- Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101391410
作品紹介・あらすじ
高校一年の斉藤くんは、年上の主婦と週に何度かセックスしている。やがて、彼女への気持ちが性欲だけではなくなってきたことに気づくのだが-。姑に不妊治療をせまられる女性。ぼけた祖母と二人で暮らす高校生。助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親。それぞれが抱える生きることの痛みと喜びを鮮やかに写し取った連作長編。R‐18文学賞大賞、山本周五郎賞W受賞作。
感想・レビュー・書評
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産まれ育った小さな街は、良いところもあるけれど、ちょっとしたきっかけで息が詰まっていく危険をもった場所になる。
生と性、性向と性交、そして出産を日常の間を縫って描いている。
「ミクマリ」でコスプレ人妻と不倫の果てに、その行為を暴露された高校生。彼に関わるこの街の片隅の人達を描く連作短編5編。
彼の不倫相手、彼を好きな少女、彼の友人、とそれぞれの家族の救いの少ない短編が続く。「セイタカアワダチソウの空」は、貧困と祖母の介護を背負う友人が主人公。彼に救いの手を差し出した青年の深い闇。青年が、それを神様のオプションという。誰しも何かのオプションを持ているのだろうが、償えきれない罪を犯してはならない。
少し遠い社会のようで、隣家の話のようで。
「花粉・受粉」は書き下しのようですが、高校生の母親の身を切る辛さだけでなく、少し見えきた其々の、のこれから。
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「セイタカアワダチソウの空」
作品としては辛く悲しいどうにもやりきれない思いが溢れる良い物だと思うのですが、現実にこの様な環境でしか生きてい...「セイタカアワダチソウの空」
作品としては辛く悲しいどうにもやりきれない思いが溢れる良い物だと思うのですが、現実にこの様な環境でしか生きていけない若者がいるだろうという事が苦しい。2022/09/19 -
moboyokohama さん こんばんは
数年前、両親を亡くした20歳くらいの女性が、資格も取れていよいよ就職となった時、祖母の介護が始...moboyokohama さん こんばんは
数年前、両親を亡くした20歳くらいの女性が、資格も取れていよいよ就職となった時、祖母の介護が始まり、半年くらいで、行き詰まっって祖母を殺害した事件がありました。
中学や高校で、介護保険法とか、民生委員の役割とか教育の一環として扱ってほしいです。
大人でも知らない人が多いから。2022/09/19 -
そうですね。
公的な援助がある事をもっとアピールしなければいけないと思います。
広く知られると財政が苦しくなるとか、仕事が増えるとか、そんな...そうですね。
公的な援助がある事をもっとアピールしなければいけないと思います。
広く知られると財政が苦しくなるとか、仕事が増えるとか、そんな事でわざと知らせない様にしているのではないかと疑いたくなります。
まるで知らないからいけないんだよと言われているような気がします。
けれど誰もが地域の広報物などに細かく目を通して情報を持っているわけでは有りませんよね。2022/09/19
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全体的におも〜い感じではあったけど、読みやすかった。実際どうにもならない事は沢山ある。少しでも踏み外すとなかなか元に戻れないのは学校生活だけじゃないなと思った。
マチコの発言にイライラした。自分の子育てをやり直したいが為に孫が欲しい感じが腹立ったわー。あんな姑無理だわー。離婚出来なかったのかな?
