探花―隠蔽捜査9―

著者 :
  • 新潮社
3.86
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本棚登録 : 1184
感想 : 165
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103002611

作品紹介・あらすじ

信念のキャリア・竜崎に、入庁試験トップの新ライバルが出現!? 「俺は、ただの官僚じゃない。警察官僚だ」次々と降りかかる外圧に立ち向かう、人気シリーズ第9弾! 神奈川県警刑事部長となった竜崎のもとに現れた、同期入庁試験トップの八島という男。福岡県警から赴任してきた彼には、黒い噂がつきまとっていた。さらに横須賀で殺人事件が発生、米海軍の犯罪捜査局から特別捜査官が派遣されることに――。次々と降りかかる外圧に、竜崎は警察官僚としての信念を貫けるのか。新展開の最新刊。

感想・レビュー・書評

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  • 家族のトラブルは今回は息子。前作と同様に並行して流れて行く。ポーランドで息子がどうなるのか、やはり心配してしまう。使えるものは何でも使う竜崎刑事部長の本領発揮。外務省の知人もフル活用。
    本編でも犯人が米軍基地に逃げ込んだ恐れがあると聞き、皆んなの反対を押し切って米軍に協力依頼をする。犯人を追って千葉県警、警視庁、挙句の果てには政治家まで協力を依頼する。普通の警察や公務員がしないことを、合理的な判断で突き進む。それが読んでいて爽快感に繋がる。

    • shukawabestさん
      すごいですね。僕は今、このシリーズ「2」と「5」を持っていて、多分、半年後に図書館から回ってくる「10」を読んで、また、最初から読み返したく...
      すごいですね。僕は今、このシリーズ「2」と「5」を持っていて、多分、半年後に図書館から回ってくる「10」を読んで、また、最初から読み返したくなったら買うだろうなと思っています。まだ4月ですが、今年の僕は、「隠蔽捜査」の1年になりそうです。「9」について、唯一、息子は捕まったのではなく・・・そこだけは最初の方で想像できました。
      2024/04/07
    • 浩太さん
      全部文庫本でAmazonも古本です。作者に申し訳ないと思っています。ですので、文庫本の新刊だけ購入してます。何度も読み直さないと考えるとハー...
      全部文庫本でAmazonも古本です。作者に申し訳ないと思っています。ですので、文庫本の新刊だけ購入してます。何度も読み直さないと考えるとハードカバーは勿体無いと思ってしまいます。

      息子は前科があるので捕まっても不思議は無いと考えてしまいました。
      前作では奥さんの交通事故騒ぎがあったり、本筋以外にも仕掛けがあって楽しめます。
      2024/04/07
    • shukawabestさん
      たとえ古本でも、自分の書いた本を持っていてくれる、それだけで嬉しい・・・今野さんが、そんな価値観をお持ちならいいですね。なんとなくそんな気が...
      たとえ古本でも、自分の書いた本を持っていてくれる、それだけで嬉しい・・・今野さんが、そんな価値観をお持ちならいいですね。なんとなくそんな気がしています。
      2024/04/07
  • 隠蔽捜査シリーズ第9弾!
    面白かったです。
    神奈川県警の竜崎刑事部長が活躍します。
    だんだんと普通の警察官僚になってきた感がありますね^_^

  • 隠蔽捜査シリーズ最新作。

    タイトルは科挙の最終試験合格者の順位のこと。一位は「状元(じょうげん)」、二位は「榜眼(ぼうがん)」、三位は「探花(たんか)」だそうだ。
    竜崎の入庁時の成績が三位だったらしいので、タイトルは竜崎を表すということだろう。ちなみに二位は伊丹(意外?)、そして一位は竜崎と同じ神奈川県警に警務部長として異動してきた八島。

    今回は事件現場が横須賀の米軍基地に近く、また現場近くで白人が目撃されたことから米軍関係者が事件に関与しているのかと捜査本部は神経質になる。地位協定問題があるからだ。
    だが竜崎はもちろんひるまない。正々堂々、米軍基地へ乗り込み交渉する。『誠意を見せる』ためにと、何とアメリカ海軍犯罪捜査局の特別捜査官まで捜査本部に入れたのはさすがにやり過ぎか。だがこの捜査官、上手く馴染んでいる。

