風と共に去りぬ (1) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (445ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102091012

感想・レビュー・書評

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  • スカーレットの自身の美貌に対する自惚れっぷりが凄い。本書は少しシドニーシェルダン氏を思わせるような、向かう所敵なしの女性が主役のお話である。服装に関する描写が細やかで、愛しさを感じるほど丁寧に表現されている。また、レット・バトラー氏の格好良さがたまらん。高身長で体つきもよく、垢抜けた服装に包まれ、セクシーな髭を持つ30代の男性。一番美味しい年頃ではないか。そんなバトラー氏から好印象を持たれているスカーレットの反応がいちいち可愛いのだ。本書は会話文が多く、文字がぎっしり並んでおり、なかなか読むスピードが出なかった。読み終えることが出来るのかずっと不安だったが、1巻を読み終えてみると、短いような、長いようなドラマを見ていたようで、妙に充実感がある。次巻も非常に楽しみである。

  • これは大学生の頃、友人に借りて読んだもの。
    全5冊ですごく長いんですが、はまってしまってすぐ読めました。
    映画もまた超長い、、。

    スカーレットのことを悪女だと揶揄する声を聞くことがあるけど、
    どこが?と思います
    まぁ私はスカーレットみたいに強かにはなれないのだけど
    悪女とは全然違って、守りたかったものを、守り抜くってだけのことだと思います

    確かに誰かを利用したかもしれないし、傷つけたかもしれないし、
    横柄だったかもしれない。
    でもそれって、多かれ少なかれ誰だってそうでしょうって、思います

    信じて待つことはメラニーが教えてくれました。

  • 「風と共に去りぬ」という題名なら、文学を普段読まない人間でも聞いたことはあるだろう。私も文学を読み始める前からも名前は知っていたが、分量が多いこともあり、今まで読まずにいた。それから岩波文庫版が出たことをきっかけに、文学・哲学の世界に入って9年近く経ってから読み始め、そして三週間かけて読み終えた。

     結論から言えば私はこの本を読んで、いい読書体験になったと感じている。古典の本を相応に読んできたと私は自負しているのだが、中にはなぜ歴史の淘汰を生き残ってきたのかという疑問を抱く作品、つまりは何らかの才能が感じられない作品に出会ってきたが、この作品については間違いなく才能があると私は断言できる。

     才能といえどもそれは様々な形で現れるものだが、この作品にあたっては「筆力」と表現することができるのではないか。単に文体や描写力というのではなく、うまく表現できないが、雰囲気、いやオーラというものがあふれるばかりに込められている。それは様々な形であらわれる。南北戦争そのものの描写がその最もたるものだし、主人公の恋愛や主人公を取り巻く人々との軋轢、あるいは主人公の戦おうとする「意志」、そして予想できない展開、それらが、読者を物語の中へと引き込み、物語ものとして最も重要な要素である「ページをめくる楽しさ」を提供するのである。

     濃厚なドラマであるこの物語は何より主人公に負っている。彼女は平凡な恋愛小説において見られるような天使であったり、聖女であったりするわけではなく、むしろ俗物である。意志の力が他の女は勿論、他の男の殆どより強いという点では一線を画しているが、それでも現実に言れば好感はもてないであろう人物である。彼女の抱く恋愛感情も天上的なものではない。それ故彼女が苦境に陥っても感情移入こそはするものの、応援したくなるという感情が読み手には湧かず、それが逆に物語を普通とは違った角度で眺めることに貢献している。
     「恋愛においては両性ともにお互いを空想し騙しあう」というニーチェの言葉があるように、主人公の恋愛はどこかぬるいものがある、と私は読みながら感じていたが、それは決して作者の力量不足ではなく、そのことを踏まえた上で筆を進めていたことを物語の最後で知った時私はいたく感心した。

     感じた欠点としては、冗長な部分があり(といっても1000ページを超える物語はたいていそうなのだが)、それゆえなかなかページをめくっても展開が進まないため、ついつい読み飛ばしてしまうことがあった。他にも探せばいくつかあるような気もしたが、重箱の隅をつつくようなことをするつもりはないし、したからといってこの作品の価値が減ずるものではない。(なお、wikipediaによれば人種差別的な問題がこの作品に孕んでいるみたいだが、論じないこととする)
     
