で老いていくことに悔いを残さないはずである』と喝破しつつそうでない人生を選んだ主人公への最後の救い。

著者プロフィール

1936年、高知県生まれ。雑誌のライターなどを経て、81年『飢えて狼』で小説家デビュー。86年『背いて故郷』で日本推理作家協会賞、91年『行きずりの街』で日本冒険小説協会大賞、2001年『きのうの空』で柴田錬三郎賞を受賞。2007年、初の時代小説『青に候』刊行、以降、『みのたけの春』(2008年 集英社)『つばくろ越え』(2009年 新潮社)『引かれ者でござい蓬莱屋帳外控』(2010年 新潮社)『夜去り川』(2011年 文藝春秋)『待ち伏せ街道 蓬莱屋帳外控』(2011年新潮社)と時代小説の刊行が続く。

「2019年 『疾れ、新蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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