田岡さんは何故あんなに優しくしてくれたんだろう。田岡さんのイメージ像がうまく湧かなかった。-
コメントありがとうございます。
映画化されていたんですね!知りませんでした。窪田正孝さんが出ているなら是非見たいな思いました。教えて頂きあり...コメントありがとうございます。
映画化されていたんですね!知りませんでした。窪田正孝さんが出ているなら是非見たいな思いました。教えて頂きありがとうございます。楽しみです。2020/06/16 -
ぴーまん様
フォローありがとうございます。
書棚を拝見させていただきました。
私のそれとはずいぶん趣が違うなあとおもいました。
これ...ぴーまん様
フォローありがとうございます。
書棚を拝見させていただきました。
私のそれとはずいぶん趣が違うなあとおもいました。
これからは参考にさせていただきます。
よろしくお願いいたします。2020/06/16 -
moboyokohamaかわぞえ様
フォローありがとうございます。
こちらこそよろしくお願い致します。moboyokohamaかわぞえ様
フォローありがとうございます。
こちらこそよろしくお願い致します。2020/06/16
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とても感動しました。一気読み。
導入の「ミクマリ」は、コスプレ主婦と不倫する高校生の過激な描写のエロ小説。割合あっさりと終わり、次の話「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」へ。「あれ、もう終わりなの?」と面食らっていると、途中でコスプレの主婦視点の話で、単なる短編集ではなく、繋がっていることに気付く。
「ミクマリ」だけなら、若者が自由奔放な性生活の中でホンモノの愛を知り、ほんのり傷つきながら成長する話なのだけど、そうは問屋が下さなかった。
「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」以降で、ストーカー、リベンジポルノ、新興宗教、自然災害、鬱、貧困、認知症、強制わいせつ…など重いテーマがてんこ盛りの恐ろしい話になっていく…
文体が軽妙なのであっさりと読めるけど、なかなか骨太な連作短編集。ラストは晴々しい気分で読み終えられる。
「ばかな恋愛したことない人なんて、この世にいるんすかね ー」って、みっちゃんの一言は救われるな。
あと、「本当に伝えたいことはいつだってほんの少しで、しかも、大声でなくても、言葉でなくても伝わるのだ 」という部分、それが真理なのだとすれば、人生捨てたものじゃない。心が楽になる一文。 -
高校1年生の齋藤くんは年上の主婦と週に何回かコスプレしながら性行為をしている。やがて、齋藤くんは年上主婦に会いに行くのは快楽のためではないと気づく。第1話の「ミクマリ」は女による女のためのR-18文学賞受賞作。始まりの文章がやや過激な性描写で「あぁ、R-18文学賞っぽいなぁ」と思った。とはいえ「女による~」の受賞作は2・3冊しか読んでないので本当はよくわからない笑。
ただ「ミクマリ」だけを読んだだけではすっきりしなかっただろう。5話からなる短編連作。最後の「花粉・受粉」まで読み終えて やっぱり窪美澄の作品好きと思った。
助産師の母親を持ち時々出産のお手伝いをする齋藤くん。ある日の出産に立ち会い 生まれてきた男の子をみて「おまえ、やっかいなものをくっつけてきて生まれてきたね」と言う。
この本の登場人物みな 何かしらの「やっかいなもの」を抱えて生きている。それは性癖、性欲、性別でもあるし、親や家庭環境でもあるし。わたしたち誰もが持っていであろう「やっかいなもの」。こいつとどう付き合って生きていくのか。
みっちゃんの言った「ばかな恋愛したことない人なんて、いるんすかねー」って言葉が好きだ。齋藤くんとあんずの恋は不倫だしね。松永の恋も不毛だし。頭のよすぎる松永兄はフリーセックスの宗教信者になっちゃうし笑。でも、窪さんの作品の登場人物を嫌いになれない、というか 愛しく思えてくる不思議。それは「ばかな事」とわかっていても それを抑えられないほどの感情に出会えている主人公たちが ちょっと羨ましいからだと思う。親のネグレクトから認知症の祖母と二人暮しをしている友人の福田も齋藤くんのビラをばら撒くくらいしないと 憂さは晴らせなかっただろうね。本当にばかなことだけど。齋藤くんの優しさも 松永の真っ直ぐさも 福田の強さも 大好きだ。
松永が齋藤くんを好きになった理由にはキュンときた。背の低い松永が 手の届かない位置にある物を取ろうとしていたら 後ろからひょいと松永を抱えあげる齋藤くん。自分が取ってあげるんじゃなくて、松永抱えるって♡ しかし、意中の相手じゃなかったら ちとビビるか笑。
そんな優しい齋藤くんが 「花粉・受粉」で
やっと声を出して泣けたことに泣けた。
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今、図書館の窓際でこれ書いてるだけど
窓の外でお昼寝してる仔猫がいてめちゃくちゃかわいいっ!人が近くを通ると警戒してビクッとしてる笑 目が離せない(♡´▽`♡)-
2023/10/03
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山本周五郎賞も獲っているんですよね、これ。
少々過激な内容ですが、結構好きですよ^^
それで。
うちの図書館にもぜひ仔猫を派遣して...山本周五郎賞も獲っているんですよね、これ。
少々過激な内容ですが、結構好きですよ^^
それで。
うちの図書館にもぜひ仔猫を派遣してください。
学校が近いので小中学生がうるさいです( ˘•ω•˘ )2023/10/03 -
土瓶さんのレビューも読んだよー。ね、母親目線の5話目がいいよね!
