デカルコマニア

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 437
感想 : 57
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103068129

感想・レビュー・書評

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  • D伯爵家一族と「デカルコ」にまつわる話。一族の歴史ものが好きなので、かなりツボでした。ただ、年代が前後している上に、複数の名前を持つ登場人物がいるのでややこしかったです。最後まで読んだけど、全体像がぼんやりわかっただけで詳しいことは曖昧…。家系図を作りながら再読したいですね!

  • 読み重ねる毎に脳内イメージが詳細を増し、最後には実際に起きたことになってしまいそう。

  • 情景描写の部分はどうしても眠たくなってしまうけど、それでも先が気になってどんどん読み進めることができた。
    ドーナッツやバロックパールがとても魅力的。
    友達みんなにおすすめしたい。本当に面白かった。
    2015/9/2

  • 中をぺらぺらとめくって「カルトローレ」と同じような雰囲気を感じたので借りてみました(今あまり左近の桜みたいなのは読みたくない気分です)

    読みだすと、「カルトローレ」とは全然違う話ということがわかりました。
    文章のドライな感じは同じですが・・「カルトローレ」はやはり本・砂・砂漠と、水のない世界でしたが、こちらは森・海・たくさんの人々・時の流れとずいぶんいろいろなものに満ちた世界観です。

    話の流れはぱっと思い付いたのは「時の旅人」のように時間軸が前後する感じでしょうか。それと「超少年」のような話と話が繋がっているような・いないような、関係性がすんなり理解できない感じ。
    なお、一度読んだだけでは、登場人物と時間軸の関係性がまったく理解できません!!
    こんど紙に書き出してみます・・。

    で、読み進めていくと「メルカトル」のように周りの人が主人公(この本は視点がころころ変わるので定義が難しいですが・・)を救済するような流れであることに気付きました。

    あとは・・性別のあいまいな感じとか、同性同士がなんとなくお互いを意識するところは「サマーキャンプ」とか?

    「カルトローレ」がとっても好きでしたが、この本は今までの長野さんの歴史?がぎゅっとつまっているような集大成みたいな本のように思います
    (ということが言いたくて長々と書きました)
    一点、あれ~と思ったのは食べ物の描写が少ないこと!ドーナツくらいですね。

    はっきり言って初めて読んだ人はよくわからないんじゃないかと・・。
    そして気に入った人はすごく好きになるし、合わなかった人はぜんぜん面白くないと感じると思います。
    読む人を選ぶ本?というのでしょうか。
    それで良いと思います。

  • きゅっと胸が締め付けられる、
    ほろ苦い、
    そんな印象。

    タコブネ、ハコブネ、タカラブネ
    言葉の変容、空間の変容、
    ロマンとレモン、アルクノア、
    あちこちにちりばめられたパズルのピースが、
    綺麗にはまって一つの絵になって、それがどうにも愛しいと思える。

    最後の種明かし。

    レカはもう居なくて、

    どれだけ時間と空間を飛び回れたとしても、
    人は歳をとり、いつか終わりを迎える、それはきっと不変なのだろう。

  • イタリア語デカルコマニアとは・・・一般的にはデカルコマニー(décalcomanie)、フランス語で「転写法・転写方式・転写画」を意味する用語であり、シュルレアリスムにおける美術技法を指すそうです。物語は読者から見て250年後の未来から110年前の過去の間で繰り広げられる、まさに転写絵画です。文体は洋書文学を彷彿とさせる比喩や揶揄が多くつかわれ面白く心理描写や状態描写がされています。
    登場する一族の家系図と関係図(異なる同一人物)をメモに書き出しながら読みすすめました。とある事情から250年後に生を受けたことになっている過去の年寄りに手ほどきを受けながら謎の手記が物語の中で読み解かれていきます。著者 長野まゆみ氏 によるタイムパラドックスへの挑戦とも読み取れる物語は時空のメビウスの帯やエッシャーの不可能なキューブの中を彷徨わされた気分になります。
    タイムトラベル、タイムスリップものにありがちな、つじつまの破綻を感じさせない巧妙なストーリーテーリングは不思議な時空の旅に、いざなってくれました。

    読後感=透明なガラスに転写された不可思議な風景に顕在感あり・・・・

  • 長野まゆみの近未来ものを読んでいつも思うのは、もう一度読み返したい、ということだ。読み返してみても新たな発見がないこともある(分からないところは何度読んでも分からない)けれど、それでももう一度最初から読み返したい衝動に駆られる。
    デカルコマニアによって、メビウスの輪のような奇妙な家系図を持つこととなった家族の物語。
    物語は300年くらいの時間を行ったり来たりするので時系列での理解が混乱してしまうし、変装をして様々な人に成りすますので誰と誰が同一人物かも混乱してしまう。そんな中でこの物語を理解するのは難しい。しかし、それでも長野まゆみの言葉の魅力は失われない。彼女の使うモチーフ、イメージ。そして、レモン伯父さんのたちの悪い冗談かもしれない《デカルコマニア》を本当かもしれないと思わせ、地中海地方の団欒のような快活な雰囲気で締めくくられる。真実など自身で選べば良いのだと言わんばかりに。

  • 時を超える不思議な物語。文章が美しい。最後に向かって絡まっていた糸がほどけてくると、感動する。

著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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