さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫 ひ 34-1)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101382517

感想・レビュー・書評

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  • エンターテインメントとしてレベルが高い。
    脳天撃ち抜かれた。

  • 中々の読み応え、一気読みでした。

  • 小沢健二とタモリのくだりがとても好きだ。
    私もタモリしかり、オザケンの「さよならなんて云えないよ」の歌詞が好き過ぎる。人生を真っ向から肯定してる、って表現がタモリらしくて素晴らしいな。

    ほんで、このオザケンのくだりは本編とほとんど関係がないっていうね。

  • [private]本屋で買って著者に還元を・・・とかカッコいいこと思いながらも、ブックオフで購入。[/private]
    処女作には作家の全てが注ぎ込まれるというが、『さらば雑司ヶ谷』はまさしく樋口毅宏の全てがエッセンスとして込めれているだろう。

    話の展開を急ぎすぎていたり、引用やオマージュが詰め込められすぎている部分もあるから稚拙という印象は拭いきれない。

    しかし、多くの処女作がそうであるようにそこもまた魅力なのだ。

    Twitterの投稿や他の作品を読んだ後に改めて読むと、著者はモラリストであり、であるが故の暴力描写なのだなと印象を改めた。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    中国から久しぶりに戻った俺を出迎えた友の死。東京、雑司ヶ谷。大都会に隣接するこの下町で俺は歪んだ青春を送った。町を支配する宗教団体、中国マフィア、耳のない男…狂いきったこのファックな人生に、天誅を喰らわせてやる。エロスとバイオレンスが炸裂し、タランティーノを彷彿とさせる引用に満ちた21世紀最強の問題作、ついに文庫化。脳天、撃ち抜かれます。

    ホモホモエログロドロドロドンパチドンパチアンアンアンという本です。疾走感がすごいのに寄り道もすごい。話に関係するのかと思うサブカル系の話題も全く関係ないまま疾走し続けます。雑司ヶ谷という作者が生まれ育った静かな町に紙面で暗黒帝国を起立させ、徹底的に破壊し新たに構築しております。何がすごいってハードボイルドでエログロなのにヒロインと老婆しか女性が出てこないのがすごい。ひたすら男と男が肉弾相打つという様相で、満員電車で読んではいけない本という点で、花村萬月に匹敵するでしょう。
    謎らしきものを解いてミステリーっぽさを出しているものの、誰もそんなこと期待していないのは明白。猛進しつづける暴走列車から振り落とされない方が重要なのです。
    タモリさんもいいとも終わってからすっかり楽しそうになって、絶望大王ではなくなったような気がします。って小説のレビューでタモリさんの事書く時点でこの本の異常性が表れているような気がします。

  • 2014.8
    ブックサーカス元住吉

  • 雑司ヶ谷の御曹司大河内太郎は、中国での悪夢の日々から帰還した。しかしすでに親友京介の姿は無く、待っていたのは狂いに狂った見知らぬ町だったーー。

    とにかくざーっと読んでしまう。グロッキーな場面もあるから、苦手な方は一頁も読まないことをおすすめしておこう。

    しばらく読んでいると分かるけれど、作者の樋口さんはかなりの映画好きなのかなと思われる。ぶっちゃけ映画好きを自称して映画学なぞ学ぼうとしている同期よりも詳しい。しかも、なんか肝を押さえている感じがある。まあ、とはいえ自分が知らないネタもあるから、ちょいちょい分からない。それでも読めてしまうのがすごいんだよね。

    で、私が読んだのは文庫版なんだけども、巻末の他作品宣伝が絶妙。知っている限りでは綺麗事ぬかしてるゆとり作品が少ない。いい趣味しているなあ。

    続編もあるとのことなので、気軽に読もうかと思う。手にはいればだけど。

  • 「しばらく見ないうちに変わったな」
    「変わらなければ、生きていけなかったの」

    『あらゆる健康法は、持って生まれたDNAの前では気休めにすぎない。』

    「歌うことがないからとりあえずラブソングを歌っている連中とは違うのさ。誰もが気軽に聴けるポップソングの中に深い真理を込めたフレーズを織り交ぜる。それが大事なんだよ。」

    『この世に神はいない。それは歴然とした事実である。
    天国と地獄もないし、前世も霊も、ましてや運命などといったものもない。それは偶然をこじつけようとする勝手な解釈にすぎない。それを自覚した人間から金持ちになっていく。』

    『時代や国家が違えば、思想や価値観も変わる。現代では人類はみんな平等ということになっている。だが人類が「命の尊さ」とか「人権」とかいうそれはそれはステキなお題目を唱え出したのは、たかだかこの半世紀のことだ。それまでは腹が減りすぎて考えられなかった。』

    『平等だとか博愛だとか、立派なことを並べ立てられるのは、衣食住が満ち足りているからこそだ。』

    『死者は見守ってくれていたとしても、手助けはしてくれない。あの世から金を持ってきてはくれないのはもちろんのこと、水の入ったコップ一杯、運んではくれない。文字通り、ただ見守っているだけだ。
    俺たちは現世において、現実において、自分自身の手で道を切り開いていくしかないのだ。
    もう一度言う。この世に神はいない。
    俺は、俺という存在を徹頭徹尾、偶然の産物だと確信し続けるだろう。』

    『俺は映画や本などではなく身体で知った。セックスは愛の行為ではなく、奪うか奪われるか、支配するかされるかを決める力学であることを。
    心が肉体をコントロールするのは難しいが、肉体は心をいくらでも矯正し、支配できる。』

    「溺れている人に船から浮き輪を放り投げて、『自分はただ見ているだけではなかった』と言い逃れするのではなく、自分も海に飛び込んで溺れた人を助けてあげなさい。強い意志と行動を続ければ、必ず不幸の連鎖を断ち切ることができるよ」

    「おまえも人の使い方がわかるようになってきたじゃないか」
    「命は平等ではない。それはあんたの口癖だったじゃないか」

  • タモリ論で知ったのですが久しぶりにどんどん読みたくなる作家です。

    内容は少し安易というか安っぽいところがあるんだけど、それが逆に読みやすさを誘っているような気がしないでもない。

    面白いです。

  • 2013年7月31日読了。

著者プロフィール

東京都豊島区雑司ヶ谷生まれ。出版社に勤務したのち、2009年『さらば雑司ヶ谷』で小説家デビュー。11年『民宿雪国』が山本周五郎賞と山田風太郎賞の候補作となり話題に。著書に『日本のセックス』『テロルのすべて』『二十五の瞳』『タモリ論』『ドルフィン・ソングを救え!』などがある。

「2023年 『無法の世界 Dear Mom, Fuck You』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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