- Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101800950
作品紹介・あらすじ
いいでしょう。その悩み僕が食べてあげましょう。坂口麻美は悪夢を見ていた。怪物に追われ、殺されかける夢だ。使えない後輩に、人を馬鹿にする同僚、図々しい肉親。不愉快なものに囲まれる日常に疲れすぎているせいだろうか? 「いいえ。それはあなたの罪です」突如現れた美貌の青年・浪崎碧はそう告げた。――時に人を追い詰めてまで心の闇を暴き解決する”カカノムモノ”とは何者か。全く新しい癒やしと救済の物語、ここに誕生。
感想・レビュー・書評
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人の身体の中の「穢れ」が成長して「大禍津日神」となったものを狩り、丸呑み(カカノム)する事で、太古の昔に負った海の女神の呪いをなだめて生きてきた神魚の末裔、碧。
定期的に大禍津日神を呑まなければ、呪いの印である右肩のあざが拡がり、やがて魚に変じてしまうという。
碧に大禍津日神を呑まれた人は、穢れにまつわる記憶も奪われてしまうのだが…
図書館で、たまたま表紙のイラストが目について貸し出した本。
浅葉なつさん、初読。
宿命を負った美青年が穢れを祓う連作短編。
碧の美形っぷりも、人のドロドロが凝り固まったモノを祓うというミッション(?)も、昔々読んだコミックス『八雲立つ』を思わせる。
相棒のタイプが全然違うのと、碧がとことん孤独なのが、作品の色合いを変えているポイントか。
そんなわけで、文庫本の裏表紙にあったような「まったく新しい癒やし」という感じはそれほどしないけれど、文章も読みやすく、軽すぎず冗長すぎず、面白かった。
この先、碧が呪いから解き放たれる時が来るのかどうかをメインに、相棒のフリーカメラマン桐島の過去のことが明かされていく物語になるのかな。
3巻で完結なら、予想が当たるのか、予想以上に楽しませてもらえるのか、読んでみよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
呪われた魚の末裔である美貌の碧青年が人である為に友人と共に動き加加呑む。人との関わりの中で積み重なる苦い思いの疲れはリアルだけれどさらりとして負担にならない。彼らの穢れた心の闇である大禍津日神を暴き奪う事は救いに見えてでも奪われた人達はそれを忘れてしまうから成長がないというほの暗さ。ほのかな湿り気。
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人の嫉み嫉み憎悪
それはやがて大きくなってその人を飲み込んでしまう
それを祓って飲むのがカカノムモノ
一話目は微妙だなと思いましたが,二話目からは面白くなってどんどん読み進められました。
ライバルって大事です -
がっつり次へ続く終わり方。神様の御用人が好きなので読んでみたけど、あちらよりも雰囲気は暗い。そしてツラい。
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人の悩みが蓄積すると悪魔のような神?になり、それを食べることで祓う役割を持つ一族の話。
いろいろと因縁がありそうでまだ序盤のような感じですが、基本的に負の感情がテーマなので暗いトーンが好きになれないです。 -
彼の近くにいるものは、彼を拒否したもの。
自分を拒否したものだけが、自分の近くにいてくれる。
自分の存在を知った上で。
それは自分を受け入れなかったものであり、受け入れてくれたものでもある。
生きるためには何かを犠牲にせざるを得ないのは、彼に限らないのだけど、彼はそのために自分から犠牲を作りに行かなきゃならないこともあるというのがとてもつらいな。
それは彼が手を加えなくとも、いつか表に出てきたものなのだろうけど。 -
だんだん人間味が出てくる。次巻ではどんな展開が?
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「加加呑厶者」
夢の中で自らの首を絞め者。
彼女自身が心のどこかで実力の差や限界に気付いていたからこそ、たった少しの出来事で全てが崩れ自分との向き合い方を間違えてしまったのかもしれないな。
電話などに気付かなかった彼女も悪いのかもしれないが、大切な会議を誰も知らせてないという方が問題では。
「直毘ノ風」
対立する同じ世界に住む者。
全てが終わった時に空白の時が出来てしまうのがどれだけ人に影響を与えるかは実際分からないが、間違いを学ぶ事が出来ないのは確かな事ではあるな。
彼の様に強い意志を持ち、良くない思いを自力で捩じ伏せる事が出来るのはごく一部だろうな。
「花ヲ喰ラウ」
自らが失った若さを羨む者。
誰だって年月を重ねれば歳を取り昔の様な見た目から変わってしまうだろうが、そんな事を言い出したらキリがないと思うが彼は一生若い子を追い続けるのだろうか。
子供が居なくとも彼女自身が悔い改めなければ、どちらにせよ愛想を尽かされるのは時間の問題だったろうな。
「雨ノ楽園」
過去に彼が幻影を見せた者。
家族や親族の事ばかりで自分自身を見て貰えないのは相当辛いだろうが、彼自身が自分を見て欲しいと訴えた所で何も変わらないのが現実なんだよな。
贔屓するのは勝手だが、友人関係やその他色々と家族でも無いのに口出しするのは彼の役割では無いのでは。