- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101391410
感想・レビュー・書評
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間違いなく人生で1番好きな本。出会えてよかったーー、高2のときに初めて窪美澄さんのこの本を読んで、読書で初めて感動以外の涙が出た。
理不尽なことは理不尽だ!と怒る矛先があるけれど、理不尽さなど1ミリもなくて何もかも正当な理由で裁かれるとき、それが自分の大切な人だった場合の感情がずっと想像できない。何かあるたびにずっとこの本のことを考えていくと思う。
17歳の時に読んだから、今読んだら感じ方が変わっているのかもしれなくてそれが怖くて読み返せない。
それくらい大切な本、ずっと大切にしていきたい本。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前半の描写が過激で、少し読むのを躊躇したが、読み進むと、命の重さ、どんな親の元に生まれるかに人生が左右される部分が大きいことなど、改めて考えさせられた。
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女による女のためのR18文学賞受賞作。本屋に平積みになっていて、カバー見たら母校の出身者だったのよね。なので買ってみました。
ちなみにR18だからって本の嗜好が...とか言わないでね。チャタレイ夫人の恋人とか未読ですから。(違うか)
これは娯楽作として面白かったです。全体的に、静かに人を眺めるような書き方が上手いと思う。男女問わず読んで面白いのではないかな。
とりあえず重松清の書評がすごく良かったから、この本についてはそこを読んでもらえればいいや。(それでいいのか)
私が感じたのは、ああ、うちの学校を出て、こういうことを書く人がいるんだなあ...という静かな感慨。
なんとなくだけど、著者はきっとまったく自分と関わりのない世界を書いたわけではないと思うのだ。
もちろん彼女がそういう環境にいたとか、そういう男女関係を経験したということではないと思う。でも、多感な思春期時代になんとなくもやもやして、何かを感じて考えて、それをこういうフィクションのかたちで世に出した。明らかにフィクションの設定だし、プロとしての上手い書き方がされているけど、なんとなくそうじゃないのかな、と思わせるかすかな熱を帯びていると、私はこの作品に感じたのであります。
例えば、それは登場する地理的要素とか(川とか、梨畑とか、老朽化するニュータウンとか)や、カトリックの学校(あんなイジメがある学校じゃないと思うけど)に現れていると思う。
プロだからもっと偽物も本物のように描写できると思うんだけど、同じような環境にいたからわかるのかな、なんかちょっとだけ環境の描写が生々しくて、安っぽかった。
でもそこにかすかな熱を感じて、これがデビュー作の魅力なのかな、とか、どうしても作品にして昇華したかった思春期のもやもやがこの人にはあるんじゃないかな、とかそう思ってしまって、それが面白かった。
まあ、なんの成果物も産み出さないような思春期を過ごした私と一緒にすんな!と著者に言われちゃいそうだけどね。
でも、なんか、わかる気がしたのよ。先輩。
というわけで面白かったです。 -
本当にふがいなく、残念な人がたくさん出てくる。R18な1話があっさり終わって、これ短編集なのか!と読み進めたら、残念な、ふがいない人達を違う角度から見ることができたらせつなかった。
どうしようもなくふがいなくて残念でもいいから、がんばりなよって応援したくなった。
人より厄介なものを抱えてもがいてるせつなさが詰まってるけど、映画で伝わるかなぁ。
ただのエロエロコスプレ不倫話じゃないよ。 -
初めて読む作家の作品。タイトルがあすなひろし的だったので惹かれた。ふがいない僕の一時の誤ちから物語は展開し登場人物のそれぞれの視点からふがいない僕のあやまちが語られる。さすがに母は強し。読後に清々しさを感じた。
内容は、R-18につき良い子は心して読むように。 -
はじめは官能的な描写に引き込まれていった。
画面から引いてみると、コスプレとか不倫とか宗教とか万引きとか世間に散らばっている変わっていたり非難される要素だったなーと感じる。
でも読んでるときにはそれぞれが人間としてもってきた本能がさらけだされていて、むしろリアリティがある。
特に感情がシフトしていく瞬間の描写が好き。窪さんのみている視線が自然体で、すーっと入り込んできて、小説のはずなのにふと自分の生活と重ねている。
小説の中の世間(社会)も登場人物たちの言動も自然体に描かれているように感じる。だからどの立場も非難されるものでもなく、それらを包み込むものが社会であり、人の欲求であり、姿なのだなあと愛というか愛おしさを感じた。 -
「高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスをしている。」
文庫本の裏表紙にある紹介文の、衝撃的な一文目。
刺激が強めの本は苦手なんだよなぁ、と思いつつ読んでみることにした。最初は登場人物たちを冷やかし半分で見てたくせに、読んでいくうちに他人事とは思えなくなって、最終的に彼らが抱くどうしようもない感情も衝動も痛みも全部全部、私の中にもあるものだったんだと思って泣きながら読んでいた。
「R-18文学大賞受賞」とあるけれど、この本を本当に1番読むべきなのは高校生なんじゃないかと思う。まあ少し刺激は強いけど、きっと下手な性教育の倍ためになる この本で抱いた感動は私の貧相な語彙力では言葉にはしきれないので、重松清さんの解説の一文を最後に添付して文の終わりとします
〈なにより惹かれたのは、どうしようもなさをそれぞれに抱えた登場人物一人ひとりへの作者のまなざしだった。救いはしない。かばうわけでもない。彼らや彼女たちを、ただ、認める。官能が(哀しみとともに)濃厚ににおい断つ世界を描きながら、作者はきっぱりと、清潔に、登場人物の「性(せい/さが)」を受け容れ、それを「生」へと昇華するための五編の物語を重ねていくのだ。どう生きるか、生きてなにをするのか、なんのために生きるのかという賢しさではなく、ただ生きて、ただここに在るーー「ただ」の愚かしさと愛おしさとを作者は等分に見つめ、まるごと肯定する。その覚悟に満ちたまなざしの強さと深さに、それこそ、ただ圧倒されたのである〉 -
登場人物それぞれが主人公になった5つの話から成る1冊。
正直1話目を読んだあたりアダルト、、これは評価つけ難いなと思ったけれど、読了した今星4つつけていました。笑
この作者さんすごいなと思ったのが、
同じ時について、5話でそれぞれの登場人物がどう思っていたかという描き方ではなくて
ページをめくるにつれて時は進んでいる。それぞれの時を生きている。っていう描き方。
だからそれぞれの主人公がその後どう思って生きているかは考えさせられる…ような余韻を残された。
結局誰もがどうしようもないことがあって解決できないまま心に残る。
そんな現実に感じることを過激ながら表現してくれてる1冊だなと思う。
と、巻末の解説で心の整理をさせてもらいながら感想を書けました。
重松清より。「僕たちはいつも、愛読する作家の作品から、人生や世界の肯定のしかたを学んでいる。」
・・・そうだったか。ふむ。そうだったかも。これからも。Netflixで映画を見るのも好きだけど、やっぱり読書っていいな!と思いました(人 •͈ᴗ•͈)
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第一話の『ミクマリ』で主人公が浮気相手の年上の人妻が子供服売り場で幼児サイズの靴下を手に持ってる姿をみかけた時の描写がとても萌えて、そのくだりを何度も読み返した思い出があります。