VR浮遊館の謎:探偵AIのリアル・ディープラーニング (新潮文庫 は 72-4)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101802848

感想・レビュー・書評

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  • 人工知能探偵・相以(あい)と助手の輔(たすく)は、世界初のフルダイブ型VRに挑戦する!参加者たちは魔法使いに変身!あらゆるものが浮遊する奇妙な館を舞台に、この魔法をかけた犯人を当てるゲームのクリアを目指す。だが、そのゲームで見るも無残な死体が発見された。それはとある連続殺人鬼の手口にそっくりで──。

    探偵AIシリーズ第四弾!シリーズを重ねるほど面白さが右肩上がりになってる!四元館もこんな館アリかよ!って面白さだったのに、今回はさらにぶっ飛んだ内容でニヤニヤしてしまう。フルダイブVRゲーム機「EGG」に入った先は、文字通りぶっ飛んでいる「あらゆるものが浮遊している館」だった!

    そこではプレイヤー7人+NPCの8人が魔法使い。一人一つ、割り振られた魔法が使えるルール。その8人の誰かが魔法で館をこんな風にした犯人であり、それを推理して犯人当てをして魔法を解除させるのがクリア条件。勝者は最初に当てた一人のみ。輔も相以もここではライバルとして推理を進めていく。使える魔法も互いに明かさない。人狼ゲーム的な側面もあるのも楽しい。

    また、今まではスマホの中で活躍していた相以が身体性を獲得したのも見どころ。最初はまだ合理性の塊で、犯人の意識を失わせれば魔法が解けるのだから「一人ずつ殺していけばいいと思います!」なんて提案をして笑ってしまった。探偵史に残るであろう暴言(笑) 「そして誰もいなくなった」という二つ名を捧げたい。これまでスマホの中で推理してきた相以が、五感を得て自ら手がかりを探すようになる。自由さが増したようで、初めて感じる痛覚や、実態があるがゆえに容疑者扱いされるという不自由も手に入れるのが興味深い。

    そして実際に起こってしまった猟奇連続殺人事件!こんな殺され方は嫌だ選手権があったら入賞間違いなし!逃亡中の殺人鬼がこのゲームに混ざっているのか?!このゲームの中で死んだらどうなってしまうのか?!どちらにせよ、このゲームを終わらせるには推理するしかない!相以の推理や手がかりという星を繋ぎ合わせ、輔が見出した真実とは?!こんな仕掛けで成立するのはこのシリーズならではだなと。ツッコミどころは数あれど、ぶっ飛び具合が期待以上で大好き!

    続きも出せるんだろうけど、これ以上の飛び道具があるのかな。楽しい読書だった!

  • VR世界での謎解きゲーム。
    イメージはベイカー街の亡霊。

    VR世界で且つファンタジー要素も入っている特殊な設定でちょっとイメージしづらかったけど、次々に事が起こるのでテンポはすごく良い。

    ただ、結末がぶっ飛び過ぎていて納得はいかなかった。

    ☆3.4

  • SFミステリというべきかSFファンタジーというべきか。
    とんでも具合は相変わらず。
    それがよさでもあるのかもしれない。

  • 2024/04/09読了

  •  前作から約3年ぶりとなる、『探偵AIのリアル・ディープラーニング』シリーズ第4弾が到着した。今回のメインテーマは、AIというよりVRか。

     探偵のAI「相以(あい)」と助手の輔(たすく)のコンビが、世界初となるフルダイブ型VRに挑む。その性能は、現実世界のVR技術とは比較にならない。VR内の館では、ゲームの参加者を始め、あらゆる物が浮遊していた。

     相以と輔を含む参加者には、それぞれに魔法が割り当てられた。浮遊感の謎を解く推理バトルがスタートする。VR内とはいえ、初めて肉体を得た相以は嬉しそうだが、いきなり物騒な最速クリア法を提案し、おいおいおいおい…。

     VRゲーム内で殺人事件が発生する。これはあくまでVR内の演出なのか、それとも…。VR内での事件という設定は初めて読んだが、前例はあるのかどうか。当然ながら、犯人のAI「以相(いあ)」が裏で手を引いているわけだが。

     奇をてらった設定ながら、現場の痕跡から推理を組み立てるなど、このシリーズにしてはオーソドックスな本格らしさも感じさせる。やがて2人が至った、このVRゲームの真相とは。うーむ、このシリーズならそれくらいでは驚かないというか。

     なるほど、読み流していたあれやこれやは伏線だったわけである。それなりに呆れる壮大な真相ではあるし、十分面白かったのだが、相以VS以相の対決という面では盛り上がりに欠けた感もある。敵ながら、どうしたのさ以相よ?

     毎回抱く、このシリーズにAIという括りは必要か? という疑問だが、VRをメインのテーマにした今回は、相以も以相も生身の人間でも不都合はないような。早坂作品だから、このシリーズだから期待して手に取ったのだけども。

     早坂さん、続編はもう少し早めにお願いいたします。

  • 探偵AIシリーズの第4作目、楽しみにしておりました。今回はVRゲームを舞台に輔と相以が事件に挑んでいきます。

    今作ではゲームの流れで相以は自身の身体を得ます。今まで画面越しでのコミュニケーションが中心だった輔君も、直接触れ合える相以を前にさぞドキドキしたことでしょう(笑)

    また、ゲームが舞台ということで輔と相以はお互いがライバルということになります。そのおかげか、相以の小憎らしくも愛らしい魅力が一層引き立てられていたのではないかと思います。

    お話の内容については、恒例のクライマックスに進むにつれて「えー!」という展開になっていきますが、それはそれでぶっ飛んでいて楽しめました。

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著者プロフィール

早坂 吝(はやさか・やぶさか)
1988年、大阪府生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。
2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。
同作で「ミステリが読みたい! 2015年版」(早川書房)新人賞を受賞。
他の著書に『虹の歯ブラシ 上木(かみき)らいち発散』『RPGスクール』『誰も僕を裁けない』
『探偵AI(アイ)のリアル・ディープラーニング』『メーラーデーモンの戦慄』などがある。




「2019年 『双蛇密室』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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