キッチン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101359137

感想・レビュー・書評

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  • はっとさせられた、あとがきの部分。自分で落ち込んで、自分で自分を不幸にしているなと感じていた時に読んだから。
    読んだ後は、家族や友達がいる毎日の生活がきらきらしているように思える。

  • なんとなく、文章の雰囲気が江國香織さんと似てると思いました。江國さんの作品はほとんど読んだけど吉本さんは初めてで、より爽やかな感じ。
    文章がきれいで心が洗われます。

    ムーンライトシャドウは泣いた!恋人を亡くしたことはないけど、大失恋したときの思い出と重ね合わせて切なくなりました。

  • 高校生のころから、数年に一度ふと読みたくなる作品。これを読みたくなるタイミング、それはなにかにぼんやりと悩んでいて、ココロの整理をつけたいときです。

    大切なひとを失った主人公たちが自分の居場所を迷って、そこで少し変わった家族にであい、他人と家族に拠り所になっていく。そこから生まれる愛情。
    そんなお話ですが、こんな簡単な文章では表せないくらい、複雑な心情が描かれてます。
    でも取り囲む人間関係から柔らかい暖かい気持ちになれる。
    どんなにゆっくりでもいいから、生きて歩いて行かねばいけないと思わされ、読了したあと心が澄み渡る気持ちになります。素晴らしい作品です。

  • きっと わたしがキッチンを愛おしく思うのは、この本に出会ったからだと思う。

    読み終えると カツ丼が食べたいなあとつい思ってしまう食いしん坊ですが、ひとつひとつの描写がやさしくて、みかげや雄一のそばには「死」があるのに 読み終えても嫌な後味はなくって。
    何度も読み返したけれど これからも、ずっと大切にしたい本。

  • 同録されているもう一つのお話、「ムーンライト・シャドウ」が大好き☆☆☆
    何度読んでも心震えますっ。

    とにかくこのお話が大好きなので、この作品のみの感想です。

    私はまだ大切な人を失うという経験をしてませんが、主人公の悲しみが痛いほど伝わってきました。
    もう一人の男の子も大好きな彼女を失って彼女の制服を着て学校に通うという物凄く突飛な設定なのに、作品中の彼の佇まいがとても自然で、逆にその悲しみが痛いほど伝わってきます。特に主人公が目撃したあるシーンは、とてつもなく悲しくていたたまれなくなる程です。なんてことない場面なのに、その主人公と事情を知ってる読者には鮮烈に痛いほどその悲しみが伝わってくる・・・。印象的な場面でした。

    繊細な描写がとにかく素晴らしくて、その景色・回想・心情が鮮やかに目に浮かびます。
    クライマックスでは鳥肌が立ちました。息をするのも忘れてしまうくらい。
    涙がただただとめどなくあふれました。
    この奇跡がほんの一瞬だという事実がとてもとても切なくて、でも物凄く綺麗で何度読んでも泣いてしまいます。

    でも私が一番好きなのは、その後の主人公の姿です。
    彼女の独白に何度涙の海に溺れたか知れません。

    制服を着た彼に起こった優しい奇跡も大好きです。
    謎の女性の雰囲気も大好きです。
    作品全体に流れる空気がとにかく大好きです。

    (2009.5.23)

  • 吉本ばななの作品は読んでいて
    「おいおいこんな男いねーだろ」とつっこみたくなる。
    でも読んでしまう。
    彼女だってそんなことをは知っているだろう。

    今回も同じような事を思ったんだけど、
    この、どこにもいなさそうな素敵な男性にどうしても惹かれてしまう。
    背景描写が心地いい。

  • 「私がこの世でいちばん好きな場所は台所だと思う。」よしもとばななはこの一文で90年代日本文学の扉を開いた。(と、かつてある先生に教わった)

    基本的な態度から、好きな男性像の変化、自分の生き方と他の女性の生き方の違いまで、時代の変化を反映しているということだと思う。
    今でこそ、少しずつここで描かれた感覚と変化は生まれてると思うけど、古さを感じない。(僕の年代的なものもあると思うけど)

    あとがきに書かれたよしもとばななの作家としての姿勢も素晴らしかった。

  • おそらく一番読んでいる本であり、思い入れのある本で、
    レビューを書けるほどその今までを言葉にできないのですが

    たくさん助けられて泣いて毎日いろんな箇所から読んでたこともありました。
    今は定期的に読むくらいになりました。
    言葉すべてが大好きだし、ものすごく影響を受けています。

    いつだって寄り添ってくれる大切な一冊です。
    もちろんムーンライト・シャドウも大好きです。

    私はみかげにも雄一にも似ていて、
    等とさつきのようになりたいと思っています。

  • 本との出会いって、今まさにこのタイミングで出会うことが、人生に必要不可欠だったと言ってもいいものだったりする。時に、「これは本を通して送られてきた、神様からのメッセージか?」と思わされるくらい衝撃的な文章に出会うことも多々。
    そしてこの本はそんな出会いだった。
    私はいつも本とセットでメモも持ち歩いていて、特別感動したり、勉強になったり、心に留めておきたい文章、そして先に書いた神様からのメッセージに出会ったときは書き写しておくのだけれども、この本でその作業をやろうと思ったら丸一冊書き写さなくてはいけない文章の宝箱。
    私が常日頃感じている感情を、私には作り出せない世界観と文章で的確に表現されている。
    この本は一生手放せない親友だ。最高のカウンセラーを見つけた。

  • しずかでさびしい夜に無性に読みたくなる1冊。
    冒頭でかならず、自分の家のキッチンを思い浮かべてしまう。
    ひんやりしたリノリウムの白い床と夜の冷蔵庫を思い出してしまう。
    みかげの生きる力に圧倒される。
    えり子さんの強さに、雄一の優しさに、本当は憧れる。
    自分を見つめ直せる1冊だと思います。

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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