     登場人物の大半は物語において翻弄されていく。戦争もそうだが、それ以上に人生の渦というものに。最初は比較的温和な雰囲気ではあったが次第に嵐が起こり、そこから皆生きようと奔走するようになる。そこには例外というものはなかったことを読み手は最後に知るのだが、それがまた実人生を描いているようでもある。何人も人生の渦からは逃れらない、というわけである。

  • スカーレットの強情さはよく父親譲りのように記述されていますが、実は母親から受け継いだものなのではないかと思ったりします。なにしろエレンはいとことの仲を裂かれた後、ちびで中年のオハラ氏と結婚し(ほとんど周囲へのあてつけか捨て鉢のようにも思われます)、もくもくと夫に仕え、子を産み、家庭内と農場の両方を切り盛りしていくのです。〈以下2巻へ〉

  • 読んだのはずっと昔、高校生の頃。
    スカーレット・オハラ・・・こんな女性ありえるの~ってとっても驚いた記憶がある。すごく、わがまま。妹のフィアンセもとっちゃう。やることがスゴイ。
    自分の年齢が上がった今、スカーレットのような
    生命力にあふれ、強~い女性にとても憧れる。

  • 主人公の女の子、スカーレットは自分のことばかり考えていて、人ときちんと向き合っていない印象があり、最初は苦手でした。
    読み進めていくうちに、彼女は別の時代だったらもっとしあわせだったのかもしれないな……と感じ、切なくなりました。だんだん、彼女が魅力的に感じてきたので、ふしぎでした。

    時代によって埋葬されそうになっていた彼女が、最後の最後まで、どのように振る舞うかまったくわからなくて、わくわくしました。
    以前よりパワーアップして復活しそうな気配があり、続編が楽しみです。


    先日本屋さんで、『私はスカーレット』という本を見つけ、「もしや……?」と思ったらやはり主人公の少女でした。こちらの本も気になります。
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09386677


    (以下、読みながら綴った感想)


    2023/05/06 p.5-41

    p.5
    “あるかがやかしい午後、”
    この表現、日本の文学ではあまり見かけないなぁ……と思います。翻訳の仕方によるものかもしれないですけれど。

    p.7
    “思慮のたりない若い動物たちだった。”
    (中略)
    “癇癪(かんしゃく)もちで、危険な男たちだが、うまくあやつってくれる人にたいしては、すこぶるやさしい感情をもっていた。”
    自分のことを言われているかのような気持ちになりました。

    p.16
    “髪の毛の黒い紳士なんて、あたし、大きらいだわ”
    日本人はダメだそうです……。残念。

    p.40
    “そうすればスカーレットは、母の前でなにもかも白状させられるか、”
    あれ? “マミー”は母親のことではないのですね。


    2023/05/09 p.41-81

    p.48
    “彼が、いつかは求婚するだろうことを、彼女は疑いもしなかった。”
    時代のせいかもしれないですけれど、ご自分から行動しなければダメなのでは……? 相手をコントロールすることはできませんよ。

    p.52
    “こうしたにおいをもつ男を彼女は本能的に好いていた。”
    普通、父親は臭く感じるものですけれど……。近親交配を避けるために、本能的に。

    p.60
    “似たものどうしが結婚したとき、はじめて幸福が得られるのだ”
    やっぱり似た者同士じゃないと結婚できないのですね。
    先天的に似ている人に惹かれ、後天的に似ていくと聞きます。

    p.62
    “おまえが変えるって?”
    (中略)
    “そんなふうに考えるのは、”
    (中略)
    “生きた人間を知らないからだ。”
    (中略)
    “妻が夫の性質を変えるなんてことは、かつてできたためしがないんだ。”
    他者を変えようと思うのは間違いですね。それを前提に結婚したら、確かに、不幸になります。他者はコントロールできません。

    p.73
    “美しい彼女のぬけがら(、、、、)だけだった。”
    美しいぬけがらは、人によってはとても魅力的なのではないでしょうか……。人形と一緒にいたいとのたまう方もいらっしゃいますからね、この世には。

    p.75
    “だれのものといえども盗むな”
    これは良い教えですね。当たり前のことですけれど、魔が差す瞬間は誰にでもあります。


    2023/05/13 p.81-130

    p.81
    “翌朝のミサで懺悔(ざんげ)すればすむぐらいに思っていたのだ。”
    実際、神様は赦してくださるでしょうけれど……。最初からその姿勢はどうなのでしょうねえ……。

