ここから世界が始まる (新潮文庫 カ 3-9)

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  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102095096

作品紹介・あらすじ

差別の激しい土地に生まれ、同性愛者として長じ、「八歳で作家になった」と豪語したという天才はデビュー前から天才だった。ニューヨーク公共図書館が秘蔵する貴重な未刊行作品を厳選した14篇。ホームレス、老女、淋しい子どもなど、社会の外縁にいる者に共感し、仄暗い祝祭へと昇華させるさまは、作家自身の波乱の生涯を予感させる。明晰な声によって物語を彫琢する手腕の原点を堪能できる選集。

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹さんの翻訳でなくて、よかったと一息。

    彼の翻訳が嫌いなわけではないが、ジェラルドやカポーティを彼がこよなく好んでいることが訳に反映されることが嫌なのだ。

  • Outside of society

    村上春樹が解説で書いているように天才作家の天才的習作という表現がぴったり。

    全部を一気に読むのがもったいなくて何日もかけて読んだ。翻訳された海外文学を敢えて原書も読んでみようと思う作品はそんなには多くないけど、これは原文でも読んでみたいと強く思いました。

    作品としては星5つなのだけど、作品解題に納得できないところがあったので星4つにしました。

  • ハーパーリーの幼馴染で、”アラバマ物語”の”ディル”はカポーティがモデルだと知ったのがカポーティの本に興味を持ったきっかけ。
    代表作の冷血をまだ読んでいないのだが、先にこの、”ここから世界が始まる”を読んでみた。
    若い時、なんならまだ高校生のときにこれらの短編のいくつかを書いたとは、作家になるべくして生まれた人だと感じた。くどくどとしていないシンプルな文体の情景描写がさすが。早く冷血も読んでみたい。私は”ルイーズ”と”ミスベルランキン”がお気に入り。

  • 取るに足らない場面の過不足ない情景描写や、華麗とも言える人物造形、物語のプロットの完成度、ところどころに点在する星のように燦然と輝く一節が、のちの鮮烈で煌びやかな才能の開花を予見させる。

  • ほんと、短くて、すぐ読める。
    冒頭の短編も、表題作もおもしろかった。
    とくに、表題作は、女の子が主人公だけど、授業中にどんどん別のこと考え始めて、意識がどこまででもトリップしていく様子が、まるで昔のオレみたいで面白くて笑った。

  • 習作とのことだが、十分作品に仕上がっていると思わせる短編ばかりで、やっぱり天才と言われる人は違うんだなぁ…と思いました。こんな作品を十代で…と考えると、すごいとしか良いようがありません。
    面白いです。

  • 抑制のきいた筆致ながら余さず描ききる「ミス・ベル・ランキン」。作家生活10年目、脂ののった17歳の時の作品か…おそれいるぜ。

  • カポーティのキャリアの中でも超初期の、習作ともいえる短編集。訳者のあとがきにもあるように、きちんと校正が入ったらもっと修正がかかりそうな部分も多々あるが、それを補って余りある瑞々しい感性や表現力に圧倒される。状況としては2人の人間が会話している場面を切り取っただけのような話でも、それぞれの台詞や仕草、周りの光景の描写から、あまりにも多くのことが読み取れる。
    ひとつひとつの作品は本当に短いけれど、読み応えはすごい。それぞれの作品を読み終えるたびにしばらくその余韻に浸ってしまう。

  • 名前を聞いたことはあるけど、作品を読んだことがなく、これが初めて読んだもの。

    短いのにどれも後先を想像せずにはいられない。
    どれも話に夢中になったけど、この4つが好き。好き、というか頭に残った。

    分かれる道、これをジェイミーに、ルーシー、こここから世界が始まる

    ここから世界が始まる、はタイトルにもなっているが、松任谷由実のひこうきぐもの歌詞とちょっと重なった。

    あまり暗いお話は、ましてノンフィクションはあまり手に取らないですが、『冷血』を読んでみようと思う。

  • 『8歳で作家になった』と言ったと言われるカポーティは、16歳の時に『ニューヨーカー』で雑用の仕事をしていて、21歳の時にO・ヘンリー賞を受賞。恐るべき子供(アンファン・テリブル)と注目を浴びて社交界デビューするけど、51歳の時に書きはじめたみかんの遺作『叶えられた祈り』で社交人の秘密にしたいことを暴露しちゃって追放される。60歳にハリウッドの友人宅で心臓発作で死亡。酒と薬物の問題を抱えていた。
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    早熟の天才が社交界で豪遊して酒か薬の問題抱える例で言ったら『悲しみよ、こんにちは』のサガンを思い出す。
    この短編集、カポーティが10代とか20代前半に書いた作品集なんだけど本当何か物語を描写するために生まれてきた人なんだろうなって思った。
    『知っていて知らない人』『これはジェイミーに』『似たもの同士』『ここから世界が始まる』の4作品が特に好きだった。

    ゲイで、女の子に生まれたくて、父親は刑務所に行きそうになるし母親はアルコール依存だし、預けられた親戚の家は差別主義が根強い土地だし、その中で生まれ育って貧困や黒人をテーマの話をなんとか書こうとした若年期の作品たち、カポーティの苦しさが透けて感じられてすごくせつなかった。

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