ハツカネズミと人間 (新潮文庫)

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感想 : 193
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  • Amazon.co.jp ・本 (156ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102101087

感想・レビュー・書評

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  • いつか自分の家と自分の農場を持つ、そんな夢を見ながらあちこちの農場をてんてんと渡り歩く男たちが主人公。知的障害を持つ大男レニーといつも一緒にいる小柄でシャープなジョージ。レニーはジョージを心から信頼し、ジョージはいつだってレニーを守ってきた。二人の周囲の男たちもすごくいい味を出している。

    情景描写が豊かで、山や丘、川や木々の様子が目に浮かびます。これ個人的にとてもとても好きな本。物語に入り込んで登場人物たちに感情移入してしまう。

    物語の舞台となるサリーナスは今、私が住んでいる場所からそう遠くない。何度も行ったモントレーも作者ステインベックのゆかりの地だそうで、周囲のアメリカ人に聞いてみると皆知っていた!今まで知らなかった自分がちょっと恥ずかしい。

    あんまり好きだったので、読後、図書館で英語版の原作を借りて読んだ。和訳版も原作も何度読んでも最後は涙が出てくる。
    この時代のあまり教育を受けていない労働者たちが喋る英語はスラングが多く文法的にも正しくなくて、そのへんのニュアンスも和訳版の訳者である大浦暁生氏はとても上手く訳されているなぁ。

  • 再読した

  • 3.86/1344
    内容(「BOOK」データベースより)
    『一軒の小さな家と農場を持ち、土地のくれるいちばんいいものを食い、ウサギを飼って静かに暮らす―からだも知恵も対照的なのっぽのレニーとちびのジョージ。渡り鳥のような二人の労働者の、ささやかな夢。カリフォルニアの農場を転々として働く男たちの友情、たくましい生命力、そして苛酷な現実と悲劇を、温かいヒューマニズムの眼差しで描いたスタインベックの永遠の名作。』

    冒頭
    『ソルダードの数マイル南で、サリーナス川は丘側の岸に迫り、緑色をして深く流れている。水はまた、生ぬるい。黄色い砂の上を日に照らされながらキラキラと旅して、この狭い淵に流れこんできたからだ。』


    原書名:『Of Mice and Men』
    著者:ジョン・スタインベック (John Steinbeck)
    訳者:大浦 暁生
    出版社 ‏: ‎新潮社
    文庫 ‏: ‎156ページ

    メモ:
    死ぬまでに読むべき小説1000冊(The Guardian)「Guardian's 1000 novels everyone must read」

  • 「怒りの葡萄」に続き本書を読んだ。
    スタインベックにすれば同時代を題材にして描いたものとなろう。
    それにしては、いずれも悲しい結末。

    人間にとって人間とは、愛すべき存在であり、それゆえに求めずにおれないもの。
    それと同時に最も脅威となるのもまた、人間なのだ。

    近づこうとしても、結局他者は他者。
    そんなギリギリの隔絶が、悲劇を招いてしまうのだな。
    ああ、悲しいね。

  • 2019年7月10日(水)に届いて同日読み始め、7月14日(日)に読み終える。役者あとがきはなかなか参考になる。

    せっかく書いた記録を消してしまったので、もう一度書く気力がないし、ざっくりと書き直す。

    本書を読んだのは20歳のころに読んで以来のこと。はじめて読んだときは最後の場面で泣いたけど、今回は泣かなかったということ。それは結論だけでなく全体をとおしてけっこう内容を覚えていたからではないだろうかということ。

    おそらくまちライブラリーに植本したので本が手元になく、新しく買いなおしたということ。そのため今回読んだのは文字の大きさが9.25ポイントのものであったということ。160頁ほどの短い小説で展開が早いけど、それでも特に最後の展開は早いと感じたということ。以前読んだときにもそのような印象をもったかもしれないけど、いまとなっては当時のことははっきりとは思い出せないということなどを書いていた。

  • 大恐慌で定職がなく、渡り農作業者として農場を転々とする、ジョージとレニーの二人。
    ジョージは背は小さいが機転がきく。レニーは巨体で力も十人力だが、子どもみたいに幼く、ジョージの助けがないと生きてはいけない。
    そんな二人には金を貯めたら自分たちの農場を持ち、そこで誰に指図されることもなく生きたいという夢があった。レニーにせがまれて、ジョージがいつも二人の夢の農場の話を始めると、レニーはいつも夢中になる。そして、レニーはそこでウサギを飼うことが一番の楽しみだ。
    二人は前の農場を逃げ出さずにはいられなくなり、新しい農場にやってきた。
    二人はそこで自分たちの夢を叶えられるのか?

    貧困にあえぐアメリカの下層の人たちの暮らしを題材に作品を書くことの多かったジョン・スタインベックの中編で、戯曲化、映画化もされてヒットしたときく。
    この二人に幸せな未来が見える待っているはずはないのだが、このラストには、色々な感じ方があるようだ。

  • アメリカ人のノーベル賞作家、スタインベックの小説。カリフォルニアの農場を転々として働く、その日暮らしの男たちの話。
    ジョージとレニーという、男性2人組が主人公。レニーは力があるが発達障害があり、ジョージが世話をしてやっている。二人はある農場で問題を起こして追い出され、次の農場へ移った。そこで働く人々とのやり取り、と出来事が中心である。
    読んでいるとたわいもないストーリーなのだが、後から、そういえば、と思い出させる伏線がいろいろ敷いてある。戯曲の形式を小説に取り入れた、と裏表紙に書いてあるが、納得。ちょっとしか登場しない人でも人物設定が、会話で成立している。
    やるせない物語だった。

  • アメリカを舞台とする、農場を転々として働く男たちの物語。
    今読んでいる本に紹介されていて、興味を持って読んだ。
    人間の思考や、この場面でどう選択すれば、違う結末に結びついたかを考えると面白い。
    ただなんとなく読むだけだと、もの淋しい気持ちで終わる本。

    札幌市の図書館で借りた本。

  • こんなにも最後でじわじわとくる小説も初めて。切なくてやるせなさと物悲しさ。生きるということの大事なことを気づかせてくれる。レニーとジョージが自分に語りかけてくるような気さえする。

  • 何度かレニーが言っていたように、ほんとうに、山の中で暮らした方が良かったのだと思う。
    今後ジョージは、レニーを殺したことをずっと引きずっていきていくのだろうなと悲しくなった。
    また、風景の描写がすばらしい。

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