オリバー・ツイスト〈下〉 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102030066

感想・レビュー・書評

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  • あまりにも不幸すぎるオリバーが可哀想になるが、そんなオリバーの心が曇りひとつなく綺麗すぎてこちらの心も浄化されたように思う。確かにオリバーの人生はついてなさすぎるし、かといって偶然とは思えないほどの幸運の展開に少しツッコミをいれたくなることもあるが、著者の伝えたいであろう、その当時の英国の荒んだ環境、そんな中に光を灯す少年の姿は小説にしか表現できない本当に素晴らしいものがあった。

  • サラ・ウォーターズの『荊の城』を読んだら『オリバー・ツイスト』も読みたくなる。

    なぜなら姉弟のような関係といおうか、イギリスの文豪ディケンズの作品をイギリスの現代の女流作家が魔術的な筆致で追っているといおうか。

    しかも『荊の城』の冒頭の雰囲気が『オリバー・ツイスト』を読まなければわからない。

    かくて、相乗効果にておもしろさがいや増したのである。

    何が?ってそりゃ、

    ビル・サイクス(『オリバー・ツイスト』)=リチャード・リヴァース(『荊の城』)の比較と、

    19世紀イギリスの貧民街的な雰囲気、ものすごさ、すさまじさの描写の巧み。

    もちろん似て非なる作品たちではあるのだが。

    もうひとつ。

    ディケンズ描く『オリバー・ツイスト』に登場する救貧院関係の仕事をする教区吏のバンブル氏の行状、ああ、この日本の現代にも登場する小役人の新聞種と同じ(ねこばば)、尽きる事はありませぬなー。

    やはりディケンズはすごい。

    ディケンズはまめに『クリスマス・カロル』『二都物語』『デイヴィッド・コパーフィールド』『大いなる遺産』と読んでいて、これだけが残っていたというのも偶然、わたしにとってはことさら印象深くよかった。

  • 途中から、オリバーがほとんど出てこなくなるという(笑)
    オリバーの周りの大人たちが大活躍をするというwww
    上巻のレビューにも書いたけれど、オリバーが自発的に奮闘したのは葬儀屋を抜け出したときくらいで、後は運命に流されてしまう。
    その姿は、受動的に見えて、善良ではあるが頼りない。
    個人的に欲を言うと、オリバーは、良い子過ぎて弱すぎて、少し面白みがないのだ。
    ストーリーには、偶然が頻発して、都合よいなあと感じることもあった。
    それは、ディケンズの優しさや生真面目さの表れなのかもしれない。
    全ての登場人物にそれなりの結末を与えなくては、という意識を感じる。
    そこまでしなくてもいいのに、いや、そこまでしないほうが面白いのに。と、つい思ってしまう。

    なんだか酷評になってきたけれど、悪人たちの個性は豊かだったし、面白かった。

  • 62

  • オリバーツイストという題にしては、特に下巻はオリバーの存在は薄い気がする。それから幸せになった後のオリバーがもうちょっと知りたい。

  • お話後の中野さんの解説がおもしろかった。ディケンズの育った時代背景とか。お話は結構推理小説みたいでワクワク感があった。句読点、特に読点がたくさんあって私には読みづらかったけど。

  • ディケンズ読んでる自分、カッコイイ。 そう思うことで2倍楽しい。

  • 面白い!最初はとっつきにくかったが、どんどんストーリーに引き込まれる。ご都合主義の強引な展開も色々な意味で楽しめたし、風刺の効いた文体も気に入った。訳も絶妙だ。
    15年前Canterburyに滞在していた時から読みたいと思いつつ、何とはなしに先延ばしにしていたが、こんなintriguingな物語だとは思わなかった。

  • 名著

  • 【あいつむぎ2013年10月陳列】2013.10.15 推薦者:くらら(http://ayatsumugi.blog52.fc2.com/blog-entry-328.html

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著者プロフィール

Charles Dickens 1812-70
イギリスの国民的作家。24歳のときに書いた最初の長編小説『ピクウィック・クラブ』が大成功を収め、一躍流行作家になる。月刊分冊または月刊誌・週刊誌への連載で15編の長編小説を執筆する傍ら、雑誌の経営・編集、慈善事業への参加、アマチュア演劇の上演、自作の公開朗読など多面的・精力的に活動した。代表作に『オリヴァー・トゥイスト』、『クリスマス・キャロル』、『デイヴィッド・コパフィールド』、『荒涼館』、『二都物語』、『大いなる遺産』など。

「2019年 『ドクター・マリゴールド 朗読小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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