家なき子 上巻 (新潮文庫)

  • 新潮社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102401118

作品紹介・あらすじ

優しくぼくを見つめる、母と思っていたその人は母ではなかった。ぼくは捨て子だったのだ……。家を追われた 8 歳の少年レミは、謎の老旅芸人ヴィターリスの一座に加わり、芸をする動物たちとともに巡業の旅に出発する。大都会から炭鉱町まで、時に厳しい荒野を渡り、吹雪を耐え、川を越え── レミは真の幸福を求めて旅を続ける。時代を超えて読み継がれるフランスの児童文学の傑作を完訳!

感想・レビュー・書評

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  •  エクトール・マロによるフランス児童文学の傑作。発表されてから150年近く経つという古典作品だが、どんどん読み進めたくなる魅力であふれている。
     大好きな母が実の母ではなく、自分は捨て子だったという事実を知り、年老いた旅芸人ヴィターリスに貸し出されるということで、家を追われレミの旅が始まる。その描写には胸がかきむしられる。物語だとわかっていても悲しくてたまらないが、最後は…。レミも思い返していたが、ヴィターリスと過ごした時間がどれほど尊く、素晴らしいものだったか。たくさんのことを教え、見本を示した師匠であるヴィターリス。私にとってもこの作品の最も重要な部分だ。

  • フランスには読みごたえのある小説がたくさんあるけど、児童書はあまりこれというものがない。ペローの童話、十五少年航海記‥‥そんなところ。
    でも、知らないだけで探せば結構あるのかもしれない。これは冒険要素も入っていてワクワク楽しめる作品だ。

  • さまざまな出会いと別れを繰り返して逞しく成長するレミの姿に元気づけられます。下巻ではどんな旅が繰り広げられエピローグが待っているのか楽しみです。

  • 掘り出しもの。意外にも面白く、深い。大人にもおすすめの小説。児童向けでなく、むしろ大人のほうが沁みると思う。「 家なき子 」という語感で異なるイメージがふくらんでいた自分。だが、これはイイ。

    舞台は南仏の農村、時は恐らく19世紀の末頃か。主人公はレミ少年8歳。赤子のとき路上に捨てられていたのを農夫の夫妻に拾われて育てられてきた。そしてある日、レミは村を訪れた旅芸人に年40フランで貸し出され、この日からレミの長い旅が始まる。旅芸人の“一座”を率いるのはヴィターリス老人。レミは程なくこのヴィターリスを師匠として慕う。ヴィターリスは知性と品格を備えた人格者でレミの成長を導く。このヴィターリス師匠がなんとも魅力的。この登場人物に出会えただけで本書を手にした価値がある。
    いつも旅立ちの朝にヴィターリスは言う
    「 さあ、行くぞ、出発!」。これが勇ましくも切なく、胸に沁みるのであった。

  • 「優しくぼくを見つめる、母と思っていたその人は母ではなかった。ぼくは捨て子だったのだ……。家を追われた 8 歳の少年レミは、謎の老旅芸人ヴィターリスの一座に加わり、芸をする動物たちとともに巡業の旅に出発する。大都会から炭鉱町まで、時に厳しい荒野を渡り、吹雪を耐え、川を越え── レミは真の幸福を求めて旅を続ける。時代を超えて読み継がれるフランスの児童文学の傑作を完訳!」

    ・拾われ子だったレミが、大道芸人の老人ヴィタリスのところに売られ、苦難の末に育ての母と生みの母に再会する話。

    「『家なき子』の登場人物のなかで一番好きだったのは、ヴィタリス一座のカピだ。賢くて、分別があって、優しくて思いやりがあり、人の気持ちがよくわかるすてきな相棒。こんな相棒がほしくて、わたしは犬を飼い始めた。私の犬好きは、カピにはじまっているといってもいい。
     ジョリー・クールも嫌いではなかった。小生意気で、いたずら好きの小猿だが、どこか憎めない。」
    (三田村信行『10歳までに読んだ本』)

  • 2021.05.08

  • 子どもの頃に読んだはずだが、内容はすっかり忘れてしまった。フランス中を旅しながら愛する人たちと別れ離れになり、孤独な旅が始まろうとするが、これまでの体験が心身共にたくましくなっていて生きる意欲にあふれている。この作品に限らず、貧しい子の童話は多かったが、今の子にも読みつがれ共感されているのだろうか。2019.12.19

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