わたしの渡世日記〈上〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 144
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (367ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101369815

作品紹介・あらすじ

「お前なんか人間じゃない、血塊だ」-養母に投げつけられた身も凍るような言葉。五歳で子役デビューし昭和を代表する大女優となった高峰秀子には、華やかな銀幕世界の裏で肉親との壮絶な葛藤があった。函館での誕生から戦時下の撮影まで、邦画全盛期を彩った監督・俳優らの逸話と共に綴られた、文筆家・高峰秀子の代表作ともいうべき半生記。日本エッセスト・クラブ賞受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 高峰秀子。大女優が学校に行かれず、身内のために小さなうちから働いていた。母親の身代わりのように。
    そのなかで、物事を見る目、人との関わりを学んでいく。
    ここに、戦争の影が当たり前のようにさしこんでくる。
    時代と個人の考え、人生は切り離せないね。
    愛らしいデコちゃんがどうなったか気になる。

  • 何度目の再読だろう…
    読むたびに
    そうだった のところ
    おっこんなことも のところ
    へぇーっ それもあったんだ
    と 何度も楽しませてもらえる

    版が新しくなり
    活字が見やすく大きくなっているのも
    また うれしい

    きっと また 何度も
    読みかえす一冊です

  • 往年の大女優高峰秀子が、養女に貰われてくるいきさつから、ひょんなことから子役として映画界に投げ込まれ、養母との様々な確執と戦いながら芸能界を生きてきた自叙伝である。
    引っ張りだこの子役だったために満足に学校へも通えず、学問と縁が薄かった彼女だけれど、これだけの文章を書くには、大人になってからの読書量や、かわいがってくれる周りの大物たちからの「耳学問」の成果が大きいのだろう。

    彼女は、俳優「高峰秀子」を演じていたけれども、普段は「平山秀子」であり、結婚してからは「松山秀子」でありたいと思っていたのだろう。その肩肘張らないところが「偉い」人たちには面白かったに違いない。何の因果か養母の前でも「高峰秀子」であった彼女は、「パリへ留学」という形で、日本を逃げ出すのだけれど、結婚してからやっと「高峰秀子」よりも「松山秀子」でいられるようになったのかもしれない。

    彼女のエッセイをもっと読んでみたい。

  • 何度も読み返しているけど何度でも引き込まれる。やはり母親の強烈な性格がある意味では最大の魅力だと思う。(高峰秀子の)内側の話ばかり読んでいるから、今度は外側からの話を読んでみようかと思った。

  • 面白かったの一言に尽きます。古い日本映画が好きで高峰秀子さんも勿論大好きな俳優、という私のような人でなくとも、きっと楽しめるでしょう。そこには、映画界という特殊な世界ではあれど、昭和初期の戦争を挟んだ時代の空気感、生活感が満ち溢れ、いきいきと迫ってくるからです。また、「無学」「耳学問」というのが信じ難いほど巧みな筆力で、人並以上の苦労も悲哀もまるで何てことのないドタバタ喜劇かのように笑いに昇華してみせる、その強さと健気さは一人の女性として尊敬の念を持ちます。中でも多くの頁をさいて綴られる戦中のエピソードは、他の類書にみられない独特で率直な視点があり、胸を突かれます。

  • 778.2

  • 励まされました、大女優なのにお金、名誉に執着せずに淡々と生きていく姿、いいね~

  • ほんとにたまたま出会って、悩まず買って、一気読み。
    そのまま、下巻を買いに走り、これまた瞬間読破。久々に引き込まれてしまったエッセイ?でした。

    生い立ちや、考え方はともかく、やはり東大入試問題にも使用されたのがうなずけるような文章の力にびっくり。
    最近では使わなくなったような言葉や言い回しがとても心地よく、使ってみたいと思い書きとめました。

    この一冊に出会って良かった。

  • 2012.8.25〜9.14 読了。
    これは出色の自伝だ。ある意味、悲惨な人生だが、思うところを包み隠さず表現しているし本人の性格がサッパリ、キッパリ、スッキリで心地よい。交友関係が大物ぞろぞろ(谷崎潤一郎、志賀直哉、梅原龍三郎、川口松太郎)だが美人女優という要素のほかに本人の気性と座持ちの良さが呼び込んだものだろう。河野一郎に”この女は只者ではない!”と思わせるところは面目躍如か。しかし、いくら5歳の子役からとはいえ300本を越える映画出演数はスゴイ。他のエッセイも読みたくなった。

  • 高峰秀子さん自身が著した自伝。
    5歳の時、養父に撮影所へ連れられ、
    期せずして女優の道を歩く。
    上巻は終戦までの歩みが書かれている。

    田中絹代、エノケン、入江たか子、杉村春子、黒澤明、市川昆、谷崎潤一郎などとの交流。当時の映画制作の様子。彼女の生い立ち。
    内容も文章もとても面白く一気に読み終えた。

    彼女の人生は実にドロドロじめじめしている。
    4歳で叔母の養女となり、芸能界で成功したかった叔母は、高峰さんを自分の分身、所有物のように扱う。
    そもそも叔母の芸名が「高峰秀子」ずばりだった。
    子役時代には、歌手の東海林太郎の異常なまでの溺愛に苦しみ、同時期には親戚9人を高峰さん1人で養っていた。まだ子供である。
    数回しか会ったことのなかった実兄は、怪しい商売を思いついては彼女の給料を無心する。彼女は女優を続けて金を稼ぐ他ない。
    そして戦争の混乱も経験し…

    そんな、私だったら確実にグレてる人生も、
    高峰さんの文章は実にカラッとして潔いので、暗い部分や恨み辛みも嫌味に感じない。
    もう1人の高峰さんが冷静に俯瞰している感じを受ける。
    彼女のサッパリとした性格、逃げられないと分かると腹をくくってその中で上を目指そうとする懸命さがこの文章に表れている。

    小学校もろくに行けず、無学コンプレックスに悩んだというが、
    高峰さんの表現力は実に素晴らしい。

    例えば、空襲の様子について。
    "B29の百機、二百機という大編隊の、大鮫の大群のような白い腹をふりあおいだとき…"

    人について
    "人間は本当に偉くなってしまうと、もろもろの虚飾やゼイ肉が蒸発して、地金だけが底光りしてくる"

    広辞苑を編集した新村先生は彼女の大ファン。
    和歌付きの手紙を送ってくれる先生のことをこう呼んだ。
    "八十三歳の光源氏"

    言葉のチョイスが素晴らしくセンスが良い。
    高峰さんに別の人生があったなら、私はコピーライターになって欲しいと思った。

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著者プロフィール

1924-2010 北海道生まれ。子役時代から晩年まで一貫して日本映画界を代表する名女優として名を馳せた。出演作は300本以上。代表作に『二十四の瞳』『浮雲』『名もなく貧しく美しく』など。確かな審美眼を持ち、絵画骨董にも造詣が深い。名文家としても知られ、『わたしの渡世日記』で日本エッセイストクラブ賞受賞。ほかに『にんげん蚤の市』『台所のオーケストラ』『コットンが好き』『いっぴきの虫』など著書多数。夫は脚本家・映画監督の松山善三。養女は文筆家の斎藤明美。

「2022年 『高峰秀子ベスト・エッセイ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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