武王の門(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
4.03
  • (51)
  • (36)
  • (43)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 449
感想 : 35
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101464053

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 時は南北朝のころ。後醍醐天皇の子、懐良が九州の征討に出る。やがて九州を平定しつつも、彼は京の北朝に戦いを挑むのではなく、九州で新しい国家を成そうとする。高麗や明との関係を築きながらの新しい国家という壮大なビジョンを持って。
    登場人物は知らない人ばかりなので、最初は読むのに苦労したが、いつのまにか、懐良と部下たちの夢に引き込まれた。
    北方謙三、ハードボイルド歴史ものの初作。

  • [評価]
    ★★★★★ 星5つ

    [感想]
    下巻は九州における一大勢力となった懐良親王が九州を独立させようとする壮大な計画だと感じた。
    九州は京から遠い上に大陸や半島とも接しているという事が独立心を育てる要因だったのかもしれないが、一方で大陸や半島から侵略を受ける可能性についてを触れられているのは印象に残っている。

  • 北方歴史ものワールド全開。南北朝時代ってあまり知らなかったけど、複雑すぎ。、

  • 牧宮懷良、征西将軍宮の生涯。

  • <流>

    20年程前に気が付いたら,発行が始まったばかりの北方『水滸伝』を読み始めていた。

    その後もずっと北方の新刊を追いかけて読んだ。

    ハードボイルド作家だということは知っていたが,読んだ本のほとんどは中国大陸物。

    今ももちろん『チンギス紀』の新刊を楽しみにしている。

    カンケー無いが,日本の山陽+山陰地方を,いまだに「中国」と呼ぶのはなぜだ? やめた方が良いと思う。

    『中国新聞』とか『中国電力』などの企業がもしあるのなら,この際速やかに社名変更をするべきであろう。

    嫌味ではない。

    紛らわしことこの上ないからだ。

  • 征西府、懷良親王と菊池武光の絶頂期と衰退までが描かれる。九州を一つの国に、武士たちの土地や家に属する意識をなくし、征西府を頂上に十万の軍勢で九州を守る、恩賞はすべて金銭で払う、という中央集権的国家の理想は、武士たちの現実の前に遅々として進まず、体制がかたまり切る前に、今川了俊の登場。老獪な、九州の勢力に少しずつくいこんでいき、満を持して決戦に持ち込むやり方に、征西府側は、一戦で決着をつけるため、挟撃しようとする今川了俊方の勢力を一つにまとめさせる戦略、乾坤一擲、あと一撃で撃破というところで、菊池武光が戦場で発作が起き急死というドラマチックな描き方。その後の征西府は後退に次ぐ後退を重ね、懷良は死を静かに迎える...と。理想はヒロイック、展開はドラマチック、終幕は悲劇的に描かれ、小説としては一つの美しい形に。たとえ、史実と比して、出さぬと描かれていた上洛の兵は一度出すものの、長門で惨敗したこと、今川了俊との対戦も、決戦場までは征西府の戦略で五分だったと描かれるが、実際は敗戦に次ぐ敗戦後の決戦であり、また、菊池武光も陣中で華々しく散ったのではなく、今川の攻勢に抗しきれず懷良親王とともに太宰府を撤退し、しばらくしてから亡くなっていたとしても。

  • 菊池武光と兼良親王との関係が面白かった。それを支える武将、女性も浪漫があっていい。敵将もまたいい。戦国時代ではない、建武の新政あたりの時代なので、城や砦がイメージし辛いのだが、それは私の不勉強か。

  • 時は14世紀の南北朝期、劣勢の南朝の拠点作りのために幼少にして九州へ遣わされ在地の敵対勢力に対峙する後醍醐天皇の皇子懐良親王と、親王を武力で援けて南朝の勢力拡大に貢献する菊池武光が、本作で並び立つ2人の主人公。

    ネットで確認できる情報からは懐良親王の実際の人となりはあまり見えてこないが、武勇で卓抜した人物であったことは間違いない菊池武光と信頼関係を長年維持して九州一円の支配を実現した結果から推し量れば、懐良親王がリーダーとしての器量と共に武士に認められるだけの武略も併せ持っていたことは想像できる。

    そして大陸と半島に面する九州であればこそ、親王の目は必ずしも狭い京での南北の争いには向けられず・・・

    残念ながら九州の南朝はほどなく潰えてしまったようだが、本作は懐良親王の夢にまつわるロマン(妄想)を如何なく掻き立ててくれる。日本史の話題に上ることの少ないこの主人公2人に脚光を当てた着想が素晴らしい。

  • 歴史は決まっているから、菊地武光の最期の場面は、しょうがないとはいえ、戦い抜けなかったものかと。
    九州を拠点に朝鮮、中国まで広がる国。夢があっていいですね。

  • 上巻の中盤までは、人物や地理、背景を追うのに懸命で、ななか入っていけませんでしたが、上巻後半から下巻は、ぐいぐい話しに引き込まれました。
    大きな夢を抱く懐良親王、その夢にかける菊池武光。
    他、月王丸や今川了俊なども、皆それぞれ魅力がありました。
    ラストは本当に切なかったですが、熱い夢を共に見させて貰った気持ちです。

全35件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

北方謙三

一九四七年、佐賀県唐津市に生まれる。七三年、中央大学法学部を卒業。八一年、ハードボイルド小説『弔鐘はるかなり』で注目を集め、八三年『眠りなき夜』で吉川英治文学新人賞、八五年『渇きの街』で日本推理作家協会賞を受賞。八九年『武王の門』で歴史小説にも進出、九一年に『破軍の星』で柴田錬三郎賞、二〇〇四年に『楊家将』で吉川英治文学賞など数々の受賞を誇る。一三年に紫綬褒章受章、一六年に「大水滸伝」シリーズ(全五十一巻)で菊池寛賞を受賞した。二〇年、旭日小綬章受章。『悪党の裔』『道誉なり』『絶海にあらず』『魂の沃野』など著書多数。

「2022年 『楠木正成(下) 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北方謙三の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
北方 謙三
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×