    今回も竜崎節があちこちで炸裂する。
    違法捜査でなければ『市民のコンセンサス(合意)は必要ありません』とマスコミに堂々宣言し、板橋捜査一課長には当初『捜査に口は出さない』と言っていたが、『口をつぐむつもりもない』と結局捜査本部に居座っている。
    だがあくまでも指揮官は板橋だとはっきり言い、『責任は俺が取る。それが仕事だ』と安積班長みたいなことを言ってくれている。

    彼のスタンスはシリーズ当初から変わらない。
    『公務員は出世すべき』である。『出世すればそれだけ権限が増える。つまりやれることが多くなる』からだ。
    だが『椅子取りゲーム』のような『無駄なこと』には『まったく興味がない』し、出世すれば増える『しがらみ』についても無視はしていない。

    『殺人事件を解決することと、国会議員に気に入られること。そのどちらが警察官として大切なのか、理解できないなら、ばかとしか言いようがない。優先順位がわからないやつはばかだ』
    『俺はただの官僚じゃない。警察官僚だ』

    八島はもちろん、伊丹ですら呆れる竜崎の姿勢は今回も捜査本部の幹部たちを始めは困惑させ、その後パフォーマンスなのか?と疑問を抱かせ、最終的にはやっぱり本音だったのか…と感心させて竜崎信者を増やしていく。
    神奈川県警だけではない、もう千葉でも福岡でも竜崎はすっかり有名人になっていた。

    竜崎の視点から進む警察の捜査は毎回興味深い。
    安積班シリーズのように捜査の最前線で奔走する警察官たちを見るのはワクワク感があるが、竜崎のように警察官僚だからできること、彼らだからやらねばならないことがあって、様々な人たちの連携があって初めて捜査が進むのだなと改めて感じる。
    安積班シリーズではただふんぞり返っているだけに見える上層部たちが、隠蔽捜査シリーズでは調整や手配や、米軍や議員とやり合うなど実に忙しい。確かに椅子取りゲームなどしている暇はない。

    本筋の脇で今回も竜崎の家族にちょっとした事件があるが、私自身は心配していなかった。冴子も落ち着いているし家族の信頼関係はしっかりしている。

    神奈川県警では食えない参事官にフレンドリーだが上手に面倒を避ける本部長、椅子取りゲームに必死な八島、捜査本部では竜崎と息が合ってきた板橋捜査一課長と、段々メンバーが揃ってきた。

    ヴェルニー公園の紫の薔薇…『ガラスの仮面』世代としては興味がある。

    ※シリーズ作品一覧 ★はレビュー投稿あり
    ①「隠蔽捜査」
    ②「果断 隠蔽捜査2」
    ③「疑心 隠蔽捜査3」
    ④「初陣 隠蔽捜査3.5」
    ⑤「転迷 隠蔽捜査4」
    ⑥「宰領 隠蔽捜査5」
    ⑦「自覚 隠蔽捜査5.5」
    ⑧「去就 隠蔽捜査6」
    ⑨「棲月 隠蔽捜査7」★
    ⑩「空席 隠蔽捜査」(番外編kindleのみ)
    ⑪「清明 隠蔽捜査8」★
    ⑫ 本作 ★

    • ポプラ並木さん
      いきなりすみません。自分は「清明 隠蔽捜査8」まで読みました。(斜め読みですが)この作品も楽しそうですね。唐変木の竜崎に早く会いたいです!
      いきなりすみません。自分は「清明 隠蔽捜査8」まで読みました。(斜め読みですが)この作品も楽しそうですね。唐変木の竜崎に早く会いたいです!
      2022/05/11
    • fuku ※たまにレビューします さん
      ポプラ並木さん
      コメントありがとうございます。
      竜崎もですが、息子の邦彦もお騒がせな子です(^.^)
      今回も楽しく読みました。
      ポプラ並木さん
      コメントありがとうございます。
      竜崎もですが、息子の邦彦もお騒がせな子です(^.^)
      今回も楽しく読みました。
      2022/05/11
    • ポプラ並木さん
      邦彦はまともになったと思っていましたが、この作品での楽しみですね。
      お知らせありがとうございました。
      邦彦はまともになったと思っていましたが、この作品での楽しみですね。
      お知らせありがとうございました。
      2022/05/11
  • いつもより主人公の竜崎伸也のパワー不足かなあ。なんか大人しい。まあ、地味に面白かった。