    p.101
    “だが彼女は、生活に安楽を期待しなかったし、幸福ではなかったとしても、それが女の運命だと考えていた。この世の中は男の世界であり、そして彼女は、それをそのまま受け入れていた。”
    厭な時代ですね……。いまも男性のせかいだと感じるところはありますけれど、この時代ほどではないでしょう。

    p.102
    “スカーレットの欠点は、ただ活発なだけで、”
    活発な子どもを否定する時代は厭です……。

    p.114
    “白人たちは、奴隷のひとりごとを、隣の部屋でいくらきこえよがしにわめいたところで、知らないふりをしなければならないことを、彼女は、ちゃんと心得ていたのだ。こうすれば、とがめられることもなく、”……
    なるほど。それぞれの生き方がありますねえ。

    p.117
    “とけたバターがぼとぼとしたたり落ちて、あたたかそうに湯気を立てるじゃがいも(、、、、、)などの皿をならべた。”
    じゃがバタは良いですよねえ。好きです。
    ちょうどお腹が空いているので、飯テロの文章はなかなかつらいものがあります。

    p.130
    “昨日着た緑に小枝模様のモスリンの衣裳があるだけだ。”
    (中略)
    “朝のうち首筋や胸や腕を露出するのは作法にはずれるとしても、”
    いや、そんなことより、昨日着たものを続けて今日も着ることのほうが問題ではありませんか? 昨日会った方々も来るのでしょうから。
    着替える機会が多い文化なら、気にしないのでしょうか?


    2023/05/14 p.130-189

    p.131
    “実際みごとな脚を彼女はもっていた。”
    脚フェチとしては気になります……。

    p.135
    “午後の三時前に胸や肩を出す衣裳を着てはいけないちゅうことは、あなただって、よく心得ていなさるはずでねえだか。”
    (中略)
    “こんなものを着て行ったら、まちがいなく、そばかすだらけになりますだ。”
    そばかすができるから、肌を出してはいけないのですね。肌を出しすぎるとみっともないとか、そういう理由かと思っていました。

    p.137
    “いつまでも、こんな不自然なことをして、したいこと一つできないなんて、うんざりだわ。”
    不自然だとわかっているのですね。これが当たり前だと受け入れてしまった方は多いでしょうけれど、彼女は自分の気持ちに素直ですねえ。

    p.137
    “わかっているようにうぬぼれていなさるだけでの。”
    ここまでハッキリ言う方も珍しいのではないでしょうか? 案外、気が合うお二人なのかもしれませんね。

    p.163
    “社会的な非難をうけるおそれなしにげっぷができるのは、老人か非常に高齢の婦人にかぎられていたのだ。”
    人体の仕組みとして、自然なことです。我慢するほうがむしろ、身体に悪いです。
    厭な文化ですねえ……。

    p.179
    “彼はただメラニーだけを見あげて話しつづけ、メラニーもまた、自分こそこのひとのものという表情に顔をかがやかしながら彼を見おろしていた。”
    お似合いのカップルですね。第三者が入り込む隙間はありません。


    2023/05/28 p.189-240

    p.191
    “彼女にあっては、一つのことを議論する場合、正しい側は一つしかありえなかった。アシュレには、ときどき不可解なところがあった。”
    正しさは一つではありません。人によって見えているものは違います。
    自分と他者の考え方の違いを受け入れられないなら、やはり、相性は悪いです。残念ながら。

    p.202
    “直截(ちょくせつ)的な父ジェラルドのアイルランド人の血が彼女のくちびるからほとばしった。”
    おぉ……この時代としては良くないことかもしれないですけれど、素晴らしいことです。よく言いました。

    p.206
    “きみは、ぼくの読む本や、ぼくの好きな音楽まで憎むようになるだろう。なぜなら、本や音楽は、たとえ一瞬でも、ぼくをきみから奪うからだ。”
    それぞれの時間を大切にできないなら、永くは続かないでしょう……。

    p.206
    “結婚というものは、ふたりが似たような人間でなければ、けっして平和にいくものではない”
    平和なだけの結婚生活もないとは思いますけれど。不必要な衝動は避けたいものです。

    p.235
    “興味の対象となる青年たちも、”
    恋愛が趣味の方って、戦争になると退屈するのですね。

    p.236〜237
    “微笑するときでも、陰気で悲しそうに笑わなければならなかった。”
    いつまでも……? そんなの、馬鹿げています。
    病んでいる人間に対して、「楽しそうにしているのはおかしい」と言う人たちみたいです。人間は、調子が良いときと悪いときがあって当たり前なのに。


