ロビンソン・クルーソー (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784102401316

作品紹介・あらすじ

一六三二年、英国に生れた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから二十八年に及ぶ無人島生活が始まった──。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼い慣らしてバターやチ ーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が……。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険文学の金字塔。待望の新訳。

感想・レビュー・書評

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  • 冒険家、男として憧れないことはないだろう。この勇敢でいて、無鉄砲、でも弱さもある男の一生を知ることができ、良かった。幾度となく、大きな壁にぶち当たり、その度、諦めてもおかしくない中、活路を見出していく姿に、心から勇気をもらえた。何を信じて、何に向かっていけば分からなくなる事や、理不尽の波にへこたれそうになる事があっても、この物語に戻ってくれば、きっとまだやれると気付けるはず。

  • 友達から薦められて読みました。
    冒険小説として、大航海時代の物語という歴史小説として、信仰が如何なるものかを示す読み物としてなどいろんな読み方ができるようのかもしれない。

    災難を免れるより罪から免れることの方がはるかにありがたい、恐れている災いより、恐れそのものの方が重荷になるなど究極の状態にならないと気づけないようなことを読者に気づかせてくれる。

    人間が一人で一から始めるとシンプルなことが実は複雑であり、どれだけの人類の叡智が集められていることなのかと驚くことになるんだろうな。

    私は主人公が未開の人を召使として扱う描写が人種差別につながることをイメージしてしまい、居心地の悪さのようなものを感じた。

  •  漂流文学が好きだ。『二年間の休暇(十五少年漂流記)』など、違う訳で片手では収まらないほど持ってるいるし、『スイスのロビンソン(不思議の島のフローネ原作)』も『北槎聞略』も『ゴロヴニンの日本幽囚記』も『鳥島漂着物語』も何度も読み返している。が、本書は、小学生の頃ダイジェストで読んで以来だった。
     読んでみて納得、宗教観と考えた事を反故にする矛盾と、当時のイングランド人らしい選民思想が苦手だからだった。前半の島で暮らすための努力と神への祈りは理解できるのだが、後半は苦痛でしかなかった。戦争でもないのに人を殺せることに違和感を感じ、あたかも自分が上級民のような言動、そして自分が助けたい者を助ける傲慢さ。私の苦手な物てんこ盛り。時代や宗教観の違いは、それ以前のシェイクスピアを苦手だと感じないのだから問題ではない。最近のチートハーレムなラノベに近い苦痛。
     この本がなければ、私の好きな漂流文学は出版されなかったかもしれない、という一点のみ私は評価する。

  • 幼いころ、息を飲むように読んだ無人島の漂流記。
    息子用に買ったので、30年ぶりくらいに再読。
    「フライデー」とか、懐かしい名前があり興奮しながら、
    人種差別のことなど、幼い頃は気づけなかった着眼点がありました。
    いちばん、ドロッと残っているのはお金のこと。

