レベッカ (下) (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 68
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102002049

感想・レビュー・書評

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  • 万華鏡のような作品だった。
    まさか、ころんとひと転がししただけで、これ程までに見えてくる景色が変わるとは。

    下巻の序盤を読んで、いかんこのまま読み進めたら上巻自体の感想が引きずられると思い、途中で上巻の感想をしたためておいたほど。

    ダンヴァーズ夫人のホラーめいた甘言、レベッカの魔性、マキシムの抱えた苦悩。
    上巻まではただの助走。
    ただ、それ自体がとてもよくできたゴシック小説だったので、どこへ連れていかれるのだろうくらいには思ったが、これ程までに揺れの激しい展開が待っているとは思わなかった。

    展開のきっかけとなるのはマンダレーの傍にある入り江に入り込んだ船が座礁したこと。
    それから24時間の間で、マキシムにして「きみはすっかりおとなになった・・・」と言わしめたほど主人公の自我が確立してゆく。
    また、マキシムの本意が垣間見えたこの瞬間はとても印象的で、マキシムに共感し寂しさを覚えた。

    すべてに決着がついた後、上巻の1章~2章を読み返したとき、何も分からず読んだときと比べて寂寥感の深みが増し、プロローグでありエピローグでもあるこの章に唸らされた。

    • 111108さん
      fukayanegiさん、こちらもおじゃまします。

      まさに万華鏡のような作品ですね!内容はもちろんタイトルもプロローグも計算され尽くされて...
      fukayanegiさん、こちらもおじゃまします。

      まさに万華鏡のような作品ですね!内容はもちろんタイトルもプロローグも計算され尽くされてるというか、なんて上手いんだろうと思いました♪
      2024/01/21
    • fukayanegiさん
      111108さん

      コメントありがとうございます!
      111108さんのレビューから、長らく読みたい状態が続いていましたが、やっと読むことがで...
      111108さん

      コメントありがとうございます!
      111108さんのレビューから、長らく読みたい状態が続いていましたが、やっと読むことができました。
      もっとしっとりとした作品を予想いたのですが、途中からすごい展開が待っていて、いい意味で裏切られました。
      とにかく、そこに居ない人がタイトルになっていて、主人公に名前がないという状況を描き切ってしまったのが凄いと思いました。
      2024/01/21
  • 驚きのラスト、これがあの書き出しへとつながるのか。社交下手で空想癖あるヒロインに共感しつつ語りに引き込まれる。緩急の付け方、引きの上手さ、登場人物達の生々しさなど本当に面白かった!訳もとてもいい。あとがきで映画を知ったので観よう。

    • メイさん
      こんにちは、111108さん。
      いつも、いいねありがとうございます。

      私、映画観たことあります。111108さんの(上)のレビューを読んで...
      こんにちは、111108さん。
      いつも、いいねありがとうございます。

      私、映画観たことあります。111108さんの(上)のレビューを読んでなんか知ってるぞと思い、ネットで検索して分かりました。内容を忘れてたりしたのでネタバレとか読んで思い出しました。家政婦がすごい意地悪というのが一番印象に残ってます。ヒッチコックの昔の映画ですが、良かったと思います。内容を忘れていた私が言うのもどうかと思いますが。(^^;)
      2022/11/26
    • 111108さん
      メイさん、こんにちは。
      こちらこそ、いつもいいねありがとうございます♪

      わぁ映画観られたんですね!ヒッチコック!それを知らないなんて無知な...
      メイさん、こんにちは。
      こちらこそ、いつもいいねありがとうございます♪

      わぁ映画観られたんですね!ヒッチコック!それを知らないなんて無知な私‥笑

      訳者あとがきでは、すごく有名だから日本では映画で話を知ってる人の方が多いと書いてありました。でも人物像は原作とかなり違ってるそうです。「意地悪な家政婦」が印象深かったんですね!私もどんな風に描かれてるのか興味津々、映画観たいです♪
      2022/11/26
  • いやー後半明かされるレベッカが癌だったという真相、すっかり忘れていて、ドキドキさせられた。こんなどんでん返しがあるとは。
    レベッカがマキシムに撃たれた時笑った意味、「レベッカ一世一代のジョーク、もっとも上出来のやつ」がわかった時、レベッカの悪女としての魅力が更に輝いた。マキシムはもう、マンダレーとレベッカの呪縛から逃れて生きていくことはできないだろう。

    そして、この物語は、名もなきヒロインが少女から大人になる過程を描いたものでもあったのですね。
    普遍的なテーマに、しっかりと共感もできた。大人になって生きやすくなる代わりに、繊細な感受性や無邪気さ失うということ…マキシムは嘆くけれど、それが育つということなのだと思う。