仔猫ちゃんね〜ホント癒されたわ〜(*´ `)♡♡
子どもの元気な声も癒し...土瓶さんのレビューも読んだよー。ね、母親目線の5話目がいいよね!
仔猫ちゃんね〜ホント癒されたわ〜(*´ `)♡♡
子どもの元気な声も癒しだけど、図書館近くはあれだね笑 こちらの図書館はイビキかいて寝てるおじいちゃんいるけどね笑2023/10/03
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ポプラさん☆お久しぶりかな?
最近、窪美澄さんを読むようになりました。
窪美澄さんはそのような本も書くのですね。
ふがいない・・・読まない...ポプラさん☆お久しぶりかな?
最近、窪美澄さんを読むようになりました。
窪美澄さんはそのような本も書くのですね。
ふがいない・・・読まないことにします!私の窪さんへの印象は全然違うから。教えてくれてありがと(^・^)
2023/08/23 -
アールグレイさん、
こんばんは。
コメントありがとう。遅くなりました。
娘が怪我したので、毎日車で往復頑張っていますよ。
さて、この...アールグレイさん、
こんばんは。
コメントありがとう。遅くなりました。
娘が怪我したので、毎日車で往復頑張っていますよ。
さて、この本は女性目線で楽しむR18指定らしいので、読んでみると、楽しめると思うよ。
別サイトで最後まで読むべきだったよ!って言われました。
最後まで読んだら印象が異なったのかも。。。
窪作品、次読むとしたら、晴天の迷いクジラ か 夜に星を放つ です。2023/08/24 -
ポプラさん(^_^)/こんばんは★
娘さんの怪我、大事にしてあげて下さい。きっと、一番辛いのは本人かと思うので。車の送迎、仕事と両立させる...ポプラさん(^_^)/こんばんは★
娘さんの怪我、大事にしてあげて下さい。きっと、一番辛いのは本人かと思うので。車の送迎、仕事と両立させるのも大変でしょう。でも、奥さま娘さんにとって、頼れるお父さん、なのですね!
窪美澄さんの本は、夜空に浮かぶ欠けた月たち、を読んだばかり。夜に星を放つ、頂き本で読了してます。なので、晴天の迷い・・・と、新刊を予約してあるのでその2冊を。
千早茜さんの・・・香りシリーズも独特な雰囲気を持つ主人公が良かったです!今は柚木麻子さんを読んでいます!
(@^^)/~~~2023/08/24
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冒頭、男子高校生と人妻のアブノーマルな性的描写から始まるので、一体どんな話なんだろうと思いながら読み始めました。
この男子高校生・齋藤くんの視点だけでは、何が起きてこうなったのか分かりにくいです。
でも、そのあと人妻の視点、友人や母親の視点と、様々な側面が見えてくると、そういうことか……と腑に落ちる部分も増えてきます。
一見、理解に苦しむ行動や、逆に理解を示す行動をしていても、そうせざるを得ない事情や環境があるのかもしれないと、私自身も普段から人を見る時気をつけていますしね。
とはいえ、齋藤くんと人妻がしていることは不倫なので、どんなに純粋な気持ちだろうが、事情があろうが、擁護する気にはなれませんでした。
でもここで窪美澄さんの凄いところは、窪さんも決して彼らのことを救わないということ。
救わないけど、絶望のままでもないこと。
ままならないことをそのままにして、彼ら自身でこの先の人生を生きさせようとする。
いけないことをすると、どこかでしっぺ返しがあるんだよと、まざまざと突きつけてくるあたり、これがデビュー作とは恐れ入りました!とひれ伏したくなりました(笑)
最後、ある人の言葉に目からウロコだったので紹介しますね。
「そんな趣味、おれが望んだわけじゃないのに、勝手にオプションつけるよな神さまって」
本当にそのとおり。 -
新年一冊目となる記念すべき本はどれにしようか?
