- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101365510
感想・レビュー・書評
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オリジナルは1982年、文庫化が2008年、と大変息の長い本。
「北の国から」を観たことがある人なら、間違いなく楽しめると思う。
冒頭の「雨にも負けず風にも負けず」のパロディの詩がまず最高。
自分もど田舎出身だが、ここまで暖かくは自分の故郷を描けない気がする。
登場人物の中では、チャバさんこと茶畑さんの人格が最高だ。倉本聰さんとの二人での筏下りの場面は、今のコンプラ全盛の世では考えられないくらい牧歌的だ。
〈冒頭の詩〉
雨ダカラト飲ミ
風ダカラト飲ミ
雪モ夏ノ暑サモ飲ム口実
丈夫ナ胃腸ヲモチ
欲ハアリ
決シテアセラズ
イツモニヤニヤ笑ッテイル
一日白米四合ト
ミソトカナリノ野菜デモ足リズ
アラユルコトニ
ジブンヲ目立タスベク
ヨク研究シワカリ
ケド目立チソコナイ
野原ノ松ノ林ノ蔭ノ
カラートタンノ家ニイテ
東ニ不審ナ火事アレバ
行ッテタダワイワイサワギタテ
西ニ疲レタ未亡人アレバ
下心カクシテヤサシクシ
南ニ落込ンダ男アレバ
行ッテサラニソノ足ヲヒッパリ
北ニケンカヤソショウガアレバ
面白イカラモットヤレトイイ
ヒデリノトキハステテコ一枚
サムサノフユハガチガチフルエ
ミンナニ純粋ナバカダトヨバレ
呆レ果テラレ
デモ苦ニハサレズ
ソウイウモノガ
ココラニハイル
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著者は40歳の時に東京でのTV局とのトラブル?から、東京を飛び出し、札幌というか「すすきの」で3年間をひとりで過ごした。
それまでの東京での付き合いは殆ど業界の人に限られ、利害関係のある人ばかりであったが、縁もゆかりもない「すすきの」で夜な夜な酒亭をさまよっているうちに、それまで自分が接してきた世界が、何と狭くて限られたものであったかそのことに気づいて愕然とした。人間を見ることを初めて知った。
それでこうしてはいられないと思い、もっと奥地に住もうと思って、気が付いたら富良野に居たそうだ。
そうして富良野へ入植(?)した著者と地元の人達との交友録がここに出来上がった。
最初のページを開くと、宮沢賢治の「雨ニモマケズ」の詩をモジった詩がある。
雨ダカラト飲ミ
風ダカラト飲ミ
・・・略・・・
ミンナニ純粋ナバカダトヨバレ
呆レハテラレ
デモ苦ニハサレズ
ソウイウモノガ
ココニハイル
この内容を地でいく人々が富良野には沢山居るらしい。
そして、そういう人たちの交流と共に、北海道の大自然でなければ経験できない、動物との触れ合いや、自然の厳しさが、至る所に散りばめられている濃密な本です。
都会の生活に疲れた人には是非読んでもらいたい一冊です。 -
20141025 三十年ぶりの再読。懐かしい。今の富良野はどうなのだろうか?日本の変化は何処も一緒か?確認しに行きたくなった。
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ここでの倉本さんは、とても心豊かに解放されているよう。
引っ張りだされているのは、
おおらかで、愉快で、時に悪ガキのような近隣の仲間たち。
「初めて人間の面白さを知った」
そう言わしめ、倉本さんをこの地にとどめることとなった人々との交流記。
タクシー、今でもこんな感じだといいな。 -
北の大地への感傷を喚起させる本である。田中邦衛が後半度々登場するが、まさに、北の国から、なのである。
アイヌの伝説がちりばめられた赤ずきんの章が印象的だ。 -
昔の人達っていいなぁ〜
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いやぁ面白い。
ユーモアあふれる語りで引き込まれていった。
和気藹々とした雰囲気が目に浮かぶよう。
いつまでも若い心を持った倉本さんに出会える一冊。 -
面白かった。
「北の国から」もちゃんと見てないのに、友人が貸してくれたので読んでみた。
こんな言い方失礼かもだけど、文章が上手で、人物が魅力的で、倉本聰ってすごいなと思った。
エッセイとしても優れているが、ここまで出来上がってたら十分物語だと感じた。日記文学。 -
ハードカバーで持っているが、後書きが追加されているということで、文庫版も購入。
以前、読んだのは20年前位だろうか?
改めて、面白い‼
最近の倉本さんのエッセイは口煩い爺さんをあえて全面に押し出している感があるが、この頃のエッセイは抱腹絶倒でとても良い。
本中に、北の国からの撮影開始の話題があるから、全く無名だった頃の富良野を舞台に、とても面白おかしい人間模様が繰り広げられていく。
この頃の富良野に行ってみたかったなぁ。 -
2010.2.5 古本
この人たち面白いけど、実際付き合うとなるとそれはそれで大変だろうな。この頃にあった自然とか野生動物とか今現在はどういう状況になっているのだろうか?風のガーデンの葬式の元ネタはここにあったんですね。30年前のチャバさんのアイデアだったわけだ。