人間の絆(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (640ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102130315

作品紹介・あらすじ

イギリスに戻ったフィリップの前に、傲慢な美女ミルドレッドが現れた。冷たい仕打ちにあいながらも青年は虜になるが、美女は別の男に気を移してフィリップを翻弄する。追い打ちをかけられるように戦争と投機の失敗で全財産を失い、食べるものにも事欠くことになった時、フィリップの心に去来したのは絶望か、希望か。モームが結末で用意した答えに感動が止まらない20世紀最大の傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 林修が小野正嗣(芥川賞作家)に語る「人間の絆」サマセット・モーム【林修・世界の名著】 | ピソっと情報局。
    http://nattou.xyz/book-somerset-maugham/

    BOOKMARK | Mizuhito Kanehara
    https://kanehara.jp/bookmark

    サマセット・モーム、金原瑞人/訳 『人間の絆〔下〕』 | 新潮社
    https://www.shinchosha.co.jp/book/213031/

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      その昔、中野好夫訳で読んだ。人が変わる話は好きですが、、、なかなか再読する気になれずいたのですが、金原訳が出たので読んでみようかと思っていた...
      その昔、中野好夫訳で読んだ。人が変わる話は好きですが、、、なかなか再読する気になれずいたのですが、金原訳が出たので読んでみようかと思っていたら、河合祥一郎訳も出るらしい、、、

      これから出る本(2022年1月・2月) - 光文社古典新訳文庫
      https://www.kotensinyaku.jp/news/006952/
      2021/12/24
  • 1人の青年の人生を体験できた気がします。

    主人公の卑屈さや口の悪さに時々ムッとさせらましたが、誰だって言葉にせずとも心に嫌な自分が現れるときはあるわけで、これも成長の過程と思って読み進めました。
    最後までどうなるのか全く想像できず、長編ですが夢中で読みました。
    大切にしたい本がまた増えました。

  • モームの小説は金言が散りばめられている。
    我々は一度しかない人生に対して恐怖を常々感じている。選択の恐怖、お金への恐怖、他者への恐怖....。
    主人公の不遇で苦悩し続けるフィリップに親近感を抱くのは、個々の今迄生きてきた思いが相重なるからではなかろうか。
    人生など怖れるに足りない。なぜなら、人生は無意味だからだ。この「空」の思想について腹の中から理解する事、それは私自身まだ少し先の事になるかもしれないし、噛み締める迄は、フィリップ同様に哀しさやるせなさを感じるであろう。
    ペルシア絨毯、職人はなんの目的もなく、ただ美しいものを作る喜びにひたって織った。そんな風に人生を生きることもできる。
    人生という重層的な混沌からひとつの模様を作ること。それはひとつの芸術作品だ。自分しか存在を知らないからといって、自分が死ねば消えてしまうからといって、その美しさは少しもそこなわれるわけではない。

    とても素晴らしい本でした。

  • 今の世の中は、価値観の多様化が謳われつつも、自分と異なる価値観に触れると自分の価値観が否定されていると感じる人が多く、とかく傷つきやすい。どんな生き方をしても、それぞれ違った絨毯の切れ端の模様。みんなどこかを病んでいて、悩んでいて、生きている。人間の嫌な面をこれでもかと描き出しているけれど、馬鹿だなぁ哀れだなぁと思いつつ、豊かな人間愛を感じずにはいられない作品。

  • 帯が絶賛してたので購入。読み終わったあとはふーんと思ったが、じわじわとラストシーンがきいてくる名著。多分つらいことがあったり進むべき道がわからなくなった時にふと思い出して立ち直らせてくれるタイプの本なんだろうなと思った。

  • いろいろと絶望的な状況に陥った人たちがたくさん出てきてなかなか残酷な物語。心象風景がエグいくらい描かれている。
    ーーーーー
    幼くして両親を失い、牧師である伯父に育てられた青年フィリップ。不自由な足のために劣等感にさいなまれて育ったが、いつしか信仰心を失い、芸術に魅了されてパリに渡る。しかし若き芸術家仲間と交流する中で、自らの才能の限界を知り、彼の中で何かが音を立てて崩れ去る。やむなくイギリスに戻り、医学を志すことになるのだが……。誠実な魂の遍歴を描いたS・モームの決定的代表作。生よ、おまえの「とげ」はどこにある? 人生に意味はあるか? モームが出した答えとは。イギリスに戻ったフィリップの前に、傲慢な美女ミルドレッドが現れる。冷たい仕打ちにあいながらも青年は虜になるが、美女は別の男に気を移してフィリップを翻弄する。追い打ちをかけられるように戦争と投機の失敗で全財産を失い、食べるものにも事欠くことになった時、フィリップの心に去来したのは絶望か、希望か。モームが結末で用意した答えに感動が止まらない20世紀最大の傑作長編。

  • 登場人物が人生について語る部分が興味深かった。
    英国の紳士階級の気取った会話もおもしろい。
    シンプルな文体で読みやすい。主人公に共感すると読みにくいかも。いつかまた再読したい。

  • 評価はまだつけられないな……
    「月と六ペンス」みたいにガーッと感動はしなかった。でもところどころむちゃくちゃに感情をゆすぶられたり、主人公の言動にもう本を投げ捨てたくなるほどイライラしたり、よくわからない感情で涙がでてきたり、「つまらなかった」というわけではない。でもストレートに「よかった!」とは言えない感じ。
    またもう少し時間が経ってから読み直したら気持ちも変わるだろか。

    ---

    Of Human Bondage
    タイトル、光文社版だと「人間のしがらみ」って訳だけど、個人的にはどっちもそうだな、という感じ
    人間どうしの間にあるものは暖かい絆であるときもあるし、やっかいなしがらみであるときもある

    そういう意味でも、この新潮社版のカバーデザインが好き
    上巻は棘のつるでまさしく苦しみの象徴っぽいけど、下巻は葉っぱの芽吹いた希望のデザイン どうでもいいけど色もなんか好き

  • フィリップの医学修業期の友人関係やミルドレッドやノラとの恋愛、特にミルドレッドの悲惨な人生に巻き込まれる絶望の日々、金銭的な限界状況下、度重なる裏切りにも拘らず最後までミルドレッドを扶助するフィリップの懊悩。
    最悪の状況下、アルセニーに助けられ危機を脱出し、伯父からの遺産相続も実現し、誠実で着実な娘のサリーと結ばれる。
    足の不具等のハンディを超えて医師になり自由に世界を旅する夢に向かって、生き方を模索し人間を磨く青春の物語。

  • 株に全財産投機して失敗する。家賃が払えず家に戻れれない。金をくれない叔父の死を願う。傲慢でひどい目ばかりあわされる女にいつまでも執着する。こどもができて自分の夢がやぶれるかと怯える。そんな男に特に若い読者は嫌悪感を持つだろう。一方で小心で欠点を気にし先の夢ばかりみている主人公に自分を重ねることだろう。失敗を重ね世間を疎ましく感じた自分が潰れずに、最後は意味ないと感じていた世間に救われる。含蓄ある話だった。2022.5.3

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