  • 面白すぎて、ページを捲る手が止まらず下巻はほぼ一日で読み終えてしまった。そして最後の一文を読み終えたあと、すぐに上巻を手に取り、最初の一文「ゆうべ、またマンダレーに行った夢を見た」から読んでしまいました。こんなにも本の世界に没頭して早く続きを知りたくて仕方がないと思ったのは湊かなえの告白を読んだ時以来です。

    レベッカ(と彼女に取り憑かれたダンヴァーズ夫人)は、世界三代悪女では!?
    天使の顔をした美しくて狡猾な悪女ほど怖くて震え上がるものはないです。結局、マンダレーはレベッカにより作り上げられ、そして崩壊させられたのですね。全てはレベッカの思うまま。。。ああ、恐ろしい女だ。

    そして殺人を犯したマキシムが罪に問われない終わり方がとてもいい……!勧善懲悪の物語に慣れているから、途中でああ、マキシム捕まるんだろうなと思ったのに!
    屋敷が燃えるという終わり方が美しすぎる。マキシムと主人公は罪を逃れることはできても、永遠にマンダレーとレベッカの亡霊に付き纏われることになる。

    でも、二人が離れ離れにならなくてよかった。
    メリバ厨の私はめちゃくちゃ好きな話です。


    追記
    読み終わっても、まだ物語の余韻が残っている。主人公のみならず、私までマンダレーに取り憑かれてしまってマンダレーに帰りたくなるので、映画を見ることにします。

  • ヒチコックの映画で有名な「レベッカ」。
    私も映画は昔観たはずなんですが断片的にしか覚えていません。

    へえ、今さら新訳が出て文庫が平積みになるほどの本なのか、というのと、「恩田陸絶賛」という帯に魅かれて購入。

    デュ・モーリアという名前ですが作者はイギリス人で英語の作品。でも、1938年発表ということで、原書は読みにくいかもしれないし、ここは気軽に翻訳で楽しもう、と思って今回は和訳で読みました。

    いや、面白かったです。ページターナーかくあるべし。

    平凡な若い娘が年上の上流階級の男の後妻になる。ヨットの事故で死んだという先妻レベッカは、すべての人に愛された美しく才気あふれる女性だったらしく、主人公はことあるごとにこの先妻の影におびやかされる。夫もレベッカを忘れられないのでは?そんな時、新妻のお披露目をかねて恒例だった仮装パーティーを再開することになり…。

    主人公が一度も(写真さえ)目にすることのない、死んだレベッカの存在感が、簡単には本心を見せないイギリス的な会話とあいまって、ひたひたと恐怖を誘います。

    月並みですが、古さを感じさせない面白さで、特に後半は、これまた常套句ですが「ページをめくる手ももどかしく」って言う言葉が文字通り当てはまる、畳み掛けるようなサスペンスです。
    昔風の予定調和なオチでもないし、でも程よい通俗性というかメロドラマ性があって、誰でも楽しめると思います。

    気持ちとしては☆4つ半。
    サスペンス好きで未読の方がいたらぜひ。下手な新作を読むよりずーっっと面白いですよ。

  • わたしはマキシムが元妻レベッカのことを愛していないと知る。この真実を知っただけで、敵視され殺されかけたダンヴァース夫人に対しよくあんなに堂々とした態度を取れるなと思った。レベッカの呪縛から解放された後のラストシーン、圧巻だった。

  • 大好きな本のひとつ。複雑に花が咲き乱れる美しいお屋敷マンダレーと、怖すぎるファム・ファタール。そんな世界の語り部たる主人公があまりに朴訥としていて、あまりに自分みたいに間が抜けているので、痛々しくなって苦しくなる。それがまたいい。

  • 下巻も面白かったです。結局、主人公の名前出てこなかった…すごい。
    原作は、主人公はちゃんとマキシムと並んで立ってるのが良いな。映画はひたすら守られてる感じの弱々しい若い女性だったので。原作では成長して妻になってる。
    ふたりを執拗に追い回すレベッカの影は、失われたマンダレーを伴って濃くなった気がします。でもウィンター夫妻は離れることは無いだろうな。
    マンダレーが燃えてるっぽい…で終わるラストも良かったです。上巻の冒頭でマンダレーがどうなったかはわかるし、全てを語らなくてもよいです。

  • 死んだ人には敵わない
    …というような話かと思っていたら、下巻で話は急展開に。この展開は読めなかった。
    最後まで「わたし」の名前も何者なのかも詳しくは明かされず。でも心理描写が素晴らしくてまるで自分が「わたし」であるかのような気持ちで読んでいた。
    訳も読みやすく、終始映画を見ているようだった。

  • 読み終わってしまった‥
    もう今はいないレベッカの影にじわじわと追い詰められたような上巻とは逆に、下巻では次々と明らかになる真実にドキドキしっぱなしだった。
    でも読み終わった今、頭に浮かぶのは「わたし」と一緒でマンダレーの美しい庭や、フリスやロバートたち使用人によって儀式の様に繰り返し調えられる日常のことかもしれない。
    この余韻に浸るためにまた読みたい。

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