子供たち怒る怒る怒る (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 59
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101345512

作品紹介・あらすじ

ぼくが転入してきたクラスで行われていた、ゲーム。それは異形の連続殺人者・牛男の次の犯行を予測しあうことだった-。最初は面白半分だった。でも、いつしか、ぼくたちは引き返せない地点まで来てしまったんだ(表題作)。災厄が露にした、きょうだいの秘密(「大洪水の小さな家」)。教室で突如火を噴く、恵子のサブマシンガン(「慾望」)。デッドエンドを突き抜ける、六つの短編。

感想・レビュー・書評

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  • 救いようの無い話。
    ゲーム感覚での殺人や、最初から死んでいる話。
    短編だからさくさく読めたけど、再読はしないかな。

  • 6つの短編集。
    食欲がなくなるほど、独特で異常で悲惨。
    解説の言葉をかりると「アナ―キー」な世界観として素晴らしいそうだが・・私にはわからん。

  • 「大洪水の小さな家」3
    「死体と、」4
    「慾望」3
    「子供たち怒る怒る怒る」3
    「生まれてきてくれてありがとう!」4
    「リカちゃん人間」3

  • 初読:2005年5月9日(ハードカバー)
    再読:2017年12月20日(文庫)

    学生の時以来の再読になる。普段再読というのをあまりしなのだけれど、なんだか無性に読み返したくなったので。
    当時はエラく感動したものだったけれど、こうやってそれなりにいろんな本を読んで、年をくって再読すると、やはりある種の青臭さというか、もっと言ってしまえば「未熟」な感じは否めないな、と思う。
    やっぱり、「中高生向き」なのだろうなあ。だけれどもこういうしたり顔で了見を話す「大人」に対して反抗することが、一番のこの小説の主張なのだろうけれども。
    まあとにかく分かりやすい不幸なシチュエーションのオンパレード、グロテスクのパーティ、青臭さ満点の主張、という感じだった。あとやっぱり(もうずっとそんな感じだけど)改行文体はいかがなものか(これは初読の時にも強く感じた)。
    結局のところ佐藤友哉の純文学短編集って今のところこれしか出てなくて、勿体無いなあ、と思うんだけど。これを載せてた当時の『新潮』はなかなか懐が広いね。

    『1000の小説とバックベアード』も再読しようかな。

  • 《この本を薦めた人をどうか怒らないであげてください》

    表題作「子供たち怒る怒る怒る」を含む、6つの、子どもを主人公にした短編集。

    子どもと言っても、小学生だったり中学生だったり生きていなかったりマシンガンわぶっ放したり雪に埋もれていたり。

    「子ども好き」を謳う人にこの本を与えてみたら、あなたは嫌われてしまうでしょう。
    「子ども嫌い」という人にこの本を与えてみたら、周りの子どもを大切に扱うようになる・・・か?
    「本好き」な人にこの本を与えてみたら、なんか起こるんじゃない?
    「本読まない」人に薦めてみたら、怒られそう。

  • 繰り返される記号的な死。
    不条理な死。
    紙くずのような、噛みすぎて味を無くしたガムをぺっと捨てるような死。
    それらを多用して佐藤友哉が描きたかった子供の世界。
    子供たちは怒っている。
    理不尽な目に遭い、不条理な境遇を与えられ
    怒って怒って怒っている。

  • 不快でグロい描写も多いし、偏った中身のない本なのかな、と最初は思いつつも、表題作を読んでから、この短編集の本質がだんだんと読み取れてきた。救いようのない理不尽さの中で、子供である自分たちにしか成り立ち得ない無邪気で鋭利な概念とによって、大人たちと周囲の世界に反乱を起こす。怒れ、立ち上がれ、虐げられた子供達の反逆の狼煙。万人にはお勧めできないけど、自分のようなアダルトチルドレン崩れには是非読んでもらいたい。個人的に、リカちゃん人間が一番よかった。

  • 表題作にはハッとさせられた記憶。

  • 子供たちが怒る話ほか,短篇集。
    全体的に不快,そしてさっぱり理解できん。

  • 短編6作。

    どうでもいいことだけど、佐藤友哉の顔写真を初めて見ました。
    『水没ピアノ』での、おーちようこの解説を読んだ直後だったので、なんだか、ギャップが…。

    さて、で、本題です。

    どれもかなりおもしろかったけど、あたしの好みからすると、一番イイのは、断然、「死体と、」です。改行なしなのに読みやすい。…というか、引き込まれる。

    あたしは文学とかは全然わかんないので、当然、作者の技量なんか計れるはずもなく、基本的には、技法には無関心なのですが、それでも、舞城王太郎の『煙か土か食い物』以来のインパクト。

    何が、と言われるとよくわからないけど、これはすげぇな…、と、感動。
    てか、感無量?

    ストーリーも、文章が淡々としているわりに、ドロドロしていてとても好きです。

    他の作品では、「慾望」の、あの、大人と子どものわかりあえなさと、「大洪水の小さな家」の、ひとりきりで世界が完結している「終わってる」感がとくに好き。

    「生まれてきてくれてありがとう!」は、珍しく(?)ストレートにイイ話。
    「リカちゃん人間」は、タイトルのエグい感じが気に入ってます。運動家のうざったさと、そのあっさりした最期も、皮肉っぽくてイイ感じです。

    ただ、表題作の「子供たち怒る怒る怒る」だけは…描写がグロくて途中で萎えました。。。(あたしは拷問まがいの行為が、生理的にダメなんです)

    さて、で、6作読んで…。
    佐藤友哉は、善良な人だなぁ、と思いました。
    だって、最後の2作は、比較的「希望」を残して終わるし。
    その2作は、わざわざ、この本のために書き下ろしたものらしいし。
    なんだかイイ人。

    そして、陣野俊史は解説で、「この小説集はアナーキズムの小説でできて」いると言いますが、それは微妙。
    あたしの解釈では、アナーキズムというのは、否定すべき対象(政府とか権力とか)があって初めて成立するものだと思うのですが、この小説に出てくる子どもたちは(「子供たち怒る怒る怒る」は例外だけど)、そもそも、そんな対象をもっていない。
    というか、大人と世界を共有していない。
    ならば、それはアナーキズムというよりは、大人から見ればニヒリズムに近いんじゃないかな、と思ったり。
    …まぁ、よくわかんないんだけど。

    とりあえず、この本、おもしろかったです☆(強引な締め方…)

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著者プロフィール

1952年北海道釧路市生まれ。
1974年に北海道教育大学札幌分校特設美術課程卒業(美学・美術史専攻)。1976年に北海道教育庁北海道新美術館建設準備室の学芸員、翌年には北海道立近代美術館学芸員となる。1985年北海道立旭川美術館学芸課長。1990年からは北海道立近代美術館に戻り、2004年同館学芸副館長。2012年から2022年まで札幌芸術の森美術館館長を務める。この間、それぞれの美術館で数多くの北海道ゆかりの作家の個展や現代美術展を企画開催。
現在、AICA国際美術評論家連盟会員、北海道芸術学会会員、北海道美術館学芸員研究協議会会員。また旭川市中原悌二郎賞、札幌市本郷新記念札幌彫刻賞、ニセコ町有島武郎青少年公募絵画展、北海道陶芸展などの審査員を務める。

「2023年 『北の美術の箱舟』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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