やなりいなり しゃばけシリーズ 10 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101461304

感想・レビュー・書評

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  •  久々に読んだ、しゃばけシリーズ第10作。前作『ゆんでめて』、前々作『ころころろ』は、全編を通した仕掛けが施されていたが、通常のフォーマットに戻っただろうか。

     「こいしくて」。ただでさえ病弱な一太郎なのに、長崎屋がある通町界隈には厄病神が溢れる。その原因とは…おいおい。知られざる江戸の防衛システム。神様も人間と同じということですか。後始末をどうするのか、気になる。

     「やなりいなり」。長崎屋の離れに現れた奇妙な霊。一方、日限の親分はある事件を追っていた。最後にどう繋がるかや、霊の正体など、意外性があって面白い1編。あまりにも相手が悪かったねえ。そして、「彼」の運命は。

     「からかみなり」。一太郎の父、藤兵衛が長崎屋に帰らない。事件に巻き込まれたのか? しかし、佐助や仁吉は一太郎を外に出してくれない。しかたなく離れで推理する…という、安楽椅子探偵的な1編。前にもこんなパターンがあったような。

     「長崎屋のたまご」。空から降ってきた謎の玉子。鳴家(やなり)たちがいたずらして、玉子はどこかへ行ってしまった。深刻な事態の割には、ドタバタ劇のような乗りで、楽しい1編。それにしても、100人(?)もいるとは。どんな姿形なのだろう。

     「あましょう」。外出もままならない一太郎が、久々に栄吉と話したいと懇願する。ところが、行ってみると店先では男2人が揉めている…。一太郎が首突っ込む理由はないだろうという突っ込みはさておき、男ってやつは…。最後の真相に驚く。

     シリーズ第10作ともなると、かなり安定期に入った感があるかな。各編冒頭に、江戸時代のレシピが掲載されているのが、目新しいといえば目新しいが、料理をネタにした話は過去にもあったはずで、さほどレシピに意味がないような…。

     固定ファンにはこのままでいいのかもしれないが、畠中恵さんは、この物語にどう区切りをつけるのだろう。一太郎はいつまで経っても病弱なままで、長崎屋を継ぐことはあるまい。熱心なファンではない僕だが、読み進めるほど一太郎の将来が気になる。

  • 七福神がひょっこりと顔を出す短編が。
    有名どころの神様が
    あまり登場しなかっただけに、
    今後、ひょっとしたら長編か何かで
    有名な神様が若だんなをドタバタ劇に
    巻き込むきっかけをつくるのでは?と
    ワクワクしつつ…
    若だんなも栄吉も安定のだめっぷり。

  • 久し振りに「しゃばけ」。元々特徴のある文体で、このシリーズに関してはそれが心地よかったのだが、どうも今回は読みづらかった。書き方が変化したのか、読み手であるこちらのせいかは分からない。
    料理のレシピは面白いが、あんまり興味ないので飛ばした(本編に関わりないし)。
    短編集なのだが、どれも後ちょっと、という感じ。うーん。期待度高すぎた?

  • ホント、ようやく久しぶりに本が読めた…。で、選んだのは大好きな「しゃばけ」シリーズの文庫最新刊。

    心が温かくなりつつもちょっと切ない、お江戸ファンタジーの世界。今回も楽しませて頂きました。

    個人的な話で恐縮ですが、私が仕事で忙しくしていた間にいつの間にやら息子(小5)も「しゃばけ」にはまったようで、私の本棚から勝手に持って行っているようです。父さん大事にしてんだから、ちゃんと返せよ(笑)!

  • 今回はレシピ本(江戸料理)を兼ねるという新趣向。
    でもでも、「弱い」っていうことを知っているという誰も触れられないほどの「強さ」を持つ若旦那は病弱ながらも健在です。
    でも、成長してるんですよね、女性の美しさに魅かれたり、友達との距離に右往左往したり・・・。
    いつのまにか仁吉や佐助その他の妖面々のように若旦那にはずっとずっと今のように居て欲しいと願っています。

  • 「しゃばけ」から、シリーズ10作目になるんですねぇ。
    「しゃばけ」の時から、文庫本でずーっと読んでます。
    最近は読み始めると、なんだか懐かしい友達の家に
    遊びに行ったような気持ちになります。

  • しゃばけシリーズ10冊目の文庫。たぶんこのシリーズは長編と短編集が交互にきてたと思うので、今回は短編集。基本的には楽しく読めたんですが、今回ネタが「かぶってる」と思う作品が1冊の中に複数あって、そこはちょっと微妙だったかな。天から何かが落ちてくる「からかみなり」と「長崎屋のたまご」が続いたり、「やなりいなり」と「あましょう」のオチ(生霊)がかぶってたり・・・。

    あといつもハッピーエンドで終わるわけじゃないよという短編がたまに紛れているのは個人的に好きなんですが、今回「こいしくて」もスッキリせず、「あましょう」もスッキリせず、だったので、なんだか単に似たような終わり方・・・という印象になってしまったのが残念。

    まああまり深く考えず、鳴家かわいい、仁吉さんかっこいい、とミーハー気分でお気楽に読む分には良い息抜きになりました。

  • 幽霊や生霊でも、体に触れることができるものがいたり、物に触れることができないものがいたり。各章冒頭にレシピ有、巻末も食べ物のことだった――

    ■こいしくて…疫病神達、橋姫と時花(はやり)神
    ■やなりいなり…護符を貼られたらいなりをつかめる幽霊、猪吉と小よし
    ■からかみなり…藤兵衛行方不明
    ■長崎屋のたまご…三十魅と百魅(ひゃくみ)の兄弟げんか
    ■あましょう…新六と五一の友情。栄吉のお店での事件

  • 簡単にまとめると
    京橋の橋姫が恋をすることで通町が大混乱に。
    落語の粗忽長屋が本当に。
    長崎屋の旦那、藤兵衛が三日も帰ってこない。若旦那はなんでかと考える。
    空から青い綺麗な玉が落ちてきた。鳴家たちが触って長崎屋の外へ飛んで行って大騒ぎ。
    親友とその元許嫁の妹、そして自らの許嫁とその持参金で大騒ぎに。
    といった五つのお話し。
    なんか説得力がないというか切れがない感じ、それでも粗忽長屋もどきが良かったかな。

  • あましょう
    友というものは本当に素晴らしい

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著者プロフィール

高知県生まれ。名古屋造形芸術短期大学卒。2001年『しゃばけ』で第13回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞を受賞し、小説家デビュー。「しゃばけ」シリーズは、新しい妖怪時代小説として読者の支持を受け、一大人気シリーズに。16年、同シリーズで第1回吉川英治文庫賞を受賞。他に『つくもがみ笑います』『かわたれどき』『てんげんつう』『わが殿』などがある。

「2023年 『あしたの華姫』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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