ブライト・ライツ、ビッグ・シティ (新潮文庫 マ 8-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102348017

感想・レビュー・書評

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  • ものすごく悪く言えば「ママが死んだ? で? 大人になれ!」な話。だがもちろん、そんな読み方では本書の真価を楽しめまい。「きみ」という言葉でこちらに語りかけてくる著者は、実は真っ先に最初の読者としてこの小説を読める立場にある。ならば「最初の読者」として、愚直かつ誠実に自分の中の声と対峙しようとしたとは考えられないか。むろんこの作品が私小説というわけでもないのだろうが、自己内での真摯な問いかけや語りに耳を傾けそこからこちらの心にも突き刺さる言葉を引き出したその功績は(高橋源一郎の優れた訳もあって)見事だと思う

  • 古本屋で見つけた源一郎訳。衝動買い。甘ったるいだなんだといわれるマキナニー。でも僕は割に好きだ。

  • なにが起こるというわけでもないストーリーだったがやけによかった。モデルの妻が出て行ってしまったことを後悔するところなんか、妙に心に染みた。

    なんといっても特徴的なのが二人称で書かれているというところ。「一人称=作家」でも「三人称=誰か」でもなくまさに「きみ=読者」のストーリーということ。

    友人のいとこのヴィッキィと過ごすひと時も印象的。母親の死の直前に交わされる会話のシーンはこの小説の中で一番よかった。自分の母親もいつかは亡くなってしまうんだということを強く思わされた。

    マキナニーがレイモンド・カーヴァーのそばで小説を学んだとは知らなかったな。元になった短編のタイトル「午前六時、いま君がいる場所で」というのはなんだかカーヴァーっぽいけど、ラストシーンのことだろう。こっちのタイトルのほうがよかったな。

    あと出版社の友人の女性もいいキャラクター。こんな友人がいたらな。もう一度読み直してきちんと感想を書こう。マイケル・J・フォックス主演の映画のほうも見てみようか。

  • 2009年2月3日~4日。
     サリンジャーと比較されるってのも判る気がするが、ちょっと酷じゃない? って印象もある。
     それでも面白かった。
     こういうの、何小説って言うんだろうね。
     厭世感にどっぷりと浸っている訳でもないし、救いがある訳でもない。
     そして明らかに僕の中にもこの男との共通点がある。
     二人称で語られているから、余計にそう感じるのかも知れない。
    「そんなことあるかい。俺はこんな男とはどこにも共通点がないぜ」なんていう人とは、たぶん友達になれないだろうな。

  • 高橋源一郎訳。20年以上積ん読していたが、年始に手に取った。思いがけず、心に沁みた。妻の失踪、別離。夜毎の漂流。退職(解雇)…。優しく、哀しく、せつない。

  • 再読。良い。
    悩みなんてみんなだいたい一緒。自分だけが特別なんてわけじゃないんだよと。

  •  アメリカの田舎から出てきた男が、NYで有名雑誌で校正の仕事をしている。 華やかな世界の中にいて、セレブらと付き合ったり、奥さんはモデルになったり、コカインをやりまくったりしながら、人生の壁にぶちあたってどんどんおちていく。。。っつう感じの話。 まぁおもしろかった。
    コカインやりまくりだし、なんだかもうまさにアメリカの青春ちゅうか、オシャレっぽいノリが漂いまくってて、あまり人間くささは感じられない。
    でも、あっさりとしてて割と好きな感じの本
    コカインやりまくる話も嫌いじゃない。
    二人称には違和感なし。 こんがらがらずに書けてすげーとは思った。

  • 二人称による80年代アメリカの青春小説。
    二人称の小説というものを初めて読んだから、慣れるまで少し時間がかかったが、読み進めていくうちに気にならなくなった。
    きらびやかな都会の中で荒廃していく男の物語。終盤で語られる母親とのエピソードが良かった。どことなくサリンジャーの「ライ麦畑」を彷彿とさせる展開だったような気もする。

  • 最後まで、面白いポイントを掴む事ができなかった…

  • 冒頭はこんな文章から始まる。


    ”きみはそんな男ではない。”


    珍しい二人称現在形で語られるのは
    どうしようもない閉塞感に囚われた愚かな男の話。

    きみが
    逃げていたもの、
    追っていたものが、
    心の殻を打ち破って
    最後に一気に明かされる。

    発行されたのは1984年。
    時代も場所も立場も異なれども、
    約30年も前の男の悩みが、
    いまの自分と変わらないなんて!

    買ってしばらく積んでいた本。
    どうしてこの本を手にしたのか、
    読み終わったいまでも思い出せない。

    ありきたりな展開でも
    新鮮に感情の内面を抉られる表現力と空気感に
    しばらく余韻に浸っていたくなる良書だった。

    もしかしたらこれは
    来るべきして手元にあった本なのかもしれない。

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