戦場のピアニスト (新潮文庫 ハ 48-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102243114

作品紹介・あらすじ

1939年ナチス・ドイツ脅威下のワルシャワで、戦火のなか、ひたすら演奏を続けるユダヤ人ピアニストがいた。家族と離れ、死の収容所行きを辛うじて免れた彼は、飢えと恐怖に耐え、奇跡的に生き延びる。自らの原体験に回帰したポランスキー監督が、ホロコーストから生還した実在の天才ピアニストを描く感動作。魂を揺さぶる真実の物語。カンヌほか数々の映画賞受賞。写真多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 映画より、はるかによかった

  • 本書は映画「戦場のピアニスト」の主人公・シュピルマン氏による手記です。もともとのタイトルは「ある都市の死(本書では1章のタイトルになっている)」で、第2次世界大戦の惨禍を生き抜いた彼の言葉は重いです。

    映画「戦場のピアニスト」で一躍有名となったポーランドのピアニストであり作曲家の ウワディスワフ・シュピルマン。本書は彼がナチス・ドイツの魔手から逃れたその生々しいまでの記録を記したものです。書かれた時期はなんと1945年。当時は戦争が終わってまだ間もないころで、この事実だけでも衝撃的でしたが、発表直後に発禁となり、長らく日の目を見ていなかったことも、これまた驚きでございました。

    僕は映画を見て、その後に本書を読みましたが、劇中で描かれていたナチス・ドイツの蛮行がそのまま彼の筆致により再現されており、あぁ、やっぱりあの映画は真実を描いていたということが改めてよく理解できました。シュピルマン一家がゲットーへ強制的に移住させられ、そこでも十分な地獄絵図が彼の眼下に繰り広げられるわけですが、「二度と戻れぬ旅」へ出発する際に、彼だけ一人が助かったこと。その後の命からがらの逃避行。ページをめくるたびに描き出される世界の描写に気が重くなるのですが、彼独特のユーモアと丹念に描きこまれた文体が、1ページ、また1ページと先へ背中を押しやるようでございました。

    最大のハイライトであるドイツ人将校、ヴィルム・ホーゼンフェルトとの出会い。
    「そこで何をしている?君は何者かね?」
    という問いにシュピルマンは
    「私はピアニストです」
    と答えホーゼンフェルトにピアノの前に促され、そこで彼が弾いた曲はショパンのノクターン嬰ハ単調(遺作の方)でした。すんでのところで命を救われたシュピルマンは戦後、ラジオの仕事に復帰。2000年の7月6日に逝去するまでその天寿を全うしたのだそうです。さらにこの本の中にはナチス・ドイツの将校ながら、自らの犯した所業に苦悩するヴィルム・ホーゼンフェルトによる日記の抜粋や、ヴォルフ・ビールマンという方による「その後」の物語が収録されており、大変読み応えがるものでございました。

    本書は「アンネの日記」や「夜と霧」同様、悲惨な出来事を長く後世に伝える記録として、本当に価値のある1冊であると思います。

  • ・ドイツ占領下のワルシャワ、ユダヤ人の様子がよく想像される。
    ・良く生き残ったシュピルマン。

  • やっぱすごい残酷で、でも感動する。
    映画も見たい!!

    それにしても、自分の知らない世界がたくさんあって、そこでこんなにも酷い事が起きてたってのはユダヤ人の映画を見ても本を読んでも信じられない、、、。

  • ナチス脅威下のワルシャワでのユダヤ人隔離地域ゲットーを舞台に実在しホロコーストも経験した一人のピアニスト「ウワディスフ・シュピルマン」を描いたボランスキー監督の同名映画の小説版。映画のワンショットやメイキングの写真もあり映画の余韻が楽しめる。

  • ワルシャワ、ポーランドなどを舞台とした作品です。

  • 戦争に目を向けようと読んだお話。
    淡々とした展開は、良くある戦争もののような感情を押し付けるような感じがなくて読みやすかったです。
    世界は無情で、人間は非情、こんな地獄が存在すると思うと戦慄する。

    映画も観てみたい。

    2011.5.15 sun.-16 mon.

  • 映画の脚本。
    ポランスキー監督の受賞時のスピーチ・語り、ハーウッドへのインタビューも収録。
    写真多いの嬉しい。

  • (2004.01.02読了)(2003.10.10購入)
    映画「戦場のピアニスト」の脚本の翻訳です。
    脚本以外に映画の写真がカラーで多数入れてあります。シナリオの展開にあわせて写真がはめてあるともっといいのだけれど、紙質が違うのでそうもできなかったようです。
    そのほか、ポランスキー監督のインタビュー記事とか、時代背景とか、ワルシャワ・ゲットーの歴史とか、映画のプログラムの役割を果たす内容が含まれています。
    シェイクスピアとかモリエールの作品を読んでも、面白さやよさがよくわからないという体験をした事がないでしょうか?劇のシナリオなので、読んではよくわからないけど、映画や芝居になって演じられるとすばらしさがどんどん伝わってきて、こんなにすばらしいものだったのかとびっくりしてしまいます。
    映画や芝居を見たあとで、本を読み直すと、映画や芝居の場面がどんどん蘇って、感動することができます。この本もそう言う感じで利用すればいいのかと思います。

    ●関連図書
    「ワルソー・ゲットー」リンゲルブルーム、カッパブックス、1959.12.05
    「夜と霧」フランクル、みすず書房、1961.03.05
    「わが闘争」上・下巻、ヒトラー、角川文庫、1973.10.20
    「「夜と霧」をこえて」大石芳野、日本放送出版協会、1988.09.20
    「シンドラーズ・リスト」キニーリー、新潮文庫、1989.01.25

    (「BOOK」データベースより)amazon
    1939年ナチス・ドイツ脅威下のワルシャワで、戦火のなか、ひたすら演奏を続けるユダヤ人ピアニストがいた。家族と離れ、死の収容所行きを辛うじて免れた彼は、飢えと恐怖に耐え、奇跡的に生き延びる。自らの原体験に回帰したポランスキー監督が、ホロコーストから生還した実在の天才ピアニストを描く感動作。魂を揺さぶる真実の物語。カンヌほか数々の映画賞受賞。写真多数収録。

  • ロナルド・ハーウッドによる映画「戦場のピアニスト」の脚本。映画には表立って出ていない細かい描写もあって、皆さまご存知の通りの映画の内容に加えて、ちょっと知識が増します。他に使用曲目や監督の言葉、歴史や年表なんかも付属しています。

    改めて実話の恐ろしさに鳥肌が立ちました。

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