- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103068129
感想・レビュー・書評
-
詳細をみるコメント0件をすべて表示
-
読み重ねる毎に脳内イメージが詳細を増し、最後には実際に起きたことになってしまいそう。
-
情景描写の部分はどうしても眠たくなってしまうけど、それでも先が気になってどんどん読み進めることができた。
ドーナッツやバロックパールがとても魅力的。
友達みんなにおすすめしたい。本当に面白かった。
2015/9/2 -
きゅっと胸が締め付けられる、
ほろ苦い、
そんな印象。
タコブネ、ハコブネ、タカラブネ
言葉の変容、空間の変容、
ロマンとレモン、アルクノア、
あちこちにちりばめられたパズルのピースが、
綺麗にはまって一つの絵になって、それがどうにも愛しいと思える。
最後の種明かし。
レカはもう居なくて、
どれだけ時間と空間を飛び回れたとしても、
人は歳をとり、いつか終わりを迎える、それはきっと不変なのだろう。 -
イタリア語デカルコマニアとは・・・一般的にはデカルコマニー(décalcomanie)、フランス語で「転写法・転写方式・転写画」を意味する用語であり、シュルレアリスムにおける美術技法を指すそうです。物語は読者から見て250年後の未来から110年前の過去の間で繰り広げられる、まさに転写絵画です。文体は洋書文学を彷彿とさせる比喩や揶揄が多くつかわれ面白く心理描写や状態描写がされています。
登場する一族の家系図と関係図(異なる同一人物)をメモに書き出しながら読みすすめました。とある事情から250年後に生を受けたことになっている過去の年寄りに手ほどきを受けながら謎の手記が物語の中で読み解かれていきます。著者 長野まゆみ氏 によるタイムパラドックスへの挑戦とも読み取れる物語は時空のメビウスの帯やエッシャーの不可能なキューブの中を彷徨わされた気分になります。
タイムトラベル、タイムスリップものにありがちな、つじつまの破綻を感じさせない巧妙なストーリーテーリングは不思議な時空の旅に、いざなってくれました。
読後感=透明なガラスに転写された不可思議な風景に顕在感あり・・・・ -
長野まゆみの近未来ものを読んでいつも思うのは、もう一度読み返したい、ということだ。読み返してみても新たな発見がないこともある(分からないところは何度読んでも分からない)けれど、それでももう一度最初から読み返したい衝動に駆られる。
デカルコマニアによって、メビウスの輪のような奇妙な家系図を持つこととなった家族の物語。
物語は300年くらいの時間を行ったり来たりするので時系列での理解が混乱してしまうし、変装をして様々な人に成りすますので誰と誰が同一人物かも混乱してしまう。そんな中でこの物語を理解するのは難しい。しかし、それでも長野まゆみの言葉の魅力は失われない。彼女の使うモチーフ、イメージ。そして、レモン伯父さんのたちの悪い冗談かもしれない《デカルコマニア》を本当かもしれないと思わせ、地中海地方の団欒のような快活な雰囲気で締めくくられる。真実など自身で選べば良いのだと言わんばかりに。 -
時を超える不思議な物語。文章が美しい。最後に向かって絡まっていた糸がほどけてくると、感動する。