マクベス (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (162ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102020074

感想・レビュー・書評

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  • 『マクベス』はシェイクスピアが1606年頃に完成させた戯曲です。実在したスコットランド王や将軍を登場させた作品で、王であるダンカンに重用されていた野望に取り憑かれた将軍マクベスが主人公。
    マクベスが王を暗殺し自ら王に即位してからマグダフ、子息マルコムに討たれるまでを描いた作品でシェイクスピアの4大悲劇のなかの最後に書かれた作品。
    4大悲劇の中では一番短い作品たが、当時のスコットランド王ジェームズ一世(話し中の忠臣バンクオーの子孫)への宮中観覧用作品としたので短いと言うのが定説。劇中にもジェームズ国王に媚びたセリフが多いのが特徴と言われる。
    ダンカン王を暗殺し王についたマクベスが劇中ではすぐ遺児マルコムとマクダフにより復讐される(実在は在位17年)。
    魔女からいずれ子孫が国王になると予言されたバンクオーはマクベスにより殺されるが、息子は他国に逃れいずれ国王となる。
    魔女の予言が厚く信じられていた頃のお話しだが、結果的に後々ジェームズ一世王の時代に王位正当性を持たせる為に好まれており、後から作り出したものとも言える。

  • 誰が膝まずいてマルコムの足をなめ、衆愚のやじを浴びるものか。たとえバーナムの森がダンシネインの城に迫ろうと、女から生れぬ貴様を相手にしようと、さあ、これが最後の運試しだ。このとおり頼みの楯も投げすてる、打ってこい、マクダフ、途中で「待て」と弱音を吐いたら地獄落ちだぞ。

    2019/10/17読了
    ……疑心暗鬼に苛まれ、魔女や幻影の預言を当てにしたマクベスが、最後に全てを捨てて身一つで放つ台詞。これぞ悪の美学か?

  • 自業自得のお手本のような悲劇、故に時代を超えても楽しめる一冊した。
    少し台本の様な文章は詳細が省かれているような書き方も相まって、読んでいるのに観劇している気分になれました!
    脳内で勝手に宝塚歌劇団で再生してしまいました!

  • 1606年頃 シェイクスピア四大悲劇の戯曲。

    スコットランドとノルウェイの戦闘。スコットランドの勝利を牽引したマクベス。帰還の途中の荒野で三人の魔女と会う。
    マクベスは、「王になる」
    一緒にいたバンフオーは「子孫が王になる」
    と予言される。
    予言を期待するマクベスと、マクベス以上に王妃の座を求める妻。王を殺害して国王となる。
    強気の奥さんに翻弄されている様でもあります。
    王となっても、復讐に不安は募る。そのため圧政の暴君となり、政治生命は長そうにない。
    魔女に再び予言を求める。
    「女の産み落とした者の中には、はむかう者は居ない」
    「森が進撃してこない限り安泰」
    女から生まれない者は居ないと安心するが、今でいう帝王切開で誕生した者は含まれず。
    森が動くことはないと思い安心するが、木の枝を持ち森に擬態した敵軍が進撃してくる。
    魔女達は、最初に「きれいは穢い、穢いはきれい」と登場する。予言や占いは、言葉の真理や表裏まで読まないといけないのでしょうか。
    マクベスは、自分の立ち位置に気がつくが、もはや後には戻れず戦闘にむかいその首を取られる。

    ロミジュリよりもわかりやすく、その地位に翻弄されていく悲劇が理解しやすい。と、思いました。

    • 土瓶さん
      おびさん流の武者修行。いや、道場荒らしかな。
      (普段選ばない本)たーのーもー!!






      うん。フェルマーよかったね^^
      おびさん流の武者修行。いや、道場荒らしかな。
      (普段選ばない本)たーのーもー!!