    2023/06/03 p.240-284

    2023/06/13 p.284-306

    p.296
    “もう一度勝てば、おそらく北軍は、ひざを屈して講和を求めてくるだろう。”
    そんなことは起こらないでしょう……。あまりにも都合が良いです。
    戦争はそんなきれいなものではないです。

    p.300
    “メラニーは、スカーレットがふきげんになったことに気づいたが、”
    メラニーは、よく人を見ていますね。それなのに、心がきれいすぎるのか、彼女が想像する感情と現実は食い違っているのですけれど。

    p.300
    “みんなは、あのふたりを神聖なもののように騒ぎたてているけれど、ただの人間じゃないの。”
    それはそうですね。神様と人間は違います。


    2023/06/25 p.306

    2023/07/15 p.306-365

    p.308
    “メラニーは州兵の群れに目をやって、ひややかに言った。”
    メラニーにこのような一面があるのは少し意外です。

    p.335~342
    これだけ長い会話を、会話だけを読んでいても、飽きることはありません。このお二人はなんだかんだ、気が合いそうですね。
    船長のほうがここまで熱い気持ちを持ってらっしゃるとは……知りませんでした。ふしぎな人です。

    p.357
    “たったいま死んでしまいたい。そうすれば、きっとだれもが自分につらくあたったことを後悔するにちがいない。”
    亡くなってからあれこれ言う人は、ロクに向き合っていない方だと思ってしまいます。本当にその人のことを想っているのなら、生きているうちに伝えるべきです。

    p.361
    “「まったくりっぱなふるまいでしたわね、お父さん」”
    似たもの親子ですね。
    ここまでしっかり親にものを言えるのなら、この方はとてもお強いです。羨ましいです。

  • さすが名作!こんなに面白いとは!
    そして、主人公のスカーレットがこんなに嫌な子だったとは…笑
    自己中、傲慢、欲深く、見栄っ張りで…取り柄は外見のみ。
    男たらしで、人の恋人でも気にせず誘惑。
    ゼッタイ友たちになりたくないタイプ笑!

    絶世の美女なのに、その歪んだ性格から幸せな結婚生活から遠のいていくのが、面白い。
    また、1800年代半ばという時代背景も、今とは別世界の独特の文化があって興味深い。
    当時の女性がどのような教育を受け、どのような振る舞いを良しとしたいたのがよくわかる。
    自分を少食に見せるため、若い女性はパーティーの前には自宅でホットケーキを食べる…なんという世界だ。ほんと現代に生まれて良かった。。

    そしてなるほど、人種差別だと一時期は映画などが放送中止になったのもわかるほど、黒人に対する差別的表現が作中にオンパレード。
    南北戦争前のアメリカを描こうとすると、致し方ないので、むしろ奴隷制度について触れなければ逆に違和感が生じるのだろけど、こんなにも差別表現が使われている本は正直読んだことがない。
    現代では決して出版できないだあろう、ある意味、非常に貴重な一冊。

    第二巻が楽しみだ。

  • 読み応えのある小説だった。主人公が決して善人では無く、でも強くて魅力的だったのが良かった。

  • 10年以上振りに再読。

    我儘で傲慢な主人公スカーレット。
    けれど、どうしようもなく魅力的な彼女。

    スカーレットの大胆さは若さゆえな所もあるのだろうけど、
    年齢を重ねる事で失われてしまうのは勿体ない。
    きっとラットバトラーも同じ考えだと思う。

    スカーレットの失恋から物語が徐々に進んでいくのだが、
    こんな重要なシーンを私はすっかり忘れてしまっていた。

    10数年前の私は一体何を読んでいたのだ…。

    好きでもない男と結婚してしまうスカーレット、
    何とも彼女らしい。

  • 2018.12.13
    すらすらっと読めたアメリカ文学ー。
    主人公スカーレットの思いに共感されるところもあれば、反論したいところもあれば。少女とは何て純粋なんだろう。

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