  • 久しぶりの隠蔽捜査シリーズ
    久しぶりすぎてあれ前作どんな感じだったかよく覚えてないやと思い自分のレビューを見直してみたがよくわからなかった
    狂おしいほどに役立たずのレビューだな

    安定の面白さ
    うーんこれだよ君
    この安定感こそ隠蔽捜査シリーズなわけだよ

    癖のある上司と部下がさらに癖がすごい感を増していき、なんとなく竜崎と息が合ってきてるのが楽しい
    もちろん伊丹や冴子なんかは息ぴったり!
    というか二人は竜崎の操作方法を熟知してるだけかw

    そして相変わらず我が道を行ってるのに味方だけは増えていくというね

    神奈川県警ならではのことも散りばめながら、竜崎と一緒に読者も神奈川のことをお勉強していく感じの展開もシリーズならではの引き込み方だなぁと思ったり

    外さない安定感にありがとう!と言いたくなる面白さでした

  • 大好きな隠蔽捜査シリーズ、すでに9冊目。なぜか6冊目を飛ばしていたみたい。竜崎が神奈川県警に移って相変わらず特異なキャラを発揮しながら、さらに管轄内に抱える横須賀米軍基地という特殊性の今作。横須賀のヴェルニー公園で遺体が発見された。米軍絡みの犯罪であれば日米地位協定の範疇で、犯人を裁くのが難しくなる。竜崎は米軍に行き捜査協力を要請する。一方竜崎の同機で警務部長の八島がこの事件に絡んでいる可能性がある。さらに竜崎の息子が拉致された可能性等、並行して事件が起こる。新しいキャラ、安定の伊丹、まだ楽しめそうだ。④

  • 爽やかな読後感
    探花 ― 隠蔽捜査9はシリーズの11作目
    2022.01発行。字の大きさは…小。2022.03.06~08読了。★★★★☆
    何事においても原理原則を重んじ、迷わず行動する神奈川県警刑事部長・竜崎伸也の活躍の物語です。

    此度の事件の発端は、横須賀港のそばにある薔薇の美しいヴェル二―公園で三竹宗佑39才が刺殺体で発見されたことです。この事件の捜査本部に神奈川県警本部から竜崎刑事部長が出て行くと、何かと棘のある言い方をする部下の板橋武捜査一課長、なるべく竜崎に関わりたくない横須賀警察署の安孫子署長などの個性豊かな警官と捜査をする事となります。
    そして県警本部では、日和見な上司の佐藤実本部長、何を考えているか判らない福岡県警から異動になった矢島圭介警備部長、敵か味方か判らない部下の阿久津重人参事官が竜崎の留守に蠢いています。
    異動してきた矢島部長が、入庁時の国家公務員試験の成績が1番である事を意識しています。ちなみに2番が警視庁の伊丹刑事部長、3番が竜崎刑事部長です。これを中国の科挙制度の呼び名で言うと1位が状元(じょうげん)、2位が榜眼(ぼうがん)、3位が探花(たんか)といいます。←タイトルの「探花」は、ここからきています。
    事件は、公園からナイフを持って走り去る白人を見たとの証言から米軍横須賀基地の米海軍犯罪捜査局のリチャード・キジマ特別捜査官が捜査本部に加わります。捜査は竜崎の指揮のもと広範囲の警察と連携しながら進んで行きます。
    実行犯も、その裏にいる暴力団も、その暴力団と同級生である福岡選出の大西国会議員も、福岡に結びついていきます。そして福岡から異動してきた矢島部長が、大西議員と事件前に会っていたことが分かります。矢島部長が、事前に事件の事を知っていて黙っていたのではと……疑惑が出てきます。すべてが福岡に繋がった時に竜崎が大胆にも矢島を連れて大西議員のもとに調べに行きます。

    事件と並行して東欧のポーランドのウッチ映画大学に留学している息子・邦彦が、警察に捕まった画像がSNSで見た娘・美紀からの連絡が、妻・冴子から知らされ捜査本部から度々妻に娘にと電話をして心配をしています。邦彦に電話をするが一切繋がりません。とうとう知り合いの外務省の人に相談して探してもらいます。

    【読後】
    久しぶりに爽やかで大胆な竜崎伸也を見て爽快です。事件は、癖のある多くの登場人物が出て戸惑いましたが、よくまとまっています。展開が早く、爽やかで、大胆な警察小説と。息子邦彦を心配して捜査の間度々電話をする父親が、並行して進んで行きます。