      うん。フェルマーよかったね^^
      2023/08/15
    • kuma0504さん
      おびのりさんの「マクベス」感想が読めて興味深かったです。
      魔女の最初の言葉は、様々な翻訳があって、福田さんのはそうなんだ。何度も読んでいるの...
      おびのりさんの「マクベス」感想が読めて興味深かったです。
      魔女の最初の言葉は、様々な翻訳があって、福田さんのはそうなんだ。何度も読んでいるのに、実は第二の予言とリンクさせて読んだことなくて、新たな発見がありました。
      2023/08/17
    • おびのりさん
      Kumaさん、こんにちは。
      そんなに読まれてますか。私は、恥ずかしながら初読だったと思います。記憶に自信がありません。
      ちょうど同時期に「源...
      Kumaさん、こんにちは。
      そんなに読まれてますか。私は、恥ずかしながら初読だったと思います。記憶に自信がありません。
      ちょうど同時期に「源氏物語を知ってますか」を読んでいて、阿刀田さんが宇治十帖の後半部分の浮舟の入水自殺あたりをミステリーの構成だと驚いていました。マクベスも魔女時代に関わらず、それらに頼らないストーリーで謎解き要素があり、魔女の言葉に意味を持たせているのかなと思ったのです。
      私のテキトーなレビューを読み解いていただきありがとうございました。
      2023/08/17
  • 戯曲もシェイクスピアも初めて読んだので楽しめるか不安だったけど、最後までかなり面白く読めた。
    台詞の掛け合いだけで物語が進んでいったり、人物の複雑な心境を現していたり。
    普通の小説にある情景描写や説明的な補足がないのに、場面の想像がつくのがすごい。

    マクベスは最初、王や貴族から信頼あつく、親友にも恵まれた真っ当な家臣と思われたのに、
    三人の魔女やマクベス夫人に唆されて、あっという間に野心と欲望に飲み込まれて、王殺し、家臣殺し、酷い運命に巻き込まれていってしまった。
    展開がものすごくテンポよく、台詞の一言一言がかなり重要なんだなぁと思った。

    ただ、この本の出版が昭和四十四年で、訳者の解題ってところには昭和三十六年と記述があるから、昭和三十年代に訳されたくらいなのだろうか。
    文体が古すぎて現代人にはさすがに読みづらい。
    文学的な価値とか美とか横において、もう少し現代口語的なくだけた文章にしてくれたら、もっとたくさんの人が読んで楽しめると思うのにな~。

  • ロミジュリよりすき

  • 台本?のような感じのため、舞台を思い浮かべながら読んだ。全てを見越しての魔女の予言…。

  • マクベスは妻の言うがままに泥沼にハマっていったのか?
    しかし妻も不安によっておかしくなっていって…
    自分への期待が自分を追い越してしまう感じとか、人間の根本ってこんな感じなのかなと思ったり。

  • 本編はかなり短く、あっさりとした印象。そして福田さん訳は読みやすくて助かります。(解題部分はすこし難解です、、)

    マクベスは魔女からの予言を自己の行いに対する正当化に利用しようとしていて、早々に王を殺してしまった。
    ハムレットは父王が殺されたことに対する復讐心にのみこまれるもののある意味復讐に正当性を持っている一方、マクベスは単なる権力欲しさの簒奪行為にみえ、本来その行為に正当性がない。それは恐らくマクベス自身も分かっていて、だから自信がなく、常に不安。不安ゆえの殺害。
    シェイクスピアの描く人間たちはみんな愚かしくて、ただだからこそ人間らしさというのが存分に出ていますね..........

    以下、解題より引用。

    ─力の弱い者は、一つの悪事を行うのにも、これこそは自分の逃れられぬ宿命であり、絶対不可避のものだという自己催眠を掛けなければ、容易に事を運びえぬのである。したがって、絶えず自己の行為を正当化するために、自分こそは自己本来の歴史を歩んでいるのだという事を己れ自身に納得させようとして、宿命の片影を探し求め、これこそは自分の宿命だった、必然だったと信じて、始めて心の落着きが得られるのだ。

    ─自己破壊への隠れた意思を示している。彼は破滅によってしか安心できない人間なのである。なぜなら、他人に対する彼の不信感の根柢には徹底的な自己不信があるからだ。

  • ゲーテは《シェークスピアは偉大な心理学者であり、彼の作品を読んで、人間の心の動きを学ぶことができるよ》と言っていた。
    シェイクスピアの悲劇の中でも一番暗いと評釈される『マクベス』では、マクベスという作中人物を素材に、殺人へと歩みを起こす亡霊の動きを透徹した深い洞察力によって掘り下げ、生まれ立ての人間に紡がれたような天真の文章によって不揃いな心を人間的だと思わされ、一層感興が湧いて来た。この書物は感じたかったわたしと巡り合わせ、作者と、過去のわたしと、未来より来たるわたしが現在を分かち合う場所を提供してくれた。

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著者プロフィール

1564-1616。イギリスの劇作家・詩人。悲劇喜劇史劇をふくむ36編の脚本と154編からなる14行詩(ソネット)を書いた。その作品の言語的豊かさ、演劇的世界観・人間像は現代においてもなお、魅力を放ち続けている。

「2019年 『ヘンリー五世 シェイクスピア全集30巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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