天皇ごっこ (新潮文庫 み 27-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (419ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101473222

作品紹介・あらすじ

これはスゴい、そこまで書くかと右翼が驚き、左翼も呆れた前代未聞の「天皇小説」。天皇とは、日本人にとってどんな存在なのか。われわれはなぜ、これほど天皇にこだわるのか。監獄、右翼左翼、精神科病院、北朝鮮と、さまざまな「非日常」のフィルターを通して見てみたら-。獄中で執筆され、獄中で新日本文学賞を受賞したデビュー作にして超問題作、大幅加筆を経て、文庫版で復活。

感想・レビュー・書評

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  • 天皇は日本国の象徴であり…。
    左も右も行きつく先は天皇なのか。
    北朝鮮に右翼的な理想の天皇制を見るのは皮肉である。

  • 北朝鮮を訪問し、その統制され娯楽のない、革命の成功形態に恍惚感を抱きながらも、民衆を自分に置き換え、やはり、日本は良いな、と一言。

    見沢知廉は、左に寄ったり右に寄ったり、イデオロギーをファッションのように纏い、暴力革命やテロルが醸すハレの雰囲気に酩酊し、集団への帰属感、指揮命令を統制する全能感に酔う只の寂しがり屋ではないか。

    国体の本義は、国民が持つ。しかし、外国人が日本国籍を取得し、その比率が変われば、日本は今とは異なる国になる。それならば、国民が支配的に国家を定義するのではなく、文化や言語、思想がそれを支えるのだろう。そもそも国家とは物理的領土に既定された集合体の共通概念である。民主制において、マス操作の下、一人一票で、支配者が変わるのは、国体護持においては極めて危険である。つまり、万世一系のシンボルとしての天皇が無くてはならない。天皇を象徴として拝すことで、初めて我々は日本国民である事を自覚し得るのである。

  • 面白いか面白くないかで言ったら面白いと思う。
    成田闘争の所しか覚えてないけど、のほほんと生きてきた私には結構衝撃だったです。

    大学の授業で読まされました。

  • 日本人のこだわり、天皇。

    学生の頃、電車でキレイなお姉さんが読んでいるのを発見。変なタイトルが印象的で、電車を降りて本屋に直行しました。
    ブックカバーをつけずに公衆の面前で読む本じゃないと思う。

  • ごっこか…。そうか…。

  • ここまで「天皇」に対するこだわりで書かれた小説も珍しい。右も左も、結局は「天皇」へと収斂していくのか。

  • 政治行動の官能性、政治思想の官能性について書かれた貴重な作品だと思います。闘争の中で天皇批判をするアジテーターに熱狂する左翼諸派を見て「ディスコよりすごいぜ」というシーンは象徴的です。この作品、この作者故見沢氏はもっと注目されてしかるべきです。

  • あやや、こっちを先に読んでから囚人狂時代を読めば良かった…失敗。別な話で主人公の名前が同じだったりして混乱する。まぁ本人も刑務所の中だったから普通の精神状態ではなかったのかも。

  • 左翼右翼と精神病と、盛り込みまくってお祭り騒ぎなお話しでございました。

    なーんだ、お札の肖像の方々も心の病気だったのねぇ。そう聞くと精神病んでる

    方々は、ちょっとホっとしないでしょうかねぇ。あたくしは、ホっとしました。

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著者プロフィール

1959年、東京都文京区生まれ。高校在学中に共産主義者同盟戦旗派に加盟、1978年の三里塚闘争で成田空港占拠闘争に参加。中央大学法学部2部除籍中退。1980年より新右翼活動に入り、1982年、新右翼の一水会・統一戦線義勇軍書記長に就任。日本IBM、英国大使館等への火炎ゲリラ活動を行い、同年秋、スパイ粛清事件で逮捕。懲役12年の判決を受け、千葉刑務所などで1994年12月まで服役。1995年、獄中で執筆した『天皇ごっこ』を発表し、第25回新日本文学賞の佳作。

「2011年 『背徳の方程式 MとSの磁力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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