- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103022312
作品紹介・あらすじ
474ページに及ぶ「CIA正力ファイル」-。そこには、CIAが極秘に正力を支援する作戦の全貌が記録されていた!日本へのテレビ導入はアメリカの外交、軍事、政治、情報における世界戦略のパーツの一つだったのである。暗号名PODAM=正力松太郎。新資料で解き明かす「アメリカ対日心理戦」の深層。
感想・レビュー・書評
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日本最初の民放テレビ局の設置には米国の思惑と、いろんな力関係があった由。
いや、そんな話全く知らなかったので、何がテーマか読み進めないと分からなかったので、本の冒頭で何を検証するのか明確にしてくれた方が分かりやすかった。
当時、共産主義の拡大防止と、自由主義国家陣営の拡大がどれだけ大事なことだった。日本、やばいところにいたんだなと思う。
日本に軍用転用できるマイクロウェーブ網を設置したかった米国。
あいも変わらず勝手な奴らなんだが、堂々と主張せず、裏からいろんな勢力が手をまわす。それぞれの組織が、様々な利害関係で足引っ張りあうのは日本も同じだし、結局政局的な動きになっていったわけですな。
結果としては、テレビという媒体の威力は大きかったわけだが、その後、いつの間にレフト的な内容が圧倒するようになって来たのか、不思議である。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本のテレビ放送の歴史としてマスコミの研究者が知るべき基本書である。日本が戦後すぐテレビ放送が出来たのかのはなぜかということが、どの本にも書かれていないのでそれを補う。
大型化して不要になった小型のアメリカ製のテレビの部品を日本で組み立てて日本で売り、アジア諸国に販売したという歴史は、テレビが売れないということから当然マスコミでも扱われるべきであるが、それは無視されてきている。
マスコミと政治の研究にはなくてはならぬ本であり、日本のメディア・リテラシーを研究する場合の基本的知識であろう。 -
恥ずかしながら、戦後日本も共産主義陣営に入る可能性があった時期があったことに驚いた。アメリカ陣営の反共活動の一環として、日本テレビの創設があったという事実をアメリカの公文書から紡いだ作品。いま話題の原発についても正力松太郎氏が導入に尽力をつくし、「原発の父」と呼ばれることになった件についても触れられています。
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原発の推進役としてどう動いた(動かされた)のかを読んでみた。
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日本テレビ誕生と原子力発電開始
このどちらにも読売新聞の正力松太郎がかかわっていたことは
よく知られていることである。
ところがそれらが米国の思惑と日本の政治と複雑にからみあって
なしとげられたという背景までは全くしらなかった。
この本はアメリカの公文書を丹念に読み解いて日本テレビ設立に
だれの思惑でだれがどうしてこうなったということを
ジクソーパズルをやるようにひとピースひとピース丁寧に
くみあげていった本である。
こういう仕事は私立大学だから可能なのかとも思う。
なかなかの労作である。
ただ登場人物が多く、図にしないと複雑で 結構混乱する。
戦後民主主義や日本という国についておちついて考えるために
一度は読んでおいてよい本である。 -
日本テレビとアメリカとの関係をアメリカの公文書を柱にして展開。
アメリカの情報戦略のすごさに驚く。 -
20090327
日本テレビ創始者正力松太郎は、知ってか知らずか、CIAの世界放送網計画に乗って、日本にテレビ網を作ろうとした。
結果は東京キー局のみとなったが。
特に正力氏がCIAの手先だった、とは言えない。
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日本テレビ設立は、アメリカの日本における反共スキーム構築の1つの側面であったということを膨大な公開一次情報を元に論証した書。
題名からして陰謀論と見られてしまいそうだが、正力松太郎を中心とする日米の様々な主体の複雑な相互関係が綿密に描写されていて、著者の研究の成果が窺える。
今でこそ日本テレビ放送網は映像放映のみを扱う組織に過ぎないが、当時はテレビのみならず軍事関係や通信事業をも含めた複合的メディアの一翼を担う第一歩であったということには驚きを禁じえない。また、米側の「反共スキーム構築」という大目的と、日本側の「経済復興のためのインフラ整備」という大目的は共に一貫していたものの、両国は必ずしも一枚岩だったわけではなく、それぞれの国内で多様な主体がしのぎを削っていた(例えば日本国内でのNHK,NTT,NTVとか)という事実を忘れてはならない。
筆者は、テレビメディアが日本における親米感情育成に多大なる貢献をしたことを強調し、冷戦の遺産ともいえる反共産スキームの一部分である日本のテレビメディアについて、今こそ過去を振り返り再検討を行なうべきであると結論づけている。その一環として上梓された本書は、日本のメディアの源泉を知る1つの手がかりとなるのではないだろうか。
大半が人的関係を時系列的に整理記述したもので、冒険活劇やスパイ小説のようなエキサイティングな側面はない。だが、筆者があとがきで引用している米国立公文書館の銘に拠れば、「民主主義の代価は、永遠に監視を続けること」なのである。 -
これは面白いGHQの対日心理戦局のグリーン
やダレスの名もでてくるしその後ろにいる
軍事顧問秘書の准将などの影も見えてくる 正力のいくつく先の野望はなんだったのだろうか、米国の思惑はなんだったのだろうか、まだまだ不透明な部分がある。