    【マメ知識】
    探花(たんか)は、中国の科挙制度で殿試で、第3位の成績で及第した者の名称。首席及第者の状元(じょうげん)、第2位及第者の榜眼(ぼうがん)と併せて「三鼎甲」「三魁」などと呼びます。
    科挙(かきょ)とは、中国で598年 ー 1905年、即ち隋から清の時代まで、約1300年間にわたって行われた官僚登用試験です。
    殿試(でんし)とは、中国の科挙の最終試験で、進士に登第した者が、皇帝臨席の下に受ける試験をいいます。
    進士(しんし)とは、隋から北宋中期にかけては科挙の六科の一つ。王安石の改革で進士科以外が廃止された後は、科挙の合格者を指し、以降の南宋から清まで続いた制度です。

  • 面白かった。
    面白かったけどちょっと物足りない。
    神奈川県警なんだか優秀すぎる。
    そして竜崎がまだまだ遠慮がち。

    またまた息子が何かやらかしたと騒動に…
    竜崎家のハプニングはたぶん隠蔽捜査シリーズに必要なんだな…そう思うことにしとこ(゚-゚*;)(;*゚-゚)

    神奈川県警の参事官がお気に入り♪
    次を早く読みたいけど、図書館予約が行列でいつ借りることができるかわからんな(ーー;)


    • 1Q84O1さん
      用があったら電話かけてくるよってw
      用があったら電話かけてくるよってw
      2023/10/10
    • ひまわりめろんさん
      9.5もおもろかったよ!
      頑張って予約待ちして下さい
      9.5もおもろかったよ!
      頑張って予約待ちして下さい
      2023/10/24
    • みんみんさん
      24番目。゚(゚´ω`゚)゚。
      24番目。゚(゚´ω`゚)゚。
      2023/10/24

  • 隠蔽捜査の第9弾です。今回も面白かったです^_^
    今回は横須賀が舞台で、千葉、東京、福岡と広域に渡り、事件解決の糸口を探って行きます。
    竜崎部長の原理原則を元に考える思考が好きなんです。
    それとそれに魅了されて変化していく周りの人たちも。こんな上司になりたいと思いつつ、心配ごとや困りごとにハラハラドキドキしている日々の私です…。
    オススメ!

  • 今野敏、そして隠蔽捜査シリーズ!
    この組み合わせは読む前からわかります
    間違いなく面白いはず!

    読みました!
    はいっ!やっぱり面白いw

    今回も竜崎の真っすぐな信念がカッコイイ!
    ここまで真っすぐ突き進んでくれるととにかく気持ちいい!
    この信念こそが竜崎の大きな武器でそして魅力なんだろう

    相変わらず同期伊丹とのやりとりもクスッと笑える
    で、本作では新たに同期の八島が登場
    (今のところ好きになれないキャラだが…)

    ちなみに、本作のタイトル『探花』は科挙からきているみたい
    科挙の最終試験の合格者、トップを状元、二番手を榜眼、三番手を探花と呼んだらしい
    同期の中の成績順位トップが八島、二位が伊丹、三位が竜崎
    今後のシリーズで状元の八島がどのようになっていくかも楽しみ

    • 1Q84O1さん
      そりゃ大変(゚д゚)!
      私も図書館の予約本ラッシュにあいましてヤバかったです…
      この本もその一冊でしたw
      とりあえず一段落つきそうなのでホッ...
      そりゃ大変(゚д゚)!
      私も図書館の予約本ラッシュにあいましてヤバかったです…
      この本もその一冊でしたw
      とりあえず一段落つきそうなのでホッとしてます(ヽ´ω`)
      なおなおさん引き続き頑張ってくださーい!
      2023/01/21
    • hibuさん
      こんばんは。
      私も「探花」読みました!面白かったです^_^
      竜崎部長の原理原則を元に考える思考が好きなんです。
      こんばんは。
      私も「探花」読みました!面白かったです^_^
      竜崎部長の原理原則を元に考える思考が好きなんです。
      2023/02/09
    • 1Q84O1さん
      hibuさん
      こんにちは!
      シリーズが進むにつれて竜崎愛が増しますねw
      hibuさん
      こんにちは!
      シリーズが進むにつれて竜崎愛が増しますねw
      2023/02/09
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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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