若き詩人への手紙・若き女性への手紙 (新潮文庫)

  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (113ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102175019

感想・レビュー・書評

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  • リルケの往復書簡ですね。
    リルケの赤裸々な心情を読み取れる書物だと思います。若い人たちに呼び掛けるように綴った手紙は、若い人には予期せぬ書き込みがあるように思えますが、リルケはしっかりと自分を見つめることを指差していることに気付いて欲しい思いに溢れていますね。
    リルケの詩は真逆の言い回しがあるために、少し難解な部分があるものの、リルケ自分自身と読者に内面から呼び掛けいるのを感じますので、この書簡も温かく導き出そうとしているの感じて欲しいですね。

  • 「だから悲しい時には、孤独でいること、注意深くあることが、非常に大切なのです。」

    孤独や悲しみとの向き合い方について書かれています。大切にしたい言葉が沢山ありました。

  • リルケ独特の、神聖さを思わせる世界の捉え方と生き方が
    全ての人間のためになるとはいえない。けれども
    真面目な作業に疲れている人にとっては、こういった詩的な文章は心を安らかにしてくれるはず。

  • 表現や創作活動で迷ったときに、リルケの言葉の一つ一つがずしりと響く本です。

    リルケは本当に孤高の人で人生を達観しているというか、
    絶対に妥協しない自分に厳しい人です。
    だからこそ助言を求めてきた2人の若者に対し、
    全身全霊の踏み込んだ表現で信念を書きつらねながらも、
    表現すること、生きることへの厳しさを正直に独白します。
    どちらの手紙も本当に人間愛に満ちていました。

    ”書くことを止められたら、死ななければならないかどうか”
    創作活動を続けるかどうかの判断基準をリルケはこう書いてますが、
    本当に重い言葉だなと思います。
    仕事、生き方についてここまで意識したことはありませんでした。

    リルケは孤独であること、困難であることにもとても肯定的でした。
    自らの内をみつめ、悩みぬいてこそ、本物の作品は生まれてないこないのかもしれないと考えさせられます。
    人の評価など気にしていてはダメなんだな、自分が良いと思ったことを信じて突き進もうと思わされます。

    訳者が書いていた通りこれだけの助言をもらいながらも、
    カプスが大衆迎合のジャーナリズムに身を置いてしまったというのは人生一筋縄では行かないところです。

    表現がかなり哲学的なので、
    一度読んだだけではかなり難解に感じた部分が多かったです。
    特に「女性への手紙」は先に訳者の後書きを先に読んでおくと良いでしょう。

  • #3123ー180ー417

  •  とても崇高な姿勢で書かれた書簡で、自らの内部へ深く沈静し孤独を愛すべしというところはやはり刺さるものがある。
     ただ、この高潔な人は、この世の濁ったもの、アンダーグラウンドなものを、どう受け止めるのだろう。リルケ自身、そういうものを通った生涯であったと思われるし、そういうものを生きた体験と思索から彼の言葉は紡がれているのであろうし、本書に書かれているような生きかたを追い求めることはひとつの真理の探求といえるだろう。けれど。けれど、というのが一抹残る読後感だった。

  • 彼の言葉はエメラルドグリーンの湖の様に穏やか。
    「気づかない方が楽」に生きることができるけど
    「気づき、受けとめて生きる」ことを教えてくれる。

  • 若い詩を書く男性と、若い女性にリルケが送った手紙をまとめたもの。
    文通なのに、リルケから出した手紙しか載っていないので文脈が分かりにくい。
    男性へ送った手紙には詩論がほぼ冒頭にだけ載っていた。
    「必然から生れる時に、芸術作品はよい」とし、自らの内に入ることで
    素直に出てくるものだから、芸術家は孤独なのだとリルケは考える。
    だからこそ、芸術作品に批評やジャーナリズムを求めることは無駄だともする。
    この「孤独」にリルケはとてもこだわるのだが、それを自分の部屋から
    高い山頂に突然移されるような不安と、すべてのものから無限に遠くなる
    感覚のようなものというたとえはとても分かりやすかった。
    他にも、イロニーは創造力があるときにだけ使える生をとらえるひとつの道具とか
    自分の詩をちがう筆跡で、つまり他人のもののように読むのも大切だという
    考え方も書かれていて、そこは面白かったのだが
    それ以外は精神的な悩みにリルケが答える形になっていて、その悩みを持っていない
    わたしからすると、すべてがピンとこなくて、ただ目が滑るばかりの一冊だった。

  • アバタロー氏
    1953年出版

    《著者》
    1875年オーストリア生まれ
    陸軍、商業学校が合わず退学
    父を失望させ叔父が面倒を見てくれた
    個人授業、大学、詩の才能

    《感想》
    嫌なことを言われて相手に焦点がいくのではなく、あくまで自分にむけ、そして自分を観察する
    ちょっと意外だと思って興味が出た
    実際の詩を読んでみたい
    読んでみたら難しかった

    〇自分を突き動かす根拠
    若き詩人に5年間手紙の返事を書く
    ベクトルが外に向いている
    つまりどうやったら世間が評価されるのかという承認欲求が作品作りの根底にあると見抜く
    あなたが詩を書かないと生きていけない根拠は何なのか、自分の内側に思考を向けることをすすめた

    幼年時代の思い出に目を向けて、今こそ自分の感情や判断を信じるべきだと訴えた

    〇偉大な忍耐と孤独
    当時ロダンによって芸術の厳しさを叩き込まれて肉体と精神が壊れかけ、一旦イタリアに滞在場所を変える
    この手紙はちょうどその時に書かれたもの
    孤独は愛するべきだ
    内面に向かわせるその深い内省が未来を切り開くと信じていた
    クリスマス新年には孤独感が強まる
    無価値なものでも埋めたいと思う
    孤独は成長を遂げる時期

    〇悲しみとの向き合い方
    悲しい時こそ孤独でいること
    誰かに嫌なことを言われて悲しい気持ちになったとき、言われた内容や相手を想像するのではなく、受け取った自分の思考や感情がどう変化したのかを観察するべき
    そのことによって、付き合うべき人そうでないといった自分に関する情報がよりクリアになる
    自分にとってよりふさわしい判断選択ができるようになり未来も開けてくる

    新しい体験を拒もうとする心にその原因がある
    除外せずに受け入れる
    あなたの人生は決してあなたを見放したりしない
    自分の未来を信じながら日々を過ごさねばならない

    苦悩をかかえる青年に自分を重ねた
    若き詩人への手紙は、自分あての内省への手紙でもあった

  • 孤独や愛について書かれている。難解だが、若い人にはおすすめ。

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