あきらめない限り、夢は続く: 難病の投手・柴田章吾、プロ野球へ (新潮文庫 た 99-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (303ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101380117

作品紹介・あらすじ

少年野球で全国制覇し、日本代表として海外遠征を控えていた天才ピッチャー柴田章吾を原因不明の難病が襲う。皮膚や粘膜が激しい炎症を起こし、「最悪、死ぬ怖れもある」ベーチェット病。しかし、厳しい運動制限と食事制限を受け、入退院を繰り返しながらも甲子園のマウンドに立った彼は、明大野球部を経て、2012年、読売巨人軍に入団した。夢を追い続ける青年と家族の汗と涙の記録。

感想・レビュー・書評

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  • 先に夢に出会えた事が凄い幸運だったね

  • 巨人ファンということもあり、ドラフトで指名された時から少し話題になっていたので気になって読んでみたが、非常にいい話だった。

    病はいつ、どこで、誰に降りかかるかわからないものであり、簡単に言ってしまうと「不運」な才能に溢れた球児が難病にかかってもなお夢を諦めず、血も滲むようなリハビリや葛藤を越え、家族の支えもあり、読売巨人にドラフト指名される。

    「現実は小説より奇なり」という言葉が、本当にその通りだと思わせてくれる一冊。

    タイトル通り、あきらめなければ夢は叶う のだと強いメッセージを送ってくれる。

    野球をやっている(た)人はもちろん、スポーツをしていた人にはぜひ読んでもらいたい。

  • とても良い本でした。

    この本で取り上げられているのは2012
    年にプロ野球の巨人に育成枠で入団した柴田章吾投手。彼は幼い頃から野球が大好きで、小学校時代からメキメキと頭角を現していました。夢は甲子園で投げること。そんな順風満帆な野球生活は中学三年生の時に突如として打ち砕かれます。病気が起こる原因は不明で、治療法も確立されていない国指定の難病であるベーチェット病を発症したのです。皮膚や粘膜が激しい炎症を起こし、最悪死ぬ怖れもあるベーチェット病。しかし彼は厳しい運動制限と食事制限を受け、入退院を繰り返しながらも野球人生を続けます。そして愛工大名電の投手として甲子園のマウンドへ・・・。

    ベーチェット病は健康な人にとっての「当たり前」が症状を悪化させる厄介な病気です。食べたいものを食べる、思いっきり練習する等等。柴田くんは発病以来、どれだけのことを我慢してきたのだろうか思わずにはいられません。この本には食事や練習面で我慢が足りなくて失敗したことも包み隠さず書かれていますが、彼は必ずそこから学んでいます。すべては野球のため。強い思いを感じました。

    この本はライターさんが第三者目線で書いており、柴田くんの御両親、愛工大名電の監督と奥さん、主治医の先生など彼を取り巻くたくさんの人たちが登場します。彼らも本当にすごい人たちで、学ぶところが多くありました。
    それから、「不治の病にかかった天才が再起を目指す」というこの本のメインエピソードはいくらでも美談に、ドラマチックに描けると思います。でもそうはせず、取材をきっちりして関係者と信頼関係を構築してそこから得た事実をきっちり丁寧に積み上げたライターさんの田尻さんの手腕も素晴らしいものがあると感じました。

    「成功の反対は諦めること」という言葉を本当に感じさせられた1冊でした。たくさんの人に読んで欲しい本です。

  • 名門・愛光大名電、明治大学を経て読売ジャイアンツの育成選手となった柴田章吾選手のドキュメント。彼はベーチェット病という難病を中学三年生で発症し、その病と向き合いながら闘いながらプロになるという夢をあきらめずここまでやったきた。名電では先輩に中日ドラゴンズの堂上直倫、明治大学では広島東洋カープの野村祐輔と同級生。性格的にはプロ向き、ピッチャー向きの性格をしているなと思う。まぁ読みながら何度か涙しました。同じ左腕ということでエースの内海にも臆さずいろいろ質問を投げかけるなど向上心も抜群。同じ育成出身左腕の山口が費用を負担して来週の内海組グアムキャンプへの参加が決定。内海、山口という一流左腕から何かを掴んで来年は支配下に上がれるように頑張ってほしい。今は台湾で開催されているウィンターリーグに派遣中。球団も期待をかけている。全国のベーチェット病患者の励みになってほしい。彼は同じ病のEXILE・MATSUに勇気をもらっていることだし。2013/342

  • 巨人ファンです。
    育ドラで難病の子が入団したのは知っていました。
    なんとはなしに読んでみました。

    小さい頃から溢れんばかりの野球の才能を開花させながら、中学生で難病であるベーチェット病(私事ですが、看護師という職業柄、この病気の恐ろしさは理解しているつもりです。さだまさしの「解夏」でも取り上げられた病気ですね)にかかってしまう、柴田くん。
    “なんで俺が?”という思い。
    神様さえ恨んだこと。
    大好きな野球をやりたい時に、病院のベッドで流した涙。

    それでも諦めなかった強さ。
    周りの人たちの温かなフォローと、それらへの本人の感謝の気持ち。
    で、立つことができた甲子園のマウンド!

    著者さんは、柴田くんにはもちろん、彼の家族・チームメート・野球部の監督ご夫妻・主治医の先生etc.…ひとりひとりに寄り添いながら、優しく、でも情熱を持って、彼らの戦い(敢えてこう表現してみます)を綴っています。
    単行本では甲子園まででしたが、文庫ではその後…大学から育成ドラフトを経てプロへ歩み出すまでも扱っています。
    彼の物語は、現在進行形なんです。

    巨人のチームメートのひとりがこの本を読み、尊敬する人の中に彼が入ったと言います。
    確かに、彼の強い気持ちには、敬意を払わずにはいられないです。

    これからまだ続くであろう私の人生の中で、何かに挫けそうになった時、またこの本を読み返してみることになると思います。

    たぶん、何度でも。

  • 僕は、巨人が好きではない。でも巨人も柴田章吾のような選手を採るんだ。見直した。
    柴田章吾
    この本を読む限り素晴らしい人だ。会ってみたい。話がしてみたい。
    僕の方が年はだいぶ上なんだけど、人生の中身が濃い。今までの自分が恥ずかしい。「夢は、逃げない。逃げるのは自分」心に刻んでおこう。

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著者プロフィール

田尻賢誉(たじり・まさたか)スポーツジャーナリスト。1975年12月31日、神戸市生まれ。学習院大卒業後、ラジオ局勤務を経てスポーツジャーナリストに。高校野球の徹底した現場取材に定評がある。『智弁和歌山・髙嶋仁のセオリー』、『日大三高・小倉全由のセオリー』、『龍谷大平安・原田英彦のセオリー』、『明徳義塾・馬淵史郎のセオリー』、『広陵・中井哲之のセオリー』(小社刊)ほか著書多数。

「2023年 『聖光学院・斎藤智也のセオリー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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