あれやこれや迷いながら部屋の本棚に数冊購入したまま積読していた窪美澄さんの作品から一冊。
主人公の高校生卓巳、助産院を営む母と2人暮らし、卓巳と不倫していた不妊の主婦あんず。
卓巳に恋する同級生の松永とあくつ、幼なじみの良太。バイト先の先輩田岡。
それぞれの目線での物語が繋がっていく。
好きな人に夢中になっていたあの頃や、バイト先でのやりとりや、思春期と親の更年期が重なり顔を合わせると喧嘩していた、何も考えずに毎日、毎日友達とつるんでバカみたいに騒いで遊んでいた高校時代に戻りたくなった。
どの章でも共感出来る部分がある。
本当に伝えたいことはいつだってほんの少しで、しかも、大声でなくても、言葉でなくても伝わるのだ。
この文章がガツンと響いた。
何とか伝えようと、あれこれまわりくどい言い方をしてしまう自分は、今年は素直に言葉を伝えて行きたいと思った。
遅くなりましたが、ブク友の皆様今年もよろしくお願いします。
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泰悟さん
いつもレビュー拝見させていただいております。
「ふがいない〜」以前読みました。
不倫という形でお互い手に入れられないものを埋めよう...泰悟さん
いつもレビュー拝見させていただいております。
「ふがいない〜」以前読みました。
不倫という形でお互い手に入れられないものを埋めようとしてもなんだか報われない気持ちは消せないもので、、、自分がどうしたいのかどうなりたいのかも手探りで生きてるなって改めて思っちゃいます。
思い悩んだ時は過激派グロホラーに走り、命の尊さ(?)を確認します。笑
平山夢明さんや粘膜シリーズの飴村行さんなどのレビューされているのを見ると嬉しくなり、密かに親近感を持って本棚を拝見させていただいております。
今年もどうぞよろしくお願いします^ ^2022/01/14 -
Kaniさん
手探りで生きていると、悩んだ時に過激派グロホラーに走るには凄く共感です笑
不倫ってぽっかり空いた穴を埋めるきっかけで始まっ...Kaniさん
手探りで生きていると、悩んだ時に過激派グロホラーに走るには凄く共感です笑
不倫ってぽっかり空いた穴を埋めるきっかけで始まってしまうのでしょうね。
読み手の性別や立場によって賛否あるとは思いますが、私は決して全否定は出来ないです。
喪黒福造ばりにドーンッとされたら自分見失うかも笑
Kaniさんがダークで奇妙な世界観や、エログロを共有出来る貴重な仲間と知り、コメント嬉しかったです。
ありがとうございました。
今年もよろしくお願いします(*^^*)
2022/01/14
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人は「やっかいなもの」を抱えて生きていくしかないのです。そうか、そうなのか。そう一旦腹を括れば、何処かにホッとする自分がいました。
解説で重松清さんは書いています。
なぜって、‹やっかいなもの›のやっかいたる所以は、うまく捨てられないところにこそあるのだから。
「やっかいなもの」は人各々だろうけど、このお話では、それは性欲であり、性の嗜好であり、生殖器官なんかのようです。他人には話しにくい部分ですよね。
だけど、今回純粋に性とは生に繋がっているものなんだと思ったんですよね。だから、どきどきするような性の描写があっても辿り着く処には生への光が輝いているようで清々しいし力強いのです。例えその光が今にも消えそうな小さな灯火であったとしても、です。
でもね、それは決して生きることが素晴らしいとか、この世は綺麗なもので溢れてるとか、そういうことではないのですよ。卓巳くんの周囲でも、彼に対する「やっかいなもの」への攻撃は容赦ないし(何故こんなにも赤の他人のことに一生懸命になる人間が多いのだろう)、複雑な想いに囚われて相手も自分も傷つけることしか出来ない奴もいる。一旦最悪なレッテルを貼られれば外すことは困難だし。結局「やっかいなもの」を抱えて生きていくことは、どう考えても楽しいことばかりではないのです。
それでも読み終えたとき、ぽっと希望の光が胸に灯っているのです。どうしようもないほど涙が零れて仕方ありませんでした。
どうぞ生きてください。窪さんの声がひっそりと呟いているようでした。そうすればいつかきっと。いつかきっと……と。 -
窪美澄さんを読むのは「夜に星を放つ」からの二作目。「夜に星を放つ」はほんのりよかったような気はするものの、記憶に残らない短編集だったので、同じ作者とは思えない記憶に残る一冊になりそうです。
「やっかいなもの」を抱えて生きてる私たちに響く作品。セイタカアワダチソウの空の田岡さん、「勝手にオプションつけるよな神さまって」は切実さが伝わってきて切なかった。
著者プロフィール
窪美澄の作品





