女王の百年密室―GOD SAVE THE QUEEN (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (585ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101394329

感想・レビュー・書評

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  • 森博嗣百年シリーズ第1作

    以前に読んだときは、これがシリーズものだとは知らなかったが、最近GシリーズやXシリーズを読んでいて、また過去の作品が読みたくなり再読して登録してみた。
    物語の舞台が現代ではないので、なんというかミステリーとSFファンタジーが混在した、独特の魅力的な作品になっている。
    最初はSF小説風で、あまりミステリーとは感じなかったが、それでもミステリーに良くある「密室殺人」みたいな形式は踏襲しているような...。この作品では、トリックではなくてそういうやり方になるのかと納得。

    最初に読んだ頃は、S&MシリーズやVシリーズとはまた別の作品だと思っていたが、森作品の世界がこんな壮大なものになってくるとは...。そういえば、主人公サエバミチルの名前にも、最初は気にもとめなかったな。

  • あぁ、なんて上手いんだ。騙された。綿密に織り上げられた世界に。物語の中心にい続け、その存在に何の疑問も持たされていない主人公が最後に化ける。そしてその設定に何の違和感も感じないほど完璧なリアリティが出来上がっている。

  • 近未来が舞台で、ハイテクなゴーグル型端末やアンドロイドが登場するSF作品ですが、特にそのようなデバイスが謎解きに用いられるわけではなく純粋にミステリーとして楽しめました。著者の作品はたくさんのシリーズが刊行されていますが、なんとなくスカイクロラシリーズに似た雰囲気だと感じました。
    次巻も早速購入したいと思います。

  • 不思議な近未来のお話。
    ある個人の理想世界で静かに、穏やかに過ごす人々。
    外の世界の事など何も知らずに、
    盲目的に自分達の小さな箱庭世界を信じて生きてゆく。
    永い眠りにつくことで、未来に希望を託し、死から目を背けて。
    実際にはその未来は訪れなくとも。知らずに眠り続けて、いつか朽ちる。

    それは幸せなのでしょうか?
    幸せかどうかはわからない…。
    きっと、本人以外には。

    主人公や、女王、神や、様々な人の葛藤もなどが相まって
    不思議で素敵な世界観を作り上げていて、
    その世界観こそが最大の魅力だと感じた小説でした。

  • 人間とロボットの明確な違いはなく、感情は電気的な現象にすぎないという思想を持ち、ヒト(ロボット含む)の心を愛してロイディとのやりとりを大切に思うミチルの考え方の清々しさが、物語全体の独特な雰囲気をつくっている。

  • SF?ファンタジー?な設定のミステリーです。
    閉鎖的な全てがその中で完結した街に行き着いたサエバミチル。その街はミチルの驚くばかりだった。その街で殺人が起きる。誰も犯人を追おうとしない中でミチルだけが犯人を追う。
    普通のミステリーとは全く違いました。私としては本の厚さに対して早く読み終わったと思います。飽きさせない内容です。
    マンガもでていてそっちは絵が素敵です。

  • Wシリーズ完結記念?に、久々に再読。
    割と動きは覚えていたけれど動機などの機微はすっかり忘れてしまっていました。
    それにしても毎回読むたびに、ミチルという存在に透明感を感じます。
    また五年後くらいにふと読みたいなぁ。

  • 再読。SF的な、ファンタジー的な雰囲気が
    とても好きな作品。
    ミチルとロイディの会話が好き。
    二作目を読んでから改めて一作目を読むと、
    この頃はまだロイディがかたい感じ。
    その代わり具合もすごく好き。

    生と死、罪など、重いテーマを含んだ物語だけど、
    軽快なテンポで物語が進んでいくため非常に読みやすい。

    事件を追う中で、ミチルの葛藤と焦燥感が至る所で伝わって、読んでいて終始ハラハラ。再読だけどすごく楽しかった。

    お気に入りは、ミチルがリンバウに向けて生きることの大切さを話すシーン。言葉のチョイスとか、凄くいい。

    あと戦闘シーンも結構好き。

  • 初めて拝読した森博嗣先生の著書。

  • 世界観が好き。

  • 10年以上ぶりに再読。本作は森博嗣の作品で初めて手にとった著作であるが、キャラクターの魅力や世界観に再び引き込まれた。

    ファンタジーというフィクションではあるが、主人公ミチルの生と死の狭間で揺れる葛藤がリアルに描かれる。仕組まれた歯車がかみ合う時、ミチルは過去の恨みと復讐心にどう終止符を打つのか。

  • およそ100年後の世界.
    最後には大きなどんでん返しが.
    そういうことだったのかと思うところ多数.
    そして,出てくる登場人物の名前.
    これは,何かあるぞと思わせられる,森作品には無くてはならない存在.だからこそ,じっくり全部読み取る必要がありそう.

