香乱記〈4〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101444345

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  • 田横。

    秦末の人。戦国時代の斉王の一族。楚と漢が天下を争った時期に斉の支配者となった。

    田横の人柄は
    「漢王と自分は共に王であったのに、彼に仕えるというのは大変恥ずかしい。またいくら天子の命令があるとはいえ、煮殺した相手の弟と肩を並べるというのは恥じ入らずにはいられない。私はそれに耐えられないだろう。そもそも漢王が自分を招くのは、私の顔を一度見ておこうということに過ぎない。いま自分の首を斬っても、ここからなら洛陽まで容貌がわからなくなるほど腐敗することはないだろうから、私の顔を見せるには十分だろう」
    からもわかる通り、義の人だったのかもしれない。

    項羽、劉邦の楚漢戦争の切り口を大胆にかえて、第三者からの楚漢戦争を語った今作。

    全体的におもしろく、あっという間であった。

    1巻、2巻は田氏の内容がスピードよく書かれて、これぞ、主人公!という感じではあったが、後半になるにつれ、項羽、劉邦の話が多くなったのが、少し残念。

    宮城谷氏の作品をさらに読みたいと思わせてくれる作品でした。

  • 全4巻

  • 韓信の騙し討ちをはじめとした漢の譎詐は、斉の視点から見ると、項羽の暴虐にも増して淀みを感じさせる。楚漢戦争を第三の国・斉の側から書くことで、地理的に隔てたところから見るというだけでなく、人々のあり方を歴史の高みから捉え直すという構造になっているのが面白い。
    劉邦は、本質を見抜く目は持っているものの、あくまで偽善のひととして描かれており、その対極にある田横の清々しさが際立って感じられる。史書にもあらわれる田横とその客たちの最後は、悲しく壮絶ながらもやはり美しい。

  • 田横みたいな人がいたんだなあ。劉邦は今までのイメージが全く変わった。宮城谷さんの博覧強記が冴える

  • 劉邦が横山光輝版「項羽と劉邦」のときとだいぶ違って悪いイメージ。結局最後まで登場人物(特に田○)の名前がいまいち把握できず。

  • 文庫全四冊の最終巻。楚と漢の二大勢力のぶつかり合いに、中国全土が巻き込まれていく。それを斉の田横が見るという形が、今までに無い楚漢戦争の姿を描く。素晴らしかったです。

  • 戦争はビジネスではない。殺し合いだ。最前線の情報は報告を通して情報量が限定される。一を見て十を知る洞察力が将軍に求められるのは当然である。孫子は戦争の奥深さを知り抜いていたのだろう。作戦は飽くまでも机上のものだ。
    http://sessendo.blogspot.jp/2016/01/blog-post_61.html

  • 秦の始皇帝の時代。秦の悪政下において各地で反乱の火ぶたが切られていき、楚漢戦争が勃発、帝国秦が終焉していくまでの話。各国の将軍たちが登場するなか、主人公は斉の田横。前半は田横の様子がよく描かれていたが、後半は楚の項羽と劉邦や秦の章邯が多く登場し、田横の話というより猛将たちの話という感じだった。立場は違えどどの人物も志高く、熱いなと感じた。

  • 途中から一気に進みました。3巻あたりで挫折しそうでしたが、最後は感涙ものでした。

  • 410144434x 308p 2006・5・1

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著者プロフィール

宮城谷昌光
1945(昭和20)年、愛知県蒲郡市生れ。早稲田大学文学部卒業。出版社勤務のかたわら立原正秋に師事し、創作を始める。91(平成3)年『天空の舟』で新田次郎文学賞、『夏姫春秋』で直木賞を受賞。94年、『重耳』で芸術選奨文部大臣賞、2000年、第三回司馬遼太郎賞、01年『子産』で吉川英治文学賞、04年菊池寛賞を受賞。同年『宮城谷昌光全集』全21巻(文藝春秋)が完結した。他の著書に『奇貨居くべし』『三国志』『草原の風』『劉邦』『呉越春秋 湖底の城』など多数。

「2022年 『馬上の星 小説・馬援伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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