    無人島時代は、あんなに「お金なんてなんの意味もない」だったのに、
    脱出できたら、金の亡者みたくなっている。
    人間の人間らしさをよく描いています。

    大人が読んでも、おもしろいよ。
    ううん、大人が読むからおもしろいよ。

  • 子供の頃、ロビンソン漂流記を読んだことがあった。難破したロビンソンが孤島で孤独な生活を送るという粗筋くらいしか覚えていなかったが、文庫本の新訳が出ていたので、改めて読んでみた。
    井上靖の「おろしや国粋夢譚」を読んで以来、漂流ものには興味があって、いろいろな漂流記や探検記を読んだけれど、原点はやはりロビンソンクルーソーだと思う。実話を基にした小説で、作者の空想がかなり入っているが物語としてはとても面白い。特にロビンソンの孤独感の心理描写、事件が起きた時の気持ちの変化など、おそらく自分自身が同じ状況になったら、こんな事を考えるだろうと思うことが、そのまま書かれていて、物語に没頭することができた。また当時の空気も反映されていて、300年以上前の人々の考え方や社会の仕組み、未知の世界や動物への恐怖なども感じることができる。
    読んでみると、漂流記というよりも孤島生活記という感じ。子供の頃の記憶では大西洋の絶海の孤島の設定だったと思ったが、実際はカリブ海の島だった。ロビンソンにとって救いだったのは、難破船から容易に「道具」が手に入ったことだ。道具があれば、ある程度文化的な生活ができる。島で必要なのは何よりも「道具」なのだ。そこは実際の漂流者の体験とは異なっていて、道具が無い漂流者は食物の採取にも不自由するくらい何も出来ず悲惨な生活になる。それから「宗教」。孤島の生活には精神的な支えが必要で「神」を称える記述が何度も出て来る。
    前半は孤島生活、後半は色々な事件が起きて、島を脱出し故郷に帰るまでを描いている。リアリティを出すためか、最後はお金の話が出てくる。島ではカネは何の価値も無いと言っていたロビンソンが、帰国するとカネの話ばかり。文明社会に復帰すると、大事な物の認識が変わってしまうのだろう。また社会復帰まで約30年も経過しているのに、ロビンソンは記憶力が抜群で過去の出来事、カネの話を詳細に覚えている。歳を取っても、隔絶された島にいてもボケとは無縁だ。現代の視点では突っ込みどころ満載の小説だが、時代を超えて当時の気分に浸るには凄く良い小説だと思う。
    今回の新訳版は、大変読みやすく、且つ昔の言葉使いも上手く混ぜて時代感も感じさせるとても良い翻訳だった。もし船旅をするなら(漂流したくはないけれど)、この本を持っていきたいと思う。

  • そこで銃が撃たれたのは天地創造以来初めてだったのだろう

    描写つまり心情描写、風景描写などとても繊細かつ鮮明で、読者である私たちがその場にいるような疑似体験をさせられるリアル感がある
    デフォーはこのような冒険に出たことあるのかと思うくらい生き生きと表現するので、300年近く金字塔であるのは疑うまでもない

    理性的な精神を持つことに意識をしたり
    置かれた環境に感情的ときには感傷的になりつつも
    一人で気持ちを持ち直している

    ーわたしはこの点の配剤を受け容れた。いっさいは最善となるように定められていると考えを認め、信じるようになっていたからである。とにかくそう考えて心を沈め、あそこへ行けたらという無益な思いで自分を悩ますのはやめた

    ー足跡を発見する
     驚愕のあまりわたしは雷にでも打たれたか、はたまた幽霊でも見たかのように、その場に立ちすくんだ。

  •  すごい生き延びる
    その生き延び方が迫力と言い訳と自慢を交えながら延々と書いてあって、主人公まあまあカスだからムカつくんだけど引き込まれるのよね~

    あとこれが書かれたのが18世紀と考えると、個人主義の高まりで爆流行りしたのわかるな〜とおもう。

  • 何度も挫折した本だったが、さすが新訳の読みやすさで一気読み。時代背景の古さはあるものの、中身としてはオーソドックスな漂流記。信仰に目覚め、物欲から解放されるあたりは示唆がある。

  • それまでの小説とは異なり、「現実らしさ」を持ったリアルな小説というのが評価に値する。自分がかつて築いた友好関係や財産は裏切らないんだよなぁ。。

  • タイトル*ロビンソン・クルーソー
    著者*ダニエルデフォー
    出版社*新潮文庫

    一六三二年、英国に生まれた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから二十八年に及ぶ無人島生活が始まった--ー。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼い慣らしてバターやチーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が……。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険文学の金字塔。待望の新訳。

    あらすじより引用

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著者プロフィール

1660‐1731。イギリス、ロンドンの商人の子として生まれる。著作家、ジャーナリスト。代表作『ペスト』、『ロビンソン・クルーソー』。

「2020年 『新訳ペスト』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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