    世界観に引っ張られて,スゴイスピードで読みたい反面,読み落としてはいけないとブレーキをかける気持ちとが相まって,気持ちが高まってしまう.

    落ち着いて,じっくりと味わって堪能することで,何とも言えない読後感.

  • 熱いバトル展開があるとは思いませんでした。後半はどんでん返しの連続。まんまと騙されました。清々しい。

    例によって性別が曖昧なキャラクター。例によってエネルギィ効率を逐一評価するキャラクター。安定しています。

  • 近未来。死という概念のない国で起こった殺人。
    ミステリというよりはSF?
    深い。深い。 勧めてくれた友達に感謝。

    森博嗣は天才かも。
    本業は工学博士でありながら、小説を執筆し、イラストやら模型やらと多趣味。小説を書いてるのも、模型製作の資金集めのためだとか!

  • 表紙のクリティナ・ガルシア・ロデオの写真も圧巻です。
    近未来SFです。森さんの創造力のすごさを感じます。

  • 2021.05
    Kindleにして森博嗣先生のシリーズ読み直し計画第一弾!100年シリーズ!
    さすがに10年近く前ということで、事件なんだっけ?とか色々覚えてない笑

    ★紹介
    エナジィ問題が解決された世界において、ジャーナリストとして生きるミチルと、パートナーのロイディ。取材旅行の中で出逢う外界と隔絶された街。そこでは富による差がなく、エナジィや資源が恒久的に保障されているため争いが生まれない。そのため法や治安部隊がなく、そして『死ぬ』ことすらない。
    外界からの異物である2人は何を感じ、何を得るのか。街に変化をもたらすのか。

    ★感想
    『生きている』とは何をもって定義する?『死ぬ』とはどの状態になることで、誰が決めるのか?

    人間の価値観は、自身の内面に依存せず、コントロールもできない。外的要因によって構築されうるものだと。
    世界から隔絶された街における価値観形成が、SF感溢れる中で妙な納得感と、不気味さ。
    ここまで人間は進化できるのか?そしてそれは幸せなのか?

    自分を定義するためには、他者が必要であると改めて感じる。
    そして本筋のストーリーも面白いが、森博嗣先生の作品は登場人物たちの思考が本当に面白い。

    さぁこっからKindle生活で読んでいくぞー!!

    過去ログ⬇︎
    ※2013年に書いたことになってる

    はじめて読んだ森先生の本。
    たまたま生協で見つけて表紙に惹かれて購入したのは大学2年頃かな?

    それ以来先生の虜です。
    いつ読み返そうか、お楽しみは後にとっとく人間なのです。 

  • ミステリーをよく読む人には展開が読めてしまうかもしれません。
    しかし、それを差し引いてもあまりある美しい雰囲気。序盤から持ってかれます。

  • 近未来の話で、この時代設定というか、舞台設定が面白い。
    未来の技術と過去(現実世界での現代)の技術が入り混じっていて、その世界観にまず惹かれてしまいました。
    結局どれだけ文化が進化し、技術が発達しても人はそれほど変わる事はないんだろうな、と妙に納得してしまった。

  • この本は私にとって初めての森作品でしたが、読み合わった後の動悸が止まらなかったことがとても印象に残っています。
    ファンタジーとしてキャラクターや設定が素晴らしいのもさることながら、
    文章の美しさ、構成の美しさが当時の私にはとても衝撃的でした。
    森博嗣の理系文章が苦手な方にもお勧めの逸品です。

  • 「死ぬ」って何だろう?
    概念一つで人間社会はこうも変わってしまうのか。

    人間って、複雑に見えて根っこは凄く単純な作りなのか?

著者プロフィール

工学博士。1996年『すべてがFになる』で第1回メフィスト賞を受賞しデビュー。怜悧で知的な作風で人気を博する。「S&Mシリーズ」「Vシリーズ」(ともに講談社文庫)などのミステリィのほか「Wシリーズ」(講談社タイガ)や『スカイ・クロラ』(中公文庫)などのSF作品、エッセィ、新書も多数刊行。

「2023年 『馬鹿と嘘の弓 Fool Lie Bow』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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