そこに僕はいた (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101361215

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  • 南雲先生おすすめ

  • だからなんだ。

  • 辻仁成さんのエッセイというか自伝的小説というか、小学校から高校時代を振り返った作品です。
    辻さんは父親の仕事の都合で、子ども時代に福岡、帯広、函館を転々とします。

    辻さんは子ども時代を振り返って、一番最初に仲良くなった奴とは喧嘩友達になるか、一番嫌いな奴になるものだと言っています。
    自分ことを振り返っても、これは分かるような気もします。

    休んでいる同級生に給食のパンを届けたりしますが、これはわたしにとっても懐かしい記憶です。
    今では考えられないことです。
    その一家が突然姿を消し、家がもぬけの殻になっていたという話もやるせないです。

    辻さんは20年ほど経って、福岡を訪れます。
    筑肥線は埋め立てられ、地下鉄になっています。
    街の姿は容赦なく変容しています。
    友達を懐かしんで連絡をとろうとしますが、相手は覚えていないといいます。
    転校して歩いているものは一時期のことを良く覚えていますが、一カ所にとどまっているものにとっては一時期を通過していったものは忘れられやすいということです。
    子ども時代の記憶というものを考えるとやるせない話です。

    辻さんは子どもの頃、ガキ大将でした。
    広場に穴を掘ったり、車の排気管に石を詰めたりしたといいます。

    この頃の子供たちは良く石を投げます。
    顔を狙わないというルールはあったようですが、石投げは今なら大変なことになります。
    わたしも子どもの頃、石投げをしたされたという記憶はあります。

    新聞配達をする少年との出会いもあり、自分も新聞配達をしようと決意しますが、父親に激しい剣幕で叱られます。
    「おれはおまえにそんな苦労をかけさせているのか、貧しい思いをさせているのか」
    これもわたしに似たような体験があり、親に止められましたので、共感できるところです。

    新聞少年は帯広でも出てきます。
    いつも一番早く登校している少年がいて、早起きして自分が一番乗りしようとしますが、その少年は教室で早弁していました。
    彼は母子家庭で新聞配達をしていました。

    辻さんは小5の時に福岡から帯広に転校します。
    福岡は夏は30度を超え、帯広は冬はマイナス30度以下になります。

    高校時代にバンドを組みますが、そのボーカルだった子が駆け落ちしてしまいます。

    辻さんは、追いかけられる夢を見るといいます。
    わたしも見ます。
    辻さんの高校卒業時に野心を持っていた友人がいました。
    彼は「最高の自由を手に入れてやる」といいます。
    10数年後に彼と辻さんは再会しますが、彼は落ちぶれています。
    サラ金の取り立てにいって、その相手が首を吊ってしまいます。

    この他にも、高校時代の仲間が暴力団に入ったり、両親の離婚があったり、色々な辻さんの体験が語られます。

    「巨人の星」の星飛雄馬、ヘッセの「車輪の下」、Xへの手紙、などの想い出も語られます。
    辻さんの読書体験も描かれています。
    辻さんは色々なことを手がけている方なのですが、普通の人のように共感しました。
    同時代人として、福岡県民として、面白く読むことができました。

  • 友達は作るものではなく、いつの間にか出来ているものだ。確かにその通りです。友達について色々考えさせられました。辻さんの小学校から高校までのエッセイです。

  • 2007

  • 小学校6年生の時に読んだ本。本屋に並んでいて懐かしくて買ってしまった。昔読んだ事があるから、自分の過去の思い出が描かれているようで懐かしい気持ちで読めた。

  • エッセイはよく出来てる。筆者の負の感情と、それを覆す現実が良い塩梅。

  • 大嫌い。

  • 辻仁成の自伝小説。小学校時代は福岡なのでおもしろいです☆
    中学2年の時に読みました。

  • せつなくなってしまう。
    でも、いい作品。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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