未解決―封印された五つの捜査報告 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101426273

作品紹介・あらすじ

犯人逮捕が何度もささやかれながらいつまでも終結しない事件がある。一方で、犯人が逮捕されていながらその背景が全く明らかにされない事件がある。それはなぜなのか。迷宮入りする「住友銀行名古屋支店長射殺事件」「ライブドア『懐刀』怪死事件」、そして、すべてが心の闇に隠された「酒鬼薔薇事件」など、解決されざる大事件の深層に圧倒的取材で斬り込んだ犯罪ノンフィクション集。

感想・レビュー・書評

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  • 「未解決」という言葉を聞くだけで密かに胸をときめかす、と冒頭に書いてあるのに、私は共感してしまう。
    犯罪者でも、犯罪被害者でもないけれど、
    平和と言われる日本であっても、こんなにわけのわかんない事件が起こってるんだと思うと、ほんとの平和とか幸せとかってなんだろう…って考えずにはいられない。

  • 一橋文哉『未解決―封印された五つの捜査報告』新潮文庫。

    5つの事件の真相に斬り込んだノンフィクション。5つの事件の殆んどは犯人逮捕により既に解決をみた事件と思われているが、本当の意味では解決していない。このノンフィクションにより真相は明らかにされたのだろうか…

    新たな視点で事件に迫る試みは認めるものの、結局は真相には全く辿り着いていないという点に失望。

    『住友銀行名古屋支店長射殺事件』。利潤至上主義の銀行と金に群がる暴力団と右翼団体の爛れた構図、イトマン事件との関連。犯人は捕まるものの、替え玉との見方もあるようだ。そして、犯人が獄中死したことから真相は闇の中に、銀行の多額損失に税金を投入という不条理。

    『八王子スーパー強盗殺人事件』。冒頭から驚愕の描写。謎の多いナンペイ大和田店の強盗殺人事件の黒幕に目星が付いていたとは。しかし、読み進めば、殺害された店員、店長の素行や、ナンペイを狙う暴力団に絡み、事件の背景が膨らむばかりで、真相は闇の中に…

    『豊田商事会長殺害事件』。殺害直後の被害者の映像がテレビで放映されるなど、衝撃的な事件だった。犯人逮捕で決着したかに見えた事件の闇は深い。豊田商事に関わっていた暴力団、政治家の存在と豊田商事の残党による新たな詐欺。実行犯を操っていた黒幕の正体は…

    『ライブドア「懐刀」怪死事件』。現代の錬金術とも言うべき手口で莫大な資金を集めた企業の背後にはやはり暴力団の影が…

    『神戸児童連続殺傷事件』。猟奇的残虐な殺人事件の犯人が14歳の中学生だったという衝撃。14歳という年齢に加え、精神鑑定という鑑定者の匙加減でどちらにも転び得る非科学的な手法により加害者が守られるという理不尽さ。その犯人が少年院を退院し、我々が彼の姿を知らぬままに、大手を振って日常生活を送っているという恐怖。

  • うん、いつもの一橋ストーリーと思いながら読めばOK。

  • 中途半端

  • タイトルは「未解決-封印された五つの捜査報告」ですが、中には犯人は既に捕まったが背景が不鮮明な事件も含まれます。
    一橋文哉さんの事件ルポは好きで過去も読んでいました。
    「三億円事件」「グリコ森永事件」「赤報隊(朝日新聞襲撃)事件」など
    上記はそれぞれの事件に関して1冊の本になっていますが、今回は短めのルポルタージュが5つ納まった作品。
    ・住友銀行名古屋支店長射殺事件
    ・八王子スーパー強盗事件
    ・ライブドア幹部の怪死事件
    ・豊田商事会長殺害事件
    ・神戸児童連続殺傷事件(酒鬼薔薇事件)
    最後の事件以外は各事件と裏社会とのつながりを筆者が取材によって解きほぐす。
    最後の事件は犯人の少年(当時)の事件発生までの行動や取り調べ時からその後に至るまでの取材を通して少年法のこの処遇の是非を問うている。
    どの事件もニュース報道等でしか知りませんが、背景を知るとまた興味深いものです。

  • 住友銀行名古屋支店長射殺事件、八王子スーパー強盗殺人事件、豊田商事会長惨殺事件、ライブドア懐刀怪死事件、神戸連続児童殺傷事件の5つについて、いろんなとこで書いたのを一つにしたもの。最後の神戸を除き、全部に結局はヤクザが絡んでいるような。まぁ金がらみはそんなもんなのかな。豊田商事については知らなかったので、興味深かった。全ての詐欺はここから始まる、的な。

  • 裏(闇)の社会は怖い、事件には複雑な裏がある、
    を延々と書き連ねて「で、結論は?」
    『桶川ストーカー殺人事件』(清水潔氏)を読んだ後なので
    取材が捜査を超えて真実を暴いたではなく
    複雑に入り組んだ像を俯瞰して混乱させるだけに見えて
    散漫な印象を受けた。

  • 赤い背表紙が目を引くのか、題名がそうなのか、著者の文庫本はたいがい読んだが、今回の著書はこれまでのときめきは無かった。未解決に対する、特に闇の世界に対する諦念のようなものを感じた。13.12.24

  • いろいろ興味深いことが書かれていて、面白かった半面、秘密書類がそんなに簡単に手にはいるかね?と思ってしまった。

  • 闇社会、というものがあって、そこに関わってしまうとえらいことになるらしい。こわい。

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著者プロフィール

東京都生まれ。早稲田大学卒業後、全国紙・雑誌記者を経てフリージャーナリスト。本名など身元に関する個人情報はすべて非公開。1995年、「ドキュメント『かい人21面相』の正体」でデビュー。グリコ・森永事件、三億円強奪事件、宮崎勤事件、オウム真理教事件など殺人・未解決事件や、闇社会がからんだ経済犯罪をテーマにしたノンフィクション作品を次々と発表している。近著に『餃子の王将社長射殺事件』『人を、殺してみたかった 名古屋大学女子学生・殺人事件の真相』(KADOKAWA)など。

「2020年 『政